大好きな遠征の日々が戻る日を楽しみに、次々と振り返っていきたいと思います。
その坂のきつさで一部マニアの間で有名なこの大会、2017年は会場のつま恋リゾートの運営問題で開催が危ぶまれたこともあり、何としてもと大阪から初参戦を決めました。
タイムなど狙えるはずもありませんので、ダンジョン攻略くらいのノリで走りました。後半、特に28km以降は期待以上の坂で、経験値稼ぎまくりです。すごいのは最後の最後まで許してくれないことですね。いぶすきもいわきも能登も最後は平地ですが、つま恋に入ってからの上りは全然スピードが出ず、この世のものとは思えない苦しさが味わえます。修羅道のごときラストの上りで力を振り絞って前のランナーを追うのも得難い経験ですし、ここで諦めないことで自信もつきます。
勿論苦しいだけではなく、フルーツステーションでマスカット、イチゴ、メロン、オレンジといった回復アイテムをゲットし、ゼリーと戦国汁はセーブポイントのごとく立ち止まって休憩する等喜びもあります。雨にも関わらず応援して下さる皆さんの力を借りてどうにか前に進み、当時としては頑張って一応3時間半は切れました。派手な応援はなくとも、特産物を味わえるのは嬉しいですね。
次回は強くてニューゲームみたいな展開に、なるわけないよなあという激しい戦いでした。でもあれから三年経った今ならどれくらい戦えるのか、試してみたいな…という気持ちもあります。それだけ人を惹きつけてやまない魅力がある大会です。
掛川の皆様、雨の中、温かい応援ありがとうございました!
(公式サイトでも坂を売りにしているのがよいですね笑)
茶畑はその栽培に適した条件によるものでしょうが、傾斜がきついことが多いです。マラソンコースで茶畑が含まれると大抵ひどい目に遭うと思っておいた方がよいでしょう。あいの土山マラソンも撃沈しましたが、また出たい大会の一つでもあります。
前日(掛川城と掛川いも汁)
寝過ぎたので慌てて準備しました。この頃は前日に朝練もやっていましたね(0:27'04",5.48 km,4'55" /km ウィンドスプリント3本とジョグ)。時間がない中、ものの五分で昼食を作り肉と野菜を摂取できたこともあり、かなり厳しい乗り換えでしたが、どうにか無事こだまに乗りこみ出発です。
折角だからと浜松で降りてみましたが、雨で観光気分ではありません。ちょっとだけ地下を歩いたりしました。浜松では強引に鰻を買わされる展開も心のどこかで期待していたのですが、それはありませんでした。でもとりあえずうなぎ関連商品は購入します。
掛川駅の駅舎は新幹線の駅としては唯一の木造とのことです。なかなか風情のある面持ちです(なお、私は浜松から鈍行での移動です)。
今日のお宿はくれたけイン掛川さんです。駅からすぐという利便性だけでもこちらを選ぶ価値があります。なかなかの部屋で、窓がブラインドではないのも渋く感じます。朝食込、ウェルカムドリンクでビールも選べるのに5700円とはリーズナブルで嬉しいですね。
早速観光へと出かけます。市立図書館のセンスが光っていました。
雨が降っていたとはいえ、ここまで来て掛川城を見逃すわけにはいきません。掛川城天守閣と御殿を見学します。天守閣の急な階段と御殿の木の香が印象的でした。
どでかい城というわけではないのですが、周辺も風情があって散策のし甲斐があります。掛川桜は三月中旬頃に満開になるらしいです。
雨でそれほどは歩けないのですが、駅前のスーパーでカーボローディングの名の下にパンを買ったりと観光気分は忘れません。
そして晩御飯は楽しみにしていたいも汁です。このうまさは自然薯と鯖出汁の絶妙の溶け合いのなせる業なんですね。ごはんにかけて食べるのですが、これがなんともまあ優しい味が口の中に広がるのです。お店のおばあちゃんもにこにこされていてとてもいい方で、元気で続けていただきたいなあと笑顔でお店を後にしました。
レース
レース前
夜暑かったせいかあまり上手く眠れませんでした(夕方のビールが影響したとはおもえませんが)。起床6時過ぎは許容範囲です。雨自体は涼しいので歓迎ですが、シューズが濡れるのはやはり辛いので、この先の天気が気になるところです。
9時半スタートなので6時半にはメインの朝食を終えるのが定石なのですが、朝食のバイキングがおいしかったのと、まあいけるだろうくらいの軽いノリで6時40分過ぎまでかなりの量を食べてしまいました。このまま帰ってもいいくらいの満足度です。感謝の気持ちを込めて、部屋に置いてあるアンケートでべた褒めしておきました。メッセージはできるだけ残すように心がけています。その方がお互いハッピーになれますから。
出発前にシャワーで目覚ましです。ワセリンはタイツが厚いことも考え膝裏も注意して塗っておきます。親指の付け根にも塗ってみました。結果的に今回は足裏の出血はなしで済んだので、擦れやすい箇所には塗るべきなのでしょう。単にシューズがイダテンだったからかもしれませんが。
自作Xテープはカッターではがし易くするための線を入れ忘れたものの上手く貼れました。これはこれでありと気付いたので、この大会以降は切るべき箇所を切って形を整えるのみとしています。靴下を履く際に中で剥がれたりするので、少々経験が要ります。この日は上手く履けたようです。
駅からはシャトルバスで移動でき、ありがたいです。つま恋は坂しかないという現実を知り不安になりますが、まあもしかするとこの道は通らないかもしれないしな、と現実から目を逸らすこととします。
到着後の駐車場と荷物預けで靴が泥にまみれて閉口しましたが、雨の大会とはそういうものです。大人しく受け入れるとしましょう。
スタートまでにヴァーム粉と経口補水液、一本満足バーを食べました。小雨も降っていましたし、そこまで暑くはならないと見てネッククーラーは不要と判断しました。当時はまだ暑さにも弱かったのです。今から見ると諸々心配し過ぎていたように感じます。
今日の目標は全てのイベントを回収することです。ビビったりタイムを気にしてフルーツステーションや戦国汁をパスすると後悔するだろうと考えました。次にいつ来られるかはわかりません。大会とは一期一会なのです。
もうすぐスタートです。ハードコースですが、皆さん頑張りましょう。よろしくお願いします!
レース
スタートからの下りは左程上げず、体調チェックくらいのつもりで走ります。周りは結構勢いよくいきますね。度胸があります。最初の上りで、後半に複数ある同レベルの坂のイメージを掴むのだと言い聞かせ、軽めに走ります。
最初の坂はそこまで長くはない印象でした。ただ、傾斜と路面が濡れていたのとで、イダテンだといつもより大分滑る感覚がありました。これまたどうしようもないので受け入れるしかありません。マラソンは思い通りにいかないことを受け入れていくタイプの娯楽なのです。
正直なところ、中盤の平地でも15km辺りまで腹が重かったです。お腹がいっぱいで走れないという大人にあるまじきミスです(情けない)。姫路城も同じくらいの量食べたものだと思っていましたが、後で写真を見てみると大分少なかったです。記憶では、正午スタートの防府が同じくらいだったと思います。
当時はまだ走りながら撮影するスキルが発達していなかったことと、雨であまり視界がよくなかったため撮影のモチベーションが上がり切らなかったことから、コースの写真はほとんど撮れませんでした。15kmを過ぎてからの最初のフルーツステーションではマスカットと苺をいただいているはずなのですが……。折角だからフルーツをゲットせねばと喜んで食べた確かな記憶があります。
それでも菊川沿いでは潮騒橋を写真に収めます。ここで撮らなくては何も残せないと思って頑張りました。
この頃には雨も止んでおり、少々蒸し暑いものの危険な暑さではないと安心します。
後半はいよいよ坂のオンパレードで、攻略し甲斐のあるダンジョン感が漲ってきます。でかい坂は、大体7,9,3,7(27,29,33,37という意味です)とラストと覚えておいたので、一々ビビることはありませんでした。いぶすきで見たような光景が何度も繰り返されました。呼吸が少し乱れることもあったので、下りで整えることに重きを置き、減速は気にしないことにしました。下りで腰が引けたのは色々とまずかったです。怪我にもつながりますので。
30km過ぎのエイドステーションでは戦国汁がふるまわれます。後で吐くのでは……と迷ったのですが、気分転換しないとやってられないと判断して立ち止まり、テントの中でがっつり食べました。ゼリーももらえていい休憩になりました。ここはセーブポイントとして活用したいところです。
この先のフルーツステーションではメロン、オレンジをいただいたのを覚えています。右に寄って贅沢に提供されたメロンを食べました。甘さに元気が湧いてきたのをよく覚えています。あまりに余裕がなくて写真が残っていないのが残念でなりません。今の力が当時の自分にあれば、大会の魅力をもっとお伝えできたのに……。
ここから先も坂が次々と襲い掛かってきた朧気な記憶はありますが、きつくて光景を目に焼き付けることもできませんでした。茶畑の洗礼とはこういうものかと思い知りながら、ただよれよれと進んでいたと思います。レトロ感満載のトンネル(明治竣工)があったらしいですが、全く記憶にございません。
それでもいつかはマラソンも終わるもので、ようやくつま恋付近まで帰ってきてトンネルを抜けます。トンネルを抜けた先には、認めたくありませんが、きっつい坂があります。最初に下ってきたあの坂です。この期に及んで、“もしかしたら行きとは違う緩い坂があるのかも”という根拠一切なしの願望が浮かんできます。全力での現実逃避ですね。
ラストのつま恋に入ってからは、もう上げる気力も無く、頑張ったからいいよねモードに入りかけましたが、何とか気持ちを奮い立たせ、左に折れて坂が急になるところで上げて一人抜き、坂二段目(この世のものとは思えないきつさでした。修羅道です)でも腕を振って何人か抜きました。時計は見ずに、ただ追うのみです。最後の折り返し後、まだ戦えると判断して二人抜き、あと一人は一秒届かなかったくらいで終了です。
幸い雨と風で涼しかったですし、スポンジも沢山取れたので最後まで持ったものの、これで晴天だったら倒れているか、そこまでいかなくとも3時間半ではまとまらなかったかもしれません。最後は本当にきつく、珍しく鬼の形相になっていたと思います。
アフター
先ほどまで死にかけていたのに、いや、死にかけていたからこそ、ここで食べる何もかもがおいしいのです。ビール、おこたま、肉巻きドック、柏餅、抹茶アイスに次々と襲いかかりました。
やっぱりこれを飲まないことには話になりませんよね。掛川茶を配っているお姉さん達が可愛くてどぎまぎしつつ、おいしくいただきました。
大規模なライブを開催できるつま恋リゾートですから、スペースは十分で、出店も沢山あって楽しめます。広過ぎて移動が大変に感じるかもしれません。
四月は桜の季節です。コースの外周に咲いた桜が、最後の最後に迎えてくれたのだなあと思いながらその色に安らぎを覚えました。
後ろ髪を引かれる思いではありましたが、つま恋に別れを告げます。終わった直後は、もう一度走れと言われると珍しく躊躇する部分があるくらいきつかったです。しかしまた戦いへと駆り立てられているわけですからマラソンはなかなか業が深いといいますか。今回も得難い経験ができたと思います。
帰りは浜松からひかり自由席で帰りました。
帰りの新幹線の中では、今は本当に頭おかしいくらい旅行に行きまくっているものの、自分もいずれはどこかに根を下ろさなくてはならないのだろうとうっすらとは感じていました。多くの人は選択の余地なく地域に定着することになるでしょうし、自分もまた例外ではないからこそ、今しかできないこととして無理を押してでも飛び回ろうと考えていました。そして今でも変わらない生活を続けています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。三年前の自分の余裕のなさからコースの思い出にせよフルーツステーションの写真にせよ十分に残せていなくて惜しいのですが、かえって坂が尋常ではないことはよく伝わったのかもしれません。とにかく、ここを走っておけば語り草になることは間違いありません。榛名湖マラソン、田沢湖マラソンと共にランナー仲間との鉄板ネタになるのではと思います。
きついにはきついのですが、それだけではなく、甘くておいしいフルーツと温かい応援が貴方を待っています。勿論、数多の坂も貴方の挑戦を待ち受けています。部門も多いですし、色々な楽しみ方ができる大会です。
こうして振り返っていると、またこの大会も走りたくなってきました。うずうずします。ランナー人生をいつまで続けられるかは分かりませんが、まだまだ沢山の素敵な大会に参加させていただきたいなと、新たな気持ちを確かに感じた今回の振り返りでした。
掛川の皆様、きつくて楽しい時間をどうもありがとうございました!
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。