都市型マラソンって、街中やせいぜい川沿いの平地を走り、最後にちょっと上って目出度し目出度しという大会が多いですよね。奈良は違います。ダイナミックです。転がり落ちるような坂あり(当然帰路では上りとなる)、ダムあり橋あり、細かくないアップダウンありで人生の厳しさを教えてくれます。悪い子は奈良マラソンを走らせれば人生観が変わる気がします。
初めてこの大会に参加したのは2015年、自身3本目のフルマラソンで、たしか3時間44分くらいかかってこてんぱんにやられました。あの日ゴール後に話したおっちゃんが「生活習慣変えたらすぐ速くなる。奈良走れたらどこでも走れるで。」と仰っていて、自分にとって転機になった大会でもあります。
勿論厳しいばかりではなく、奈良の皆様が温かく支えて下さります。応援も多いですし、ぜんざい、三輪そうめん、バナナもいただきました。38km過ぎで鹿が悠々とコースを横断していた時は、これぞ奈良と笑いましたね。
これまでの経験も試せますし、フル全体を通してのフォームやリズムの調整も実戦で工夫できます。滅茶苦茶経験値が高いので速くなりたい方にはおススメです。
ちなみに世の中は広いもので、奈良を凌駕する難コースの榛名湖マラソンという大会も存在します。奈良を走った方には、是非榛名湖にも出場してみていただきたいと思います。
前日(前日受付)
大阪から近いので特に観光に励むでもなく、普通に受付に向かいます。近鉄奈良駅から軽く歩いてならでんフィールドに到着です。奈良マラソンはハードなコースですので、既にビビっています。おそろしい……。
奈良マラソンエキスポはブースも多く盛り上がっています。特にステップさんのシューズ安売りが素晴らしく、参加する度にいいお買い物をさせていただいております。
ゲストは毎年お馴染みの有森裕子さん。コース解説も定番です。この寒くて厳しいフルマラソンにはやっぱり有森さんです。苦しい場面で声を枯らして応援して下さりますので、気合が入ります。
隅の方に目をやるとむくむくと膨らむ何かが……。やはりおそろしい……。
競技場の中を覗き、フィニッシュのイメージを高めてから帰路につきます。あの青いトラックをどんな状態で駆け抜けることができるのやら。
レース
23時30分頃就寝5時10分起床です。普段の朝食+リンゴパン6割くらいともち一切れ程度を食べます。シャワーを浴び、着替えとワセリン、日焼け止めを済ませて出発です。
大和西大寺で乗り換えてまで高の原からのバスに乗ってみましたが、7:15頃駅着で乗るまでに20分以上かかったので、大人しく近鉄奈良から歩くルートの方が時間的にも体力的にもよかったです。トイレに行く時間がありませんでしたし…。
更衣室はこの年もスペース十分でした。2017年の目標であった3時間10分切りは大阪マラソンで達成しているので今日は気楽なものです。シューズもイダテンさんをチョイスし、無理せずに走ることにします。ぜんざいと三輪そうめんは絶対に食べるぞと心に誓います。
奈良マラソンで注意が必要なのは、ゲートからスタートブロック(自分はBでした)までの道が狭く、思うように整列できないことです。トイレに行っていると余裕で締め切られてしまうおそれがあります。まあ割り込んでくるランナーもいましたが…。
スタート直後は当然のように渋滞しますし、今日は勝負レースではないので左程気にせず進みます。入りは4'43"/kmでまあ今日はこれより少し速いくらいかなと思いつつ巨大な演歌歌手の方のお姿を撮影します。この辺りでラブライブ星空凛コスと思われる男性を発見するもいまいち自信がなく声をかけられませんでした。
奈良公園までの上りは頑張るわけでもなくリズムとフォーム重視で進みます。この間ほとんど時計は見ていないのですが、結果的に4'31"/kmと予想外に出ていました。10kmと合流して道が狭くなるエリアは足元が危ないので注意が必要です。
その次の5kmは唯一安定して進める箇所なのでリズムのみ意識して軽く走ります。4'22"/kmは意外と速かったです。慣れていない人はここで、「きついと聞いていたけど、ひょっとして奈良は大したことないのでは?」と淡い期待を抱いていしまいます。
ところがそうは問屋が卸しません。15kmを過ぎてから本当の奈良マラソンが始まります。はい、おめでとうございます、畑と山しか見えません。
この先は長めの上りですので、有森さんの教えに従いバナナを取ります。手がべとつくのは嫌ですが少しずつ分けて食べました。
上り坂の途中では、奈良マラソン名物の清志郎さんがおられます。ハイタッチをして少し行くと一応上りは収束します。写真は残っていませんが、掛川や田沢湖で見たような光景が広がっています。時計は見ていないものの4'36"/kmは維持できたらしいです。
次は激しく下るエリアです。ダムは写真を撮れなかったのですが、白川大橋は捕らえました。その次の下りでせんとくんが乗った車両とすれ違ったので勝負をかけてスマホを向けたが撮れず……無念……。
下りの技術は上がっていてキロ4分前後を時折見ました。天理市街地でやや失速するも4'21"/kmは上手く走れたと思います。
ターンしてからは今日のミッションの一つ目、ぜんざいエイドです。がっつり休んで写真も撮ります。エンターテイメント性は大事ですから。甘いものは元気が出ますね。ぜんざいは食べ易いように走路が分けられており、この辺りは運営の洗練されぶりに感心するところです。
止まり慣れていない方はイメージしにくいかもしれませんが、少々停止しても走り出しは案外軽やかなものです。28km過ぎからはコースで最もきつい上りなので顎を上げないようにして腕を振ります。他のランナーを無理に抜くことはしていません。この5kmは、止まった割に4'47"/kmでしたので上出来です。
30kmで2時間18分台だったので、これは残りキロ5でも3時間20分を切れると分かり、更に気楽になります。少し上ってもう一つのミッション三輪そうめんエイドで休憩です。つゆとネギで元気が出ます。実は三輪そうめんエイドの先はすぐに下りに変わりますので、絶妙の休憩所なのです。息が上がりそうな状態で走り続けるよりもリフレッシュした方がよいと二年前に思っていたので、今回ぜんざいと三輪そうめんの完食を達成できてよかったです。
下りは上手く休めて、清志郎さんを過ぎてからもう一度バナナをゲットしました。この先は少し上って少し下りる展開が続きますが一喜一憂せずにフォームとリズムに集中します。35kmの地味な上りで少し息が上がりましたが、とにかく切り替えて進みます。全体を通して残り距離よりも残り時間で体力を計算していました。
38kmを過ぎた辺りで鹿が悠々とコースを横断していて笑いました。これぞ奈良。ちょっと疲れていたので写真は撮れませんでしたが、今思えば立ち止まってでも撮っておくべきでした。
左に折れてからの下りは気持ちよく、特に頑張りもしませんでした。鴻ノ池の上り(最後の最後なのできついと評判です)も同じリズムで進み、トラックも完全燃焼する気もないので競り合わず流してフィニッシュです。それでも35km以降4'33"/km、4'31"/kmでトータル3時間14分台でしたから、地力がついたなと思いました。
二年前はこてんぱんにやられた奈良マラソンでしたが、あの日から自分の練習も変わった転機となる大会だったので、前回から30分弱更新できて素直に嬉しいですし、あの時言葉を交わしたおっちゃんにもお礼を言いたいです。どうもありがとうございました。
まとめ
いかがでしたか。普通の都市型マラソンとは違う独自の魅力を放ち続ける奈良マラソン、走ってみたいという気持ちになりましたか。コースがきついのは間違いないのですが、その苦しさの先には大きな喜びもありますし、奈良の皆様の歓待ぶりも素晴らしいので、少しでも興味をお持ちの方は是非ともエントリーしてみていただきたいと思います。人気大会のためクリック合戦になりますが、頑張りましょう。
奈良の皆様(鹿様含む)、今年も素敵な大会を続けていただきありがとうございます!
ここまで読んでいただきありがとうございます。