坂井、三国の皆様が驚く程親切にして下さり、感謝し切りです。エイドも信じがたいレベルで充実していて、多種多様な福井の味がランナーを待っています。自分は体調が悪過ぎたため大変な思いをしたのですが、コースも基本平坦ですし、初心者でも楽しめる大会だと思います。少しでも興味が湧いた方には是非この素晴らしさを体感していただきたいです。
楽しい記憶で上書きしなくては人生終われまいと願い続け、2022年には見事に完食しながら完走しました。何度もありがとうございます。
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4月の無理な3連戦(+5月の70k)に直前の海外出張が重なり体調は最悪でしたが、とにかく出場は決意したので福井に向かいます。 受付の後宿まで遠いな…と歩いていると、スタッフの方が声を掛けて下さり、何とお車で送って下さいました。何て親切な方がいるのかと胸を打たれました。参加賞はにしんのうま煮を始めとしてかなり豪華です。 福井に来たからには鯖寿司だけは食べなくてはいけませんね。こちらも大変おいしく満足。 人生の最長距離は70kmで調整も何も分からないのですが、どうにか起床します。バスは3時台ですので辺りも暗く、期待と不安が混ざり合います。徐々に明るくなってきた頃に風船を解き放って長い長い旅の始まりです。 スタートは午前5時。この時間でも結構明るいです。コース図はこちら。 こんなに早い時間から走るのは新鮮です。光が少ない中、田畑がきれいだなと思いながら進みます。午前中は雨が降る時間もあったのに、エイドに運営にと一日ご尽力下さった皆様には今でも感謝しています。 走ってみて初めて知ったのは、大麦畑があり、それがまたきれいだということです。走りながらでぶれているのが惜しいですが、序盤で印象に残っている景色です。 エイドは信じられないくらい充実しており、福井の郷土料理がこれでもかというくらいふるまわれます。食べることが好きな方には是非出場をお勧めしたいです。豊原ソーメン、山菜漬と木の葉寿司、勝山ぼっかけと次々に郷土料理が登場し、タイムをロスしようと止まらざるをえないのです。おばちゃんがまた本当に親切で、お礼を言うのもまた楽しかったです。 40km付近では芋の味噌田楽を焼いて下さり、見た目にも士気が上がりますね。サイダーもいただき回復です。 40km時点では既に走り出しで膝が痛くなってきて、先に強い不安を感じます。それでもエイドの皆様の応援と気持ちのいい景色が楽しみですので、その気持ちが脚を前に運びます。おにぎりをいただき、越前大仏と謎の城(丸岡城ではない※後に勝山城博物館と判明)を見つつ中間点へ向かいます。 中間点である平泉寺前の坂は今思っても相当きつかったです。普段使わない筋肉を使う方がまずいかと考え、ゆっくり走って上りましたが、いっそ歩いた方がよかったでしょうね(2022年は歩きました)。荷物を預けている方はここで受け取れます。階段の上は行かずに折り返し、トマトゼリーや吉備団子をいただきます。ここでもエイドの応援が温かいです。 折り返してからの下りは、当時は怪我もあり身の危険すら感じましたが、2022年は止まらずに走れましたので大したことないと思います。すれ違うランナーさんと励まし合う時間はよいものです。 勝山駅の少し前で目にした水田と雨上がりの空の作る光景はとても美しいものでした。55km付近だったと思いますが、心打たれ、これだけでも来てよかったとしばしぼんやりしていました。午前中は雨が降ったので、歩道も空を映しています。 景色に達観したような思いになったのも束の間、もう膝が痛くて仕方がなく、何度もゴール到達タイムを下方修正しながらどうにか前を向きます。エイドだけが心の支えです。ちゃんがり味噌は野菜の美味しさが引き立ちますし、ニンニクラーメンは案外平気でおいしく食べられました。胡麻豆腐ぜんざいは甘くて元気が出ます。どれもうまいよ。 77km付近の龍の鱗通りはとても走れませんので歩きます(2022年はスロージョグで概ね走れました)。終盤は左膝が完全に壊れてしまい、ロードに戻ってもまともに走れる状態ではなく、キロ9分や10分にまで落ちますが、何としてもゴールだけはと考えていました。 とにかく次のエイドまで、何とか次までは、という思いです。いつか終わると信じることがこんなに難しいとは知りませんでした。その後もエイドには必ず立ち寄り、小龍包の他に杏仁豆腐や、鯖のへしこ、はんぺんをいただきました。越前おろし蕎麦は86km過ぎで、ボロボロの心と身体に染み渡るおいしさでした。あと少しです。 よろよろになりながらもエイドで励まされながらどうにか前に進みます。歩いているおばちゃんの背中のメッセージカードが胸に刺さりました。頑張りましょうと声を掛けあいます。写真には写っていませんが、水ようかんもいただきました。トコロテンは100km付近です。あと少しと皆が応援して下さるのが最後の力の源です。 ラスト1km付近で急な坂を上った時に、夕陽は沈みかけており、ふと走れメロスが頭をよぎりました。もう歩いているのと変わらない速さでしたが、それでも最後まで走り切れば新しい世界があると信じて進みました。この景色は忘れまいと思い、疲れた身で写真を撮ります。 ようやく東尋坊に戻って来た頃には日は西に沈みかけています。歩いている人にも追いつけないくらいの速さでしたが、なんとか辿り着いたのだという気持ちです。最後の最後はほんの短い距離でしたが、無理して上げました。フィニッシュの少し前では涙が出そうになっていました。それでも、ここは泣くところではない、ただ遅かっただけではないかと思い直しました。どういう形でゴールしたかは覚えていません。完走というより、ただ辿り着いたという感じでした。 終了後に愛を叫ぶ気力も残っていませんでしたが、103kmを途中でやめずに済んだことと、このキロ10分の時間が終わることにほっとしました。13時間20分を超える旅もここまでです。
ガサ海老汁をいただき、着替えてからバスで三国観光ホテルさんへ移動し、お風呂に入らせていただきます。充実感に浸りたいところですが、あまりに左膝が痛むので、お湯に浸かっていても来週の黒部はどうなるのだろうと不安だらけでした。 左膝が痛くてまともに歩けなかったため金沢駅でも後ろ向きに階段を降りる等しましたし、最早バスも来ない時間だったため、駅からはタクシーを使いました。夜中も大変でしたし、この先はしばらく日常生活にも支障が……。 いかがでしたでしょうか。自分の苦しかった記憶が前面に出がちな文章になってしまいましたが、エイドの食事もおいしいものばかりで、福井の魅力をたっぷり味わえる素晴らしい大会でした。そして何よりボランティア、スタッフの皆さんが親切で温かいのです。完走のお守りは、36km過ぎでおばちゃんが服に付けてくれたものですが、折れてしまった心を何度も励ましてくれました。これが苦しい時に結構支えになりました。出場した以上絶対に途中で止めるつもりはありませんでしたし、一度として止めようとは思いませんでしたが、それでも間に合わないのでは、歩くことすらできなくなるのではと不安でいっぱいでした。そんな中で時々触って力をもらったこのお守りは、今も大切にしています。 多くの方がこの大会に参加し、その魅力が心に深く刻まれることを願ってやみません。是非、一度は出てみてください。 坂井、三国の皆様、最後まで支えていただき本当にありがとうございました! 2022年には再出場させていただき、エイド完食で10時間50分程と元気な姿をお見せすることができました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。 前日
レース当日
レース前
レース
序盤~前半(早朝はまだ夢の中のよう)
中盤(かなりの膝痛もエイドを頼りに)
後半~終盤(這ってでも東尋坊へ)
アフター
最後に