ちょっと長すぎる旅ランブログ

百聞は一走に如かず。きっと貴方が好きな大会が見つかります。

第69回別府大分毎日マラソン(2020/2/2) 全てを出し切る覚悟で臨むべき特別な大会です!

三年ぶりの参加で目標のサブ3には2分弱届かなかったものの、今の力は出せました。多くの周囲のランナーからも、この日を目標に頑張ってきたことが伝わってきます。終盤の苦しい場面でも必ず、諦めずに前を向いて必死に力を振り絞る方が見つかり、力を借りられます。この空気こそ別大なのだと感じながらその背中を追いました。

日本を代表する伝統の大会の誇りは、沿道の沢山の力強い応援や、完璧な運営にも根付いています。給水、シャトルバス、更衣スペース、トイレの数、いずれも十分で、一般参加の市民ランナーのためにここまでしていただけるのかと驚きます。(なお、あまりにも動線が滑らかで、ふぐ雑炊(写真)に気付かず帰ってしまった方も多いかと思います。)

正直別大は甘くないと思っていますが、ここでは言い訳は許されません。視覚障害のクラスでは道下美里選手井内菜津美選手世界新記録を更新し、青学の吉田祐也選手は初マラソンで2時間8分30秒と快走しているのですから。同じ大会に出られたことを光栄に思うと共に尊敬の念もまた一層強いものとなりました。

やはり別大は特別な大会で、一年の集大成とするべくこの日のために練習を重ね、全てを出し切る覚悟で臨むべきだと思います。今回充実した時間の中で自分の壁に挑戦できたのも、偏に、伝統ある大会を作り上げて下さった皆様のお陰です。別府、大分の皆様、一緒に走られたランナーの皆様、本当にありがとうございました!次こそは納得いく結果を残せるよう頑張ります!

www.betsudai.com

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 前日(前日受付、鶴崎宿泊)

起床後豆乳黒酢を飲みます。レース直前はカフェインを減らしています。朝食は通常メニューにシリアル一杯とスイーツを追加しました。玉葱、人参、キャベツ、大根、ブロッコリー、ワカメ、豆苗、チーズのサラダです。野菜は外ではあまり食べられないので最後に食べておこうという考えです。チョコ二欠片も食べました。6:20前には食事終了です。睡眠は4時間弱に留まりました。起床時67.9kg。重いのですが、前日からの増え方としては適正です。ごちそうさまでした。

7:30過ぎには保安検査も余裕で終えて搭乗口へやって来ました。こんな時間に大分空港行きに乗るのは同業者ばかりです。そりゃそうでしょうね。

9時過ぎには大分空港に到着です。ちっちゃい飛行機で無事に送り届けていただきました。大分空港は初めてです。おんせん県のキャラがかわいいですね。別府までのバスは片道1500円ですが、お声掛けいただいたランナーさんと四枚券4200円を分かち合ったため、1050円で移動できることとなりました。ラッキーです。

10時頃には別府北浜に着きましたが、受付は13時からなので待ち時間が発生します。シースルーエレベーターに吸い込まれ、気が付いたらカツアゲくらっていました。 ここで何となく買った室伏広治さんの『ゾーンの入り方』は非常に得るところが多く、特に、" Hay is in the barn."(納屋には藁がたっぷり入っている。あとは使うだけだ)は、自分の中で今回の別大のテーマとなり、レース中も何度も心の中で唱える言葉となりました。

他に持参したものはブルーバックスの『時空のからくり』、岩波の鈴木大拙『浄土系思想論』、ホッブズリヴァイアサン』ですが、結局読む時間はあまりありませんでしたね。自慢のブックカバーは、それぞれ富岡製糸場西田幾多郎哲学館、湯涌竹久夢二館で購入した面々です。手に取るだけでも楽しくなり、読もうという気が芽生えます。 

 

お昼は11:30頃になりちゃん食堂さんでチキン南蛮定食をいただきました。何と500円という良心的な価格で、しっかりお腹を満たせます。禁煙ではないため運が必要(掻き込んで出ることになりました)ですが、旅行なんてそんなものです。ごちそうさまでした。 

駅のスーパーはかなり充実しており色々買い込みたくなりますが、炭酸水とチーズだけに止めました。12:30からバスが運行されるので、しばし待ちます。

別府駅よりバスで10分弱でビーコンプラザ到着です。受付前に列が整然と分けられており、皆緊張とワクワクが混ざった気持ちで思い思いに待ちます。

 受付ではゼッケン、Tシャツ、荷物袋、大会プログラム等と共にIDカードが配布され、ちょっとしたアスリート気分が味わえます。カテゴリー2や3は白、4は黄緑なので、自ずと上のレベルの方々への憧れの気持ちも抱くことになります。黄緑は本当にちょっとした気分に止まります。

受付後はそのままランナーの広場へと向かいます。『出場選手のみなさまへ』には食券が付いています。ふぐ雑炊(身体に染みる!)とりゅうきゅう丼(ぶりうまし!)を食券で買い、中津唐揚げ(でかし!)を追加しました。杵つき餅は子供達の呼び掛けに皆引き寄せられるため最初大行列でしたが、少しすると落ち着きました。つきたては最高です。

イミダの力の試飲もあり、味わったことのないドリンクをいただきました。これは効きそうです。大会限定グッズは、プリントクッキー、チョコ餅といったお土産に加えてセールのTシャツまで買ってしまいました。家にあんなにあるのに……。サイズはLLばかりで、Lは少ないです。LLを試してみます。

ちなみにTシャツを開けてみると何と長袖でした。我ながらそんなことも知らずに買ったのかと思いますが、長い腕族的にはLLでラッキーです。おさるさんのイラストが振るっていて高得点です。

 14時過ぎには列も解消しており、ランナーの広場に用事がない限りは、ゆっくり来ても問題なさそうです。別府駅行きのバスはすぐに来ますが、大分駅行きは20分に一本なのでかなり待ちます。体力的には別府駅が正解かもしれません。ただ、コースを走って明日の予習ができるのは結構なメリットです。

大分駅から鶴崎駅へと移動し、17時前には今日のお宿に到着です。グッドイン鶴崎さんは一泊4600円で、往復の電車代を考えてもリーズナブルです。朝食バイキングは迷いますが、食べ過ぎるリスクがあるため見送りました。荷物の確認と夕食以外何もしません。ベッドの上でゴロゴロするくらいです。 

夕食はとり天いこいさんで「とり天のいろいろ」ライスとセットでいただきました。本家、葱ソース、南蛮の三つの味が楽しめて大満足です。19時過ぎに入店しましたが、すぐ後で完売となっていました。お母さんが明るい方で、大阪から来ましたとお伝えすると修学旅行で行ったことがあると喜んで下さりました。応援もしていただきましたし、明日は頑張るぞと気合が入ります。

宿に戻り、デザートに大分名物だんご汁と砂肝を追加します。団子は細長く、これが大分のスタイルらしいです。里芋や蒟蒻、人参が入って普通に栄養が摂れるのが身体に優しいです。そして大分の牛乳と言えばみどり牛乳のようです。こちらもおいしくいただきました。ファミマの小さいレーズンバターロール一つで打ち止めにします。20:50前には食べ終わっています。ごちそうさまでした。  

レース

レース前

22:30消灯7:30起床です。気温も湿度も問題なく、ちゃんと眠れました。レースが昼からだと早朝に起きなくていいのが助かります。時間的にも余裕を持って食べ終えました。当日糖質を摂ってもあまり効果はないため、バナナは食べませんでした(レース後にいただきました)。ごちそうさまでした。  

鶴崎駅から大分駅までは10分で、バスは10時前の割とギリギリの時間に乗りましたが、特に問題なく20分程で会場に到着しました。

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一般市民ランナーにもこんなに手厚いサポートが

カテゴリー4の更衣室は高崎山側ですので、邪魔にならないように橋を渡って移動します(少しだけ別府湾の写真を撮ったりはしましたが)。橋の上からは、これから走っていく別大国道が伸びている姿が望めます。

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風光明媚なコースであるのは確かです。楽しむ余裕はありませんが

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この先へと駆けていくのです

更衣スペース、トイレの数、いずれも十分で、一般参加の市民ランナーのためにここまでしていただけるのかと驚きます。自衛隊の皆様のご協力も心強いです。プレラインアップは荷物預けトラックの先ですので、勘違いしないように要注意です。

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独特の空気がみなぎっています

日差しもあり暑そうだったのでキャップを着用します。アームスリーブと手袋は不要と判断しました。ノースリーブとランパンのストロングスタイルにエンペラージャパン3で勝負を挑みます。日焼け止めやワセリンは通常通りの塗り具合で、足指や足裏の冷えは心配ないくらいの気温でした。テーピングは二重に、きれいに貼れました。ソックスも捻じれないよう、丁寧に履けました。

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今日はよろしく頼みます

持ち物はジェルフラスコ2つ。ショッツ2つと経口補水液を混ぜたものと、ハニーアクションとアミノバイタル赤を混ぜたものです。後者には今回初めてカフェイン入りを混ぜましたが、特に尿意を催すことはなかったため、序盤からカフェインを摂取しても大丈夫そうです。塩熱サプリはお守り代わりに一つ持参しましたが、やはり使う余裕がありませんでした。スタート前に2runと共に一粒噛んでおきました。アミノバイタル粉はスタート40分前くらいに飲んだかと思います。

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基本的には過去に何度も試しているメニューです

アップは大掛かりなものは特にしないのですが、接地の感覚を確かめる小刻みなステップと、肩甲骨周りの動きを確認するための動的ストレッチを行っておきました。

プレラインアップからスタートへと移動し、2分前にアミノバイタル赤の残りを飲み干します。いよいよ始まるのだと、周囲の緊張感も高まります。 

レース

序盤

初めに言っておきますと、この大会で記録を狙うなら陸連登録をお勧めします。私は未登録4030番台でスタートロス59秒でした。その後ペースに乗るまでに相当の時間がかかり、力も使います。(それでも他の大会よりは周囲も速いですし、真剣な方も多く、道を塞がれたりはしないためありがたいです。登録していない自分が悪いので、文句を言う筋合いにはありません。)

とりあえずロスが1分であれば全体で2秒、平均で4分13秒ならグロスでギリギリサブ3という目安だけ立て、後はネットタイムに意識を集中し、自分の力を出すことだけを考えます。" Hay is in the barn."最後の一本まで藁を燃やし尽くせるような走りができるのか、目指すべきはそれだけです。

入りの5kmは手元22分5秒でした。概ね狙い通りです。大阪マラソンの時はまさかの手元22分56秒でしたから、後は大阪マラソンと同じくらいで走ればベストが出ると思い、落ち着いて走ることができました。

給水は6kmから2.5km置きに設置されているため、安心感があります。コップはつぶして親指と人差し指の間から飲むスタイルで通しました。確かに鼻に入ったりぶちまけて顔面にかかったりはしないのでやり易そうです。

10kmの折り返し前では少し下りがあり、帰りは当然上りますが、ここは前回の経験で覚えていますので、特に怯むことはありません。

日差しはあるものの、風も吹いているからかそこまで暑さは感じないで済む一日でした。太陽の向きに合わせてキャップの方向は変えました。行きは後ろ向きに被って首筋を守り、折り返してからは前にすることで目を保護します。暑さ耐性だけで言えば白山白川郷100kmの34℃もありましたし、北海道マラソンも雨で涼しかったとは言え今日よりも気温は高かったわけだし、と自分の不安材料を打ち消しておきます。(暑さのため最も身の危険を感じた白山白川郷ウルトラマラソンの記事もありますので、ご覧いただけると嬉しいです。)

savarun.hatenablog.com

14kmの通過は、手元1時間35秒くらいでしたので、徐々に上げて行けば大丈夫だと思いました。ここで自分の中の二人目にバトンタッチです。一人目は大崩れすることもなく、後ろを信頼して着実に走ってくれました。

中盤

15kmのラップでは、21分9秒でしたので、いい感じでじわじわ上がって来たぞと手ごたえを感じます。別府タワーを通過し、高崎山の方へと向かっていく辺りは、上るわけでもない山があるだけで何となく不安を覚えるところですが、この辺りは冷静に進めました。ピッチは高く、接地は柔らかく進めていた感覚はありました。

ただ、時折やや重心が後ろに残ってしまっているなという感じもあり、改善しようと時々注意しましたが、後々まで響いてしまったようです。へそドライバーの意識が甘かったです。顎も普段よりやや上がっているかなと考えていました。

別大国道を南下するエリアでは向かい風を感じるため集団の力を使いたいところでしたが、案外いい集団が見つからなかったため、誰かに少し付いては抜き、また別の誰かに付くということを繰り返していました。どこかに鉄の団結力を持った集団もいるのでしょうが、ビルドアップで走っているとなかなかそういう集団に出会う機会もありません。

うみたまごが20kmですが、そこに至るまでにもバンクの傾斜があります。更に、中間点過ぎ辺りは傾斜がきつい箇所があり、左脚裏の皮膚が擦れてしまいました。走っている時は痛みを感じませんでしたが、翌日帰宅して見てみると結構なむくみと出血を伴っていました。フルマラソンは69本目でしたが、こういう血豆は初めてです。ライン取りは工夫の余地がありそうです。基本的には角度が大きすぎないラインを探りつつ、他のランナーの動きも見て、走り易そうな線を選んだつもりではいますが。トップ選手の映像を見ておくべきでした。

それでも前回走った時はうみたまご前でかなりやられていましたし、一度走った経験値は大きいという自信も持ちつつ大分市へと向かっていきます。大分へと下っていく坂はまだ力があり、普通に下ることができました。

別府から大分に入り、県立美術館へと左に向かいます。バンクの傾斜もなくなり、応援も多いエリアですのでいけるという気持ちになります。写真は翌日に撮ったものです。26km地点くらいだと思います。28kmでは時計をきっちり見ることができませんでしたが、この14kmでは1時間を切り、アベレージも4分16秒くらいに回復していたと思います。ここで最後の自分にタスキをつなぎます。

後半~終盤
パチスロを右折し、少し行くと大分川を渡ることになります。風も吹くので弱気になり易いところかもしれませんが、まだ余力はあり、肩甲骨の動きを意識しながら、肩を振り過ぎずに細かく刻んでいきます。肩全体を振り回すとロスが大きいので、コンパクトなフォームを心がけます。

大分川は、走っている間は景色を楽しむ余裕がありませんでした。考えてみれば当たり前ですが、もうすぐそこに別府湾があるのですね。景色を楽しむ余裕こそなかったものの、体力的な余裕とはまた別の話です。この日は自分の走りにかなりの程度集中しており、周囲のランナーがどのシューズを履いているかや、Tシャツに書いてある文字が何なのかといったことはほぼ意識せずに終わりました。いつも如何に気が散っているかということかと思います。

橋を渡ると下りですが、この時点で下りなのに何故か脚に力が入らない感覚がありました。ここで30kmです。5kmのラップは手元20分55秒でしたので、このまま行けばネット自己ベストは間違いないと思いました。

ただ、ここから折り返しまでの5kmが、逆風のせいもあり長く感じました。木陰があるのは救いですが、なかなか終わってくれず、まだかまだかと考えてしまいます。(なお、翌朝ジョグしていて知ったこととして、サブエガを目指すランナーさんを応援しようというわけではないでしょうが、奇しくも江頭2:50看板もありました。)

 

途中で痰が絡んで珍しく咳が出ました。路上に吐くのはランナーのマナー的に絶対に嫌ですので仕方なく前腕を使ってウェアの裾に擦りつけました。呼吸が乱れたこと自体よりも、この時点で腹筋の疲れを感じたことが気になりました。

34km付近の橋は、長くはないものの少しの上りすらきつく感じます。折り返してくれさえすれば追い風になる、そうすれば一気に楽になるのだと念じます。

この5kmは手元21:29で、落ちているのは体感的にも分かっていましたが、確か大阪でも思った程上がっていない区間もあったのだからと思い直します。順風に切り替わっているため、身体への負担は少ないはずです。

実際、ここから大阪と同じくらいの勢いでペースアップできればネット自己ベストだったわけですが、この日はきつくてとても爆発力を持って上げる力はありませんでした。

それでも、" Hay is in the barn."と唱え、何とか最後の一本まで藁を燃やし尽くすのだ、その先にある世界へと進むのだという気持ちだけで、落ちないように粘ります。今まで耐えたことがないから、上げたことがないから自分でもわかっていないだけだ、今日こそはその先を全身で感じ取りにいくのだという気持ちだけです。

鏑木毅さん“楽しむ勇気”もそうですが、今この瞬間こうして挑戦できていること自体があり得ないくらい幸せなわけです。速く走れることは元来楽しいことのはずです。肉体的に苦しいことはありますが、その苦しさを恐れて力を抑えていては、本当に楽しい、自分が望んでいる感覚は得られないわけです。ですので、もう絞り切るしかないのです。どんなに頑張っても死ぬことはありません。

そんな思いは持ちつつも37km辺りでは苦しくてもう駄目かと思ったのですが、ここで後ろから抜かれた高齢のランナーさんの諦めない姿に感銘を受け、しばらく付かせていただきました。この方もきっと今日の為に必死で練習してきたのだ、そして最後まで全力を出し切るために今、苦しい思いと戦っているのだと思うと、自分もここで投げてしまっては絶対に後悔すると強く感じ、何とかその背中を追い続けました。

1km程近くを走ったくらいで、このランナーさんも疲れが出たのか、後退していきました。心の中でお礼を言いつつ、もう情けないくらいの苦悶の表情でとにかく前を向きます。そこまでペースが上がっているわけではないものの、大きく落ちているわけではないと言い聞かせ、全力を、全力をと念じながら走ります。

この橋の下で40km、もうひたすら堪え忍ぶしかありません。ラップタイムも何も見ていません。見た所で速くなるわけでもありません。3年前にこの光景を見た記憶は全くありませんが、大分川の手前で右折することだけは覚えています。その右折の瞬間だけを待ちます。最後の給水はもう取らず、右折です。ここを、ここを右折するのです。

右折で下りますので、スピードに乗りたいところですが、力が残っていません。とにもかくにもピッチだけは落とさないよう、腕を小刻みに振ります。残り1kmないのは分かっていますが、とても長く感じます。土手の上にも応援の方が沢山おられますが、声援に応えるような力強い走りはできません。それでも一人一人拾っていき、競技場直前でもイヤホンランナーを一人捕らえました。

競技場にたどり着くと時計があり、たしか2時間59分台でした。もし自分が3時間切りだけを考えていたのであれば、時計を見た瞬間に心が折れて後は惰性で走ったかもしれません。ただ、今日やりたかったことは、" Hay is in the barn."です。最後まで自分の力を振り絞れば、誰に恥じることもないのです。願ったタイムでこそなかったものの、トラックでも極力ペースを維持し、スパートらしいスパートではないものの、何人かは抜き、フィニッシュラインを越えました。

タイムはネット3時間38秒で、大阪マラソンより52秒遅かったのですが、ものすごく疲れました。終わった時の脚の重さが、いつもとは違いました。自分なりに、少しだけでも全力に近づけた実感があり、その充実感はありました。

別大は他の大会とまた違うなと感じた点として、サブ3ランナーが多いからというのもあるのですが、フィニッシュ後に笑顔で声援を送っておられる方が本当に沢山おられ、誇りある大会を共に走った者同士の少し特別な連帯感が芽生えるのかなと思いました。彼らの笑顔は、とても素敵なものでした。

歩く力はあったものの、次にここに来られるのがいつになるかは分からないため、芝生の上で大の字になって、しばらくぼんやりとしていました。芝の感触がとても心地よかったです。3時間を切れなかったことで応援して下さった方と喜びを分かち合うことができませんでしたが、それはそう遠くない未来にあるのだから、落ち込むことはありません。周囲は「今回は残念だったね」と言うでしょうし、自分が逆の立場でもそうでしょうが、本人の中には確かに感じ取れるものがあり、それこそが自分でしか手に入れられないものです。

もし今回も神戸のラストのようにだれていたら、それこそ後悔を抱えたまま悶々と過ごすことになったでしょう。スパートが決まったわけでもなく、ラストも褒められたスピードでもなかったのですが、耐えに耐えたことで自分の壁をほんの少しだけ破れたように思います。この、壁を破ろうとして力を出すか否かは本当に大きな差になるはずです。

アフター

レース後

とりあえずハニーアクションリカバリーをドリンクで流し込み、笑顔でタオルを受け取って荷物受け取りへと進みます。バナナ2本、プロテインバー3本を摂取し、回復に努めます。たんぱく質だけでなく、直後の水分と糖質が肝だとも聞きますので、今回は甘いものも摂っていきます。

カテゴリー4だと荷物受け取り後流れでバスへと乗車したくなるところですが、競技場の方へ足を運ぶと出店がありおいしい炭火焼きとり天等が味わえます。更に奥へと進むとふぐ雑炊のふるまいがあります。疲れた身体に染み渡ります。回復効果も高そうです。気付かずに帰られた方は次回以降是非に。

バスで大分駅まで送り届けていただき、今日のお宿に到着です。Hotel910さん、日曜ということもあり何と一泊3500円。ランドリーもあって大助かりです。三年前に引き続きお世話になります。ありがとうございます。

次に真面目に走るのは秋になるため打ち上げを執り行います。甘いものは最高です。今日はタイムの割に疲れましたし、何もしたくないくらいの勢いです。この後の予定も何も考えていなかったため、しばし食べることに没頭します。 

夕食は19:20頃に人気の大納言さんでとり天定食をいただきました。ご覧の通りとり天のボリュームが素晴らしく、味も確かですので納得の満足感です。お味噌汁にレモンを入れるのも新感覚でグッドです。お店もきれいで店員さんも親切な方ですので、言うことありません。端的におすすめです。ごちそうさまでした。

 食前に31分、食後に60分、ジョグできてしまい、やはり全力を出しきれなかったかと残念な気持ちが強まりました。が、終わった時の脚の重さは久々でしたし、全力を出す出さないも100 or 0ではないので、いつもならもっと崩れてもおかしくないところで堪えたことで全力に近づけたのは確かだと思います。

とりあえず膝の筋や腿、ふくらはぎ、足底の筋肉に異常がなさそうなのはよかったです。大分川をジョグして、最後上げ切れなかった理由と対策を考えつつ、夜の大分市営陸上競技場を眺めていました。

宿に戻った後、打ち上げ第二段を決行しました。甘いものが好きで好きでたまらないので、ここぞとばかりに気の済むまで食べます。しばらくは好きなだけ食べようと思います。オレオもこういう楽しみ方があるのか、ショコラシューのチョコクリームやたらうまいな、と至福の時を過ごします。

 タルタルフィッシュもおいしくいただきました。言うまでもなくパンも大好きです。 

こうして食べまくっていますが、ネットで52秒負けた大阪との一番の差は減量ミスだと思っています。年明け以降の落ちなさには焦りも感じました。昨年はバターやナッツを食べまくっていたので、チーズに切り替えた分の脂質やカロリーではそう差はないはずなのに何故か、悩むところでした。

野菜の摂取量を増やした結果、細胞や皮膚の調子も良く、リカバリーも速いため、そのこと自体は走りに明らかにプラスなのですが、ここ一番で勝負をかけるために落とすには適正量を見つけなくてはならないようです。直前は食物繊維を増量してみましたが、そこまでは効果が実感できませんでした。

ただ、日常的に食物繊維の摂取量を増やしておいたお陰か、直前のカーボローディングの名の下に行うどか食いでも胃腸の調子が崩れることなく乗り切れたのはありがたかったです。急に身体が重くなって気持ちが悪いということもなかったですし、無駄なものは適度な硬さでしっかり排出できました。これは今回の収穫の一つです。

栄養面で他に違った点としては、直前二日の就寝前にアミノバイタルを摂取していなかったことも挙げられます。食事が充実しているからいいだろうというのと、単純に失念していたからというのが理由ですが、考えが甘かったとも思います。

食事に限ったことではありませんが、ピーキングは大事だと実感しました。特に別大は並大抵の気持ちではなく強い覚悟で臨むべき大会ですので、大量の大会の間に出るようでは失敗リスクが高いです。ハードコースのいぶすきとトレイルで脚作りという作戦は悪くなかったとは思っていますが。

走りでは、失敗レースで起こり勝ちな腹筋の強い疲労がありますが、これはピッチが高過ぎるせいかもしれません。196spmで押し切り、脚へのダメージは少ないものの、最適解はもう少しだけ低い所な気がします。これも悩み所です。膝やふくらはぎ、足底を痛めるとアウトですが腹筋はそこまでではないので。

腹筋はしばらく強化を続ける方針で行くとして、走りのバランス、推進力は上手く得られているのかに疑問も感じています。今日は32km以降きつくなってからもピッチだけはと粘りましたが、あまり進みが良くないのは分かりました。ただ、ここで脚に力をこめても辛いだけなので、要は腰前意識が薄かったのだと思います。大阪では189spmでしたから、最適解を見つけられるようにしたいと思います。大阪マラソンの記憶と、今回の経験を組み合わせればきっともっと速くなれます。

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珍しく左足親指の付け根周辺の皮が擦れているのは、中間点付近のバンクの傾斜によるもので、フラットエリアでは普通に走れていたと思います。いつもよりしっかり踵を着いた気もしましたが、今日も大して損耗せずに終わっています。次はいよいよヴェイパー使いを目指さなくてはと思いもしました。

あと、他にタイムを縮めるためにやるべきことは陸連登録かもしれません。単純に前から出られるだけでも大きいですし、最初に走力的に差がある登録者の壁を抜けてそこそこの速さまで持っていくために力を使うのが後々地味に効いてきます。

それでも今日は5kmの入りも大阪より速く、これはいけると思いましたし、30kmでもネット自己ベストは堅いと思っていたのですが……。でもその先で周囲の力を借りて持ちこたえたことで、少しだけ次の世界が見えてきた気もします。だから、今日は収穫が多かったのです。

翌日(別府観光)

興奮もあり寝付けず4時間半程しか眠れませんでしたが、6:30には起きて始動します。

例によって疲労抜きと別大の振り返りを兼ねてジョグに出かけます(結局90分もやってしまいました。大体キロ7です。)。コースの写真を撮り、上記のレース振り返りでアップすることで記憶の喚起に役立てます。コースを散々見て苦しみに顔を歪めた後、大分川沿いを気持ちよくジョグしながら、市街地へと戻ります。 それにしても流石に別大、朝から走っているランナーさんが多いですね。しかも速いです。

昨夜の大府城、真の姿は骨組みでした。そりゃそうですよね。ザビエル像も拝み、ジョグ終了です。怪我はないのでよかったです。いつもに比べて少し左足親指付近の甲が痛いくらいです(帰宅後確認すると結構しっかり指の股が破れていましたが)。筋肉は大丈夫です。つまりもっともっと攻めるべきということです。

朝から回鍋肉という喜びに浴します。パンもチョコクリームが入っていてたまらないです。しっかり回復して観光に励むとしましょう。ごちそうさまでした。

大分駅から別府駅へ移動し、かぼす最中石垣餅よもぎで好調な滑り出しを見せます。大分に来たらかぼすでしょう。石垣餅は芋も入っていておいしいです。時間の都合上ロープウェイは断念しました(帰りのバスのタイミングが厳しかったので)。地獄巡りも前回行ったため、今日は近隣の散策を楽しむことにします。

別府駅傍のもち吉さん抹茶ジェラートみにさいずとくさもちを購入しました。八女茶が期待以上に濃厚で大変おいしいです。くさもちもシンプルかつ確かな味わい。ごちそうさまでした。 

別府温泉を代表する竹瓦温泉に来てみました(ランナーは無料券あり)。歴史ある建物の風格は圧巻ですし、暖簾をくぐると脱衣場と浴場が一体になっていて、いきなり浴槽かよと意表を突かれます。流石は明治から受け継がれる温泉で、道後温泉と同様タイムスリップした感が味わえます。別府地熱ぷりんはこれまた濃厚で嬉しみがあります。 

お昼にはグリルみつばさんにてみつばランチをいただきました。トンテキはお肉が抜群に質が良い上に卵で薄く覆われていてうまいことこの上なし。白身魚フライも赤だしもおいしく、昼は禁煙で褒めるところしかありません。待っている間からワクワク感があります。別大マラソンのお礼も笑顔でお伝えし、幸せを噛み締めました。夜は更に豪華なディナーもありますので、どれだけおいしいのだろうと妄想を膨らませます。ごちそうさまでした!

温泉地を歩いていると色々とレトロなものに出くわしますな。成人映画て。 

時間の許す限り温泉でしょうということで、山田別荘さんの内湯にて汗を流してすっきりです。趣のある建物に心も癒されます。広報誌Bippu Passで割引も受けられてお得です。 

時間的にかなり厳しかったものの、旅ランナーの意地で別府タワーにも上りました。東京タワーより歴史は長いとのことで、ガラスもヒビを保護しつつ使っています。亀川方面、高崎山公園を交互に見渡し、昨日はあそこを走らせていただいたのだと感慨と共にしばし物思いに耽ります。

それにしても上から見るとマラソン走る人達はどうかしてるとしか思えませんね。何が楽しくてあんな遠くまで行って帰って来るのかと思ってしまいます。よく言われるセリフですが、誰だって傍から他人を見るとそう感じるものなのでしょう。そして20タワーのうち上ったことがあるのは五稜郭タワーくらいで、関西は全然……。(東尋坊は麓まで辿り着いた頃には営業時間終了でした)

とにかくかぼすかぼすかぼすです。どれもおいしいので、ここにいると果てしなく食べまくってしまいかねません。名残惜しいところですが、昨日の序盤を思い出しつつバスで空港に向かいます。 

仕上げに空港でざびえるざぼんチョコレートビターシュークリームを買って大分を後にします。カスタードクリームがおいしくて、いい卵使ってるなあと分かります。楽しい思い出をありがとうございました。

まとめ

こうして振り返ってみても本当に素晴らしい、全てを賭けて挑む価値のある特別な大会だったなとしみじみと思います。この大会の魅力は、私が書くまでもないことですが、やはり多くのランナーがこの日のために準備し、真剣に走り、支えて下さる皆様もそれ以上に熱い思いを持って関わって下さることで生まれているのだと思います。伝統あるスポーツの大会が持つ力というものを感じさせてくれる、独自の存在価値を放つ最高の大会です。

今回、別大マラソンを走らせていただき、また走ることの魅力を再発見することもでき、とても幸せな経験ができました。まだまだ続けていきたいです。そして、次こそはここ別大で、納得のいく成績を残したいです。

別府、大分の皆様、一緒に走って下さったランナーの皆様、今年も素晴らしい時間を本当にありがとうございました!