ちょっと長すぎる旅ランブログ

百聞は一走に如かず。きっと貴方が好きな大会が見つかります。

東北・みやぎ復興マラソン2017(2017/10/1) 遠くのランナーにできる復興支援は、きっと走りに行って思い切り楽しむことです!

第一回大会の開催は東日本大震災から6年半、あの時にできることがあればと思いながらも何をしていいかわからず苦しく思ったのは私だけではないはずです。

私は、人の行き来が一番の支援になると考えています。普段はそこにいない数の人間が集まり、全力で走らせていただき盛り上げることで、きっと地域の方に“自分達のこの街で頑張ってきてよかった”と思っていただけるのではないかと信じ、願っています。そしてランナーは楽しかった思い出を胸に各地に帰り、美味しいものを食べたと宣伝し、また次の機会に戻ってきて復興の歩みを感じる、それがこういうイベントの意義かと思います。

メモリアルブックも、復興への思いと努力が綴られていて胸に刺さります。はらこ飯は走りながら食べて「あっ、これはランナーが食べ易いようによく考えてくれている!」と分かりました。この日を楽しみに、あれこれ工夫を繰り返しながら準備して下さっていたのが伝わります。

何度も聞こえてくる「ありがとう」という応援の声もとても心に染みました。マラソンをやっていてこその体験です。大会にはまた出場して、マラソン大会自体の改善が重ねられることも含めて復興が進んでいくことを見届けたい、力になりたいと思います。

fukko-marathon.jp

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 前日

遅めの便で19時前に仙台空港到着です。神戸空港から仙台空港までわずか5,000円で来られることは多くの関西人に知られるべき(驚異の)事実です。宮城に行きたいと思っているのに遠いから交通費が嵩むに違いないと何となく思い込んでいる人は絶対多いと思います。おいでよ宮城

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スカイマーク様に感謝です

前日は普通に食べてOKなので、いきなり牛タンを麦とろごはんにワンバンさせて美味しくいただきました。駅ビルの地下の定食屋さんだったかと思います。

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前日からテンションが高いです

レース

二度寝しましたが5時半起床に成功しました。卵、ハム、チーズ、菓子パン2つと牛乳を食べてから熱めのシャワーで目を覚まします。おにぎり梅をバスに乗る前に追加で食べました。更衣室は土地勘がなく迷いそうな予感がしたので着替えはワセリン、日焼け止め込で宿で済ませておきます(テーピングは現地で小石が入らないように注意しつつ貼りました)。会場への移動は、仙台6:32発→名取からバスで問題ありませんでした。名取駅でもスタッフの若者が元気よく誘導して下さり、こちらも笑顔になります。

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いよいよ新たな歴史が始まろうとしています

会場の作りからし動線がよろしくなく混むと見て、珍しくオープン即スタート位置へ向かいます。参加賞受取りに並んでいる方も沢山おられましたが、立っていると疲れますし、時間ギリギリになるのも不安ですので、フィニッシュ後の方がいいだろうと判断しました。グラウンドの水はけ的に、雨の日は辛いかもしれません。

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それぞれの思いを胸にランナーが集まっています

風は涼しかったのですが日陰はゼロなので夏装備で行くことにします。アームスリーブ白、キャップ、ネッククーラーを使いました。2017年当時はまだ暑さに相当の苦手意識がありました。シューズは二代目イダテンさんに頑張ってもらいます。この白さが好きです。

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この後その白さが仇となることは誰も知るまい……。

早目に移動したお陰で、吹奏楽の応援も近くでしかと体感することができました。ゲストスターターは星野仙一さんで、「長い距離ですが、とにかく生きて帰ってくるように!」とご挨拶されていたことが今も鮮明に思い出されます。2018年の1月には逝去されていますので、この頃にはかなり辛い状態だったのではないかと思います。それでも記念すべき第一回大会だからとの一念で役目を果たされたのは、東北楽天を日本一に導き被災地に夢をもたらした「闘将」ならではの強い心の賜物でしょう。最後まで勇気と力を与えていただきありがとうございました。

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吹奏楽の応援は人数も多く、力が入っていました

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星野監督がおられたからこそ!

予定通りに号砲、いよいよスタートです。最初は普通の混み具合で、1kmでやや走り易くなります。

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晴天の空の下、遥か先のランナーの姿まで見えます

3時間半のペーサーが少々速かったのですが、7km辺りで抜きました。調子はそこそこで怪我もなく、コースもフラットなため、あまり抑える理由がないなと思い、流れに任せることにしました。結果、5kmから35kmまで4'40"/km~4'42"/kmで刻むことになりました。かなり安定して走ることができました。流石は別大並みのフラットコースです。

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亘理大橋は行って帰って来ることになります

今回は東北のうまいものがふるまわれるということで、極力色々食べようと思っていました。前半から積極的に取っていきましたが、惜しむらくはこの頃はまだ技術面が(食べる・走る・撮るを同時に成り立たせる程には)未熟だったことから写真を撮れていないことです。これは痛恨です。次に走る時はきっと。

11kmのはらこ飯は、走りながら食べやすいサイズ、容器で感心しました。何度も試作を繰り返してきたことは、メモリアルブックの中にもありましたね。19kmはミカンは取れましたが、ブドウは弾いて取れず、残念な思いをしました。もう少し体の後ろで取るべきでした。23kmの岩沼とんちゃんは飲みこむのに少々時間を要したのですが、あまりマラソン大会ではお目にかかれないタイプの給食でしたので、しっかり噛みしめて味わいました。

ここまでは順調だったのですが、25kmくらいから余裕が無くなってきて、その先は迷ったものの給食は取れませんでした。ほたての浜焼きのいい香りはそそりましたし、ここまで来たからにはせり鍋を、と迷ったものの止まる勇気が出ずに逃してしまいました。この辺りで3時間20分を狙える気がしたので走りを頑張りたいと思ったのもありますが。2019年のエイドステーションのメニューを見てみると更に充実したおいしそうな陣容が並んでおり、これは次回以降も期待できるし、タイム度外視で食べるべきだと、今なら自信を持って言えます。

この日はレース中は晴れ渡っており暑い大会となりましたが、給水が頻繁にあったので助かりました。30kmのアミノバイタルは本当に重宝しましたし、途中コーラもいただいたりと、第一回とは思えないランナーへの心配りでした。

後半になってから時折田沢湖32km地点で痛めた右足裏が気になりましたが、それでも坂はないし、何とかなるだろうと淡々と進みました。沿道の応援は力強かったですし、ゲストの井上大仁選手小崎まり選手野尻あずさ選手も、すれ違う時にランナーに視線を下さったりハイタッチも応じて下さったりで、いつもとはまた違う空気と喜びがありました。この時の素敵な笑顔の思い出がありますので、お三方のことは応援しています。

ラスト2kmの堤防は長く感じましたが、もう死ぬことはないという北海道の教訓と、もっときつい函館のラストを思い出して腕を振りました。ラスト1kmは更に上げ、数人かわして右に折れ、前に誰もいなかったのでそのまま上げてフィニッシュです。最後は復興への思いを込めて力強くいきましょう。

アフター

レース後

完走メダルは被災地の瓦礫の中から拾い集めた石巻雄勝(おがついし)で作られたもので、あまりにも多くの物語が詰まっており、言葉では言い表せない重みがあります。一つ一つ用意して下さったことを思うと、握りしめる手にも力がこもります。

フィニッシュ直後から他にも色々手渡していただけるのですが、暑い日でしたのでアイスも心底おいしく感じました。そしてシューズが赤くなっているのは血ではなく、おそらく途中のトマトによるものだと思われます(爪や足の皮は無傷でしたので)。白かったイダテンさん、初戦にして着色です。

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ずっしりと重みのあるメダルとアイスを手に達成感に浸ります

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お米もおいしいです

さてさて、レースも終わったからには復興マルシェで思う存分東北・みやぎの味を堪能することといたします。もち豚とん汁大河原町)、牛タンつみれ(富谷市)、あんこう唐揚げ福島県相馬市)、秋刀魚すり身汁(女川町)、岩魚の押し寿司栗原市)。うまいものだらけ東北。もう本当皆遊びに来ればいいのに。

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屋台も沢山。よっしゃ食うぞ!

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具だくさん!これだけでも満足してしまいそうです

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牛タンと聞くだけで食べたくなりますよね

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東日本ではおいしいあんこうがいただけます

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そうそう、秋刀魚もうまいったらないのです

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米も魚もおいしくて感謝しかありません

ご当地サイダー澤之泉サイダーと山元町のブドウジュースも。実がぎゅっと詰まった濃厚なジュースは酸味が強くて染み渡ります。あと、ビールはすぐに売り切れたようでしたので、飲みたい方は速く走るしかないですね。

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暑い時は炭酸ですっきりしましょう

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これは濃厚で大満足でした

体力測定もやってみましたが、握力では盛り上げたものの、垂直飛びは笑っちゃうくらい跳べませんでした。そりゃフル直後ですから。ネタになりますので是非。

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びっくりするくらい跳べません笑

ステージにはサザエさん一家も登場して盛り上げます。マスオさんが登場した時に隣の人がやった物真似(驚く時の「ええ~っ!?」)が結構上手くて思わず笑ってしまいました。

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圧倒的存在感

お腹いっぱいになりましたので、名残惜しかったものの会場からそこそこ歩き、バスへと向かいます。バス待ちの間に目に映った海からすぐの場所も、今は田んぼになっていますが、津波に襲われた地域ですから、どことなく寂しいものを感じました。他所から訪れるだけの身としては、長年この土地で生活されてきた方とは同じ思いにはなれないものの、実際に現地に来てみることで少しでも何かを感じ取れることに意味はあるのだと思います。そのような過程を踏んでいくことも、復興には必要なのかもしれません。

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冷たい風に吹かれて物悲しさもありました

この日は第一回大会ということもありバス待ち時間が長く、名取駅行きは見限って仙台空港行きのバスを選択しました。仙台空港からの電車もコミケ帰りかと思う混雑ぶりで地元の皆様にご迷惑をおかけしてしまったのですが、おそらく第二回目以降は改善されているかと期待しています。試行錯誤で改善されていくことも含めて、力強い復興の姿を見せつけていただきたいですね。

仙台駅に帰って来ると物産展が開催されていましたので、ここでもお菓子を買っておきます。

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蔵王のチーズケーキがうまくないわけがありません

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こちらのお菓子も納得のおいしさでした

折角仙台にいますので、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地を見ようと軽くジョグで出掛けます。ネーミングライツの関係で今は楽天生命パーク宮城という名称ですが、当時はKoboパーク宮城でした。本場MLBボールパーク感に満ちた素晴らしい球場で、ここに多くの楽天ファンが足を運び、近鉄オリックス時代のあれこれを乗り越えて日本一を掴んだ歴史を思うと熱いものがあります。

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最近のスタジアムは洗練されていてカッコいいですね

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ヒーロー達の勇姿は野球少年にはたまらない憧れでしょう

そして仙台といえばこれですね。そう、牛タンです。牛タンの一切れ一切れも、身の分厚いテールスープも全てがうまくて、ご飯もビールも進みます。言うまでもありませんが、フルマラソンの後で身体も欲していますし、解放感もありますから一層うまいのです。復興支援は0kcalという合言葉の下、思い切り食べて生かされている喜びに浸ります。

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いやもう本当に仙台に来てよかったです

翌日(仙台城跡と松島観光)

翌朝は疲労抜きと観光を兼ねてのジョグです。宿からの距離も丁度いいですし、早朝から行ける仙台の観光地といえばここということで仙台城跡を目指します。知らない土地をゆっくり走るのはそれだけでも楽しいものです。

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7時前ですので仙台朝市もまだ準備中のようでした

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この先を行けばかえるの里川内なんですね

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橋を渡ればあと少しです

日本フィギュアスケート発祥の地、五色沼という観光スポットもあります。明治中期にここでスケートを始めた外国人たちすごし、と思います。普通に生活しているとなかなかその発想はないでしょうから。

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ここから全てが始まりました

仙台城跡までは結構な坂を上るので、えっちらおっちら歩きも交えながら進みます。上り切ると伊達政宗公騎馬像が待ち受けており、同じ視線で眼下に仙台の街並みを望めます。家康の警戒を避けるため、あえて天守閣を設けなかったそうです。

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雄々しき姿に背筋も伸びます

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ビルを見ながら数百年前の城下を思います

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史跡の復元作業?も行われていたようです

朝早い時間のため青葉城資料展示館等もまだ開館しておらず(当たり前)、大人しく引き返すこととします。

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以前昼に訪れた際はこちらでずんだ餅をいただきました

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標高130m、天然の要害ですので下りも急です

一旦宿に戻り、シャワーと朝食を済ませてから、日本三景の一つ、松島を目指します。これまで天橋立と宮島には訪れたことがありましたが、松島は遠いこともあってなかなかチャンスがありませんでした。今回はまたとない機会ですので、弾丸ツアーではありますが逃すわけにはいきません。というわけでJRに揺られて松島海岸駅にやって来ました。仙台駅からは実はそれ程遠くありません。

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どこからどう見ても松島です

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駅はなんといいますか、味があります

駅から少々歩き、遊覧船乗り場にやって来ました。仁王丸でゆったり50分程度で湾内をぐるっと回るのが定番のようですので、その流れに従います。料金は1500円、2階グリーンは追加で600円となっており、滅多に来られないことから当然のようにグリーン料金も(喜んで)お支払いします。

www.matsushima.or.jp

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間違いようがありません

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いよいよだと期待も高まります

遊覧船ではそれぞれの島のいわれについて説明して下さります。大小様々260もの島があり、次々に姿を現しますから、その場で理解して記憶することは至難の業です。帰ってからの復習が大切になります。松尾芭蕉が訪れて惚れ込んだという場所ですから、歴史も伝説も蓄積が違います。

鐘島は島に空いた4つの穴に打ち寄せる波の音が鐘のように聞こえることがその名の由来とのことです。奇岩の仁王島は海波の浸食によって造り上げられた自然の傑作とされます。他にも双子島、千貫島、かぶと島等、よくぞここまで様々な形状が生まれたものだと自然の妙技、不思議な巡り合わせに感心します。一定の予習ができたことになりますので、次に行く機会があればもっと楽しめると思います。

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鐘島は小判のように見えることから「金島」とも

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仁王島の姿は異形といいますか

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双子島かと思ったものの、違うようです……。

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こちらも伊達政宗公ゆかりの千貫島か確信が持てず……。

これだけ豊かな姿を見せてくれる島々も、東日本大震災で一部崩れたということも聞きました。それでも、この多くの島々が津波の被害を緩和してくれたとも言われ、何か神秘的な力が作用したのかなと思わないではいられませんでした。生活されている皆様が、少しでも辛い思いや怖い思いをせず、平穏にいられることを願ってやみません。

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牡蠣養殖場は平和の証です

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憧れの松島湾巡りを終えて戻って来ました

時間はありませんでしたが、すぐ近くの五大堂は立ち寄ることができました。807年に坂上田村麻呂が創建したものは残っていないものの、現堂も1604年に伊達政宗が再築したもので、東北地方最古の桃山建築とのことです。

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400年以上も前から……。

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五大堂へはすかし橋を渡ります

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駅へと向かう途中で買ったワッフルもおいしかったです

14時頃に仙台空港へ到着し、ずんだで締めます。楽しくておいしい宮城旅行の最後に相応しいおやつですね。

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散々おいしいものを食べて、最後はやっぱりこれです

まとめ

いかがでしたでしょうか。東北・みやぎ復興マラソンに参加したことでとても楽しい思い出ができて幸せな時間を過ごせたということをお伝えできたでしょうか。もしこの記事をご覧いただいて、少しでもこの大会に出てみたいなとか、東北に遊びにいきたいなとか感じられた方がいれば、本当に嬉しいです。

復興支援というと構えてしまうところはあるかもしれませんが、難しいことは抜きにして、遊びに行ってその土地の魅力を堪能することが支援になることは間違いないと思います。たった一人でも、人が動くことで大きなエネルギーが生まれます。それがまた、誰かを力づけ、お互いに影響し合って、明日やもっと先へとつながっていくのです。続けることが大切です。

東北・みやぎ復興マラソンに関わって下さった皆様、とてもとても楽しい時間を過ごさせていただきありがとうございました。これからも陰ながら応援させていただきます。