ちょっと長すぎる旅ランブログ

百聞は一走に如かず。きっと貴方が好きな大会が見つかります。

第14回えちご・くびき野100kmマラソン(2022/10/9) 二年に一度の夢舞台!絶対に出ておいた方がいい大会の一つです!

両コース合計出走者1655人に対し、ボランティア数が3000人以上。この軍勢にはさぞかし上杉謙信公もびっくりすることでしょう。とにかく至るところから応援していただけるので、終始笑顔であの広い、山あり谷あり田んぼあり海ありのコースを駆け抜けることができました。顔の筋肉が疲れ、歯茎が乾くくらい、ずっと笑っていました。奇跡的な涼しさも天からの贈り物だと思います。100km以上は8本目ですが、今回が最も楽でした。

エイドの給食も種類、量共に豊富ですので、勿論そのおもてなしを受けて立ち、終始食べまくりました(ぱっと思いつくだけで笹団子×5?、蕎麦×2、うどん×2、おにぎり×3、おぼろ汁きのこ汁くじら汁海賊汁お漬物人参羊羹蒸しパンオレンジミニトマト等々。何と豪華な……。)。

溜めていた思いは、ランナーもですが、それ以上に上越の皆様の間で燃え盛っており、それを受け止めながら全力で楽しめる、こういう機会に恵まれて幸せです。走っていてよかったです。4年前から気になっていましたが、漸く念願叶いました。

大会以外でも、職場の同僚のご実家で歓待していただけたり(初対面やで……。)、小嶋屋のお蕎麦のざきのサメフライ定食を味わったり、市立水族館うみがたり親鸞聖人上陸の地を巡ったりと、レースの9時間42分だけでなく、普段の何倍もの濃度で時間がぎゅっと詰まった三連休でした。

隔年開催でチャンスは限られていますので、出られる時には是非出ておくことをお勧めします。素敵な時間が過ごせることは保証します。

大会に関わって下さった上越の皆様、本当にありがとうございました!また遊びに来たいと思います!

echigo-joetsu.com

食べまくりの様子や楽しいコース解説などは次のページです。写真をスクロールするだけでも大会と上越の魅力が溢れていると思います。勢い余ってコメントなどいただけると更に嬉しいです。

追記:後日実行委員会様より小包が届き何かと思ったら飛び賞の岩の原ワインで驚きました。ありがとうございます。どこまで気前の良い大会なのでしょう。しっかりと職場で上越をアピールしてきました。

地元でも贈答などに重宝されているそうです。

追記

少しでも御恩にお返しせねばとふるさと納税を活用しました。岩の原ワインケーキ清酒漬帆立貝柱です。好きな地域にお金を使っていただける制度ですので利用しない手はありません。

やはりお酒の街ですね。おいしそう。

前日(金沢から鈍行で移動)

完全休養で力を溜めます。7:30まで眠ると何だか罪悪感がありますが、これも明日のためです。火曜芝生2分オン1分オフ(ハイパースピード)、木曜2kmアップテンポ走(7:50くらい。ズームフライ3)、金曜回復走60分(心拍数140spm以下。5:42/km。ライトレーサー2)と、調子を上げる方向の調整を試してみました。休み一辺倒とどちらが合うのでしょうね。

食事も好きなように食べ、金夜と土朝はたねのりんごパイとフルーツブレッド、ピュイダムールのクリームブリュレにブルーベリータルトを堪能しました。金沢の名店です。糖質を上手く使うためにビタミンB1目当ての豚肉も食べておきます。

大会前後の自由な食事が楽しみでして。

家でゼッケンも含め持ち物を全て整えて出発です。今回は同僚のご実家がフィニッシュ会場の近くらしいので駅の諸江屋さんでお土産を買います。

交通費をケチり13:02金沢発の普通を選択しました。思い出の高岡と富山では楽しかった時間を思い出し、滑川や魚津ではホタルイカラソンや蜃気楼マラソンに出てみたいなと思い、黒部では黒部名水マラソンのコースを丹念に眺めたりとあれこれ考え、また合間に泉鏡花婦系図』を読んだりしている間にあっという間に泊へ。

皆大好き黒部名水マラソン

ここからは日本海ひすいラインということで海の側を走り、車窓からの眺めに浮き立ちます。ダイヤの乱れで金沢から遅れていましたが、親切なことに乗り継ぎは待っていて下さりました。糸魚川は柏崎潮風マラソンの帰りに降りてみたことがありますが、あれからもう6年半も……と時の隔たりに行く先を憂います。

えちごトキめき鉄道ではICカードの精算が必要です。

直江津駅に着くと歓迎ののぼりが立てられており、期待が高まります。

こういう心遣いは本当に嬉しいですね。

駅すなわちシャトルバス乗り場の目の前という絶好のロケーションのホテルハイマートさんにお世話になりました。ベッドの寝心地もよく、何一つ不満に感じることなく快適に過ごせました。

これ以上は考えられない好立地です。

街には60kmの部への応援も。開催エリアが広いです。

夕食は定食が食べたくてのざきさんを訪ねるも準備中だったので、一心堂さんへ。豚カツ定食と応援のお言葉をいただき、やる気が出ます。食料調達のために訪れたエルマールは、無印、カルディ、久世福商店と随分豪華な顔ぶれでした。穴子フライと牛乳、チーズを仕入れ、セブンでも卵とパンを買っておきます。

隠れ家感もあり、地元の常連さんも飲んでおられました。

大阪や金沢では、くじらはあまり見かけません。

好きな物を食べるのが一番です。

前日はそこまで食べなくてもいけるはずなので深追いはせず、22時前には消灯し、明日に備えます。

当日

レース前(100kmとは思えないのんびり準備)

スタート時刻が6時ですので4時起床で間に合います。ウルトラでは5時スタートが多い(いわて銀河に至っては4時スタート……。)ので、いつもより余裕があります。余裕があり過ぎるので、シャワーに加え髭も剃る時間がありました。

5時前はまだ暗いですが。

朝食は、どうせ33箇所ものエイドで食べまくるのだからと控えめです。こんなもんでいいのかもしれません。

今回はホント控えめにしてみました。

抗原検査キットで陰性を確認し、アプリに入力して出発です。長い一日を思うと少しでもだらだらしたいので、バスは5:20直江津を選択しました。何と車内には私を含めて二名しかランナーがいませんでしたが、皆様そんなに早起きして何をされているのでしょうか……。

早くも至れり尽くせりです。

会場にはものの10分で到着し、QRコード提示、既に分けてある手荷物の預り、入りきらないリュックの預りと滞りなく進み、直ぐにやることも無くなったので、動的ストレッチをたっぷりこなします。朝日が上りつつある空に、とにかく自分が生きていることを感じます。

会場の写真にこの先の素晴らしい時間を思い、ワクワクします。

スタート前の開会の言葉では、「三千人を超えるボランティアの」というくだりがあり、「参加者の倍もいるではないか、なんということだ……。」と戦きます。2018年は台風で、2020年はコロナで中止になったこともあり、何としても今大会を大成功に終わらせたいと、上越の皆様とランナーが共に強く望んでいると感じました。

いよいよスタートです。明るくなってきました。

シューズは、東尋坊愛のマラニック103km、いわて銀河100kmに続き、初代エボライドです。ミッドソールの素材の違いか、エボライド2より進み易く、脚もよく回るように思います。今回は自分以外に履いている人を見かけませんでしたが、とにかく力を抜いてひたすら脚を回し続けることが肝の100kmと言えばこれだと思います。まあ高級シューズでウルトラを走ったことはありませんが。今回も最後まで余力がありましたし、正にコスパ最強シューズと言えるかと思います。

色もなかなか好みです。

レース後は流石に傷みが目立ってきました。

持ち物も、エイドの多さと荷物袋が二か所も預けられることから、ほぼ手ぶらで問題なしと判断しました。一応20km辺りで取ろうとアミノバイタルプロを一つと、走っている間に飲みたくなったときのお守りとして、経口補水液を入れたジェルフラスコのみでした。荷物袋は、一つ目に日焼け止め、アミノバイタルゼリー赤、スギ薬局アミノ酸、二つ目にメダリストのアミノ酸(うちで賞味期限切れになったもの)とフィニッシュ後にお持ちする手土産(袋がスカスカだったのと、フィニッシュ地点行きの袋には着替えやシューズが入って気分的にどうかと思ったため、走りとは関係ないながら利用)、フィニッシュ地点行きの袋には、プロテインバー、水、アミノ酸、着替え、タオル、シューズ、ボディペーパーといった感じで詰めました。

袋の容量は小さく感じるかもですが、実際は丁度いいです。

装備はいつも通り、アンダーアーマー半袖、スポーツデポの白アームカバー、ミズノバイオギア、360°ポケットパンツ、エアリズム、ニューハレで踵を固めてザムストのソックスです。キャップも持って行きましたが、終始曇りだったのでポケットに入れたままでした。ゼッケン留めは明るい気持ちになるようくまモンを選択しました。日焼け止め、ワセリンを随所に塗ってダメージを抑えます。

くまモンにも思う所があります。

レース

序盤(100kmとは思えない涼しさの中、平地を行く)

号砲から皆元気に飛び出して行きます。序盤はフラットな市街地で、気負うことなく走れます。朝日に少しずつ照らされ始める田んぼの色も美しいです。

まずは心に優しい平地が続きます。

最初のエイドからしっかり水分補給です。次のエイドは必要ない人は直進できる形で設置されており、各ランナーのニーズに合わせる心配りがあります。勿論ここでも水分補給と、早々にオレンジをいただきます。確かここからまんじゅうがあるはずなのにと思いつつも、肩を落としている暇はありません。13.2kmのエイドでは椎茸茶の力で回復です。別の地区に入るごとに歓迎のメッセージもあり、嬉しいことです。

朝早くからありがとうございます。

朝日が美しくて。

エイドは広い所が多いです。

長閑な風景を眺めているうちにすぐにエイドに到着します。

ここからおにぎりもよく登場するようになります。

大体キロ5分30秒くらいで進んでいましたが、周りはもっと速いので、今日はサブ9狙いの人が多いのかとすら思いました。まあ100kmはいつもこんな感じですが。とにかく心拍数が上がらないくらいの楽なペースを保ちます。全体平均は138bpmでした。これくらいなら息苦しさも糖質の枯渇もなく、回復走がだらだらと続くのみですので、脚の筋肉が砕け切らない限りは問題ありません。ピッチは180台後半くらいで、腕を折り畳み、ひたすら脚を回すのみです。年内は金沢、富山、神戸、金沢ハーフ、みえ松阪と続きますので、今日深いダメージを負うわけにはいきません。

無理しないスタイルです。

18.0km、20.2km、23.2kmと、エイドの間隔が短いため、水分が足りなくなることはありません。ここらで早めにアミノバイタルプロを投入して中盤以降に備えます。ここも少し下ったりして、全体的にまだかなり楽です。コーラも麦茶もあり、好きなものが選べます

とにかく次々とエイドが現れます。ありがたや。

麦茶へと手を伸ばします。

序盤は右の苺ミルク戦士が結構頑張っておられました。

25.6kmのエイドでは待ちに待ったお蕎麦の登場です。板倉特産霧下そば、一本箸でさらりといただきます。だしと共に元気が出ます。おこわおにぎりも準備していただいており、見逃せません。笹団子もお目見えですので迷わずゲットし、走りながらいただきます。甘さよし香りよしです。

待ち焦がれた地元フードたちとの邂逅、ごちそうさまでした!

すぐに26.8kmのエイドがあるので、食べながら走ってもゴミ箱も飲み物もあり助かります。ミニトマトは皮が喉に詰まるから気を付けよう、と思ったもののやはり軽く詰まるという失態を犯しますが、焦らずにやり過ごします。

食べてこそウルトラマラソン

こんなことばかりしていますので、その頃しばし並走していた集団からは置き去りにされます。個人的には、100kmも同じ人とずっと一緒だとそれだけで気を遣って疲れそう(話すネタがないなど)に思うので、たまに励まし合うくらいの距離感でよいです。

30kmの通過は2時間44分台。上々です。

何事もなく通過しました。距離表示も沢山あり助かります。

30.8kmのエイドでは太鼓で迎えていただき力が湧きます。水餃子と清豆タルトがあるはずなのに、ない!と膝から崩れ落ちたランナーもいたかもしれませんが、豪華名物が当たる抽選箱が用意されていたり面白い趣向に笑顔になります。うどとおくらのお漬物も外せません。33.4kmのエイドでも欠かさず給水です。待っていて下さる方がいる以上、スルーはしないスタイルです。

ここのエイドも大きくてにぎやかです。

とにかくちょっと走ればすぐエイドという驚異のサポートです。

少し山に入って来た感じがします。

中盤(100kmとは思えない涼しさの中、上ったり下ったり)

36.8kmのエイド前は少し長めに坂を上り、牧区総合事務所敷地に入るためにまた上ります。ここでおぼろ汁笹団子をいただきます。熊鈴も着けてまた上りに入ります。この辺りからAブロックやBブロックの方が増え始め、かつほとんどが歩きに切り替わっていた印象です。

ここのおぼろ汁もおいしかったです!

熊鈴は途中で落としてしまったようです……。すみません……。

今回は腕の振り下ろしを強くして地面反力をもらう意識を重視しました。上りだけは腕を抱え込まずに、ボールをつくくらいのイメージで掌も下に向けます。ピッチは高めを維持です。100kmでは身体の一部に疲労が集中することは避けたいので、脚の筋力を背中と腕で補う作戦です。実際、上りでも最後まで歩くことはありませんでした。

大体40km手前から5kmごとに上りが4回程あるガーミンでは5回だけど記憶は曖昧。コース変更の影響という説もありますが、無知なので気にならず)、50kmで底なのでまた上る70km辺りで上りというくらいしか覚えていませんでした。高低図のイメージから、宝達山くらい上るものだと思っていたので、下りに切り替わってもどうせ束の間と踏んでいたのですが、なかなか下りが終わらないので、最初の山を越えたのだと認識します。

一本目の上りは意外と短く感じました。

向日葵も元気をくれます。(写真は後ろ向きです)

下りの途中にある41.3kmのエイドにて最初で最後のトイレ休憩を取ります。100kmは一度行っておけば大丈夫です。まだ脚が固まっていない前半に行くことにしています。ここでも念入りに笹団子甘酒をいただきます。水もかぶって目を覚まします。

人生でこれだけ良くしていただける機会はなかなかありません。

この後も随分と下った気がします。そこまで上っていないのにこんなものなのかなと思ったのは私だけでしょうか。フルの通過は3時間57分台でした。ここでサブ4なら普通に行けば100km10時間以内は固いです。

42km地点に加えて42.195km地点にも距離表示が。

42.7km、45.3kmでも水分補給です。二回目の上りは短かったと思います。地区の人以外は山菜を取ってはいけないという看板や弁慶滝があり、へえと写真を撮ったりしているうちに終わり、花の色に癒されながら下ります。全体の上り具合と数は、大体隠岐の島くらいだろうと思っていました。

多分、コース上で唯一の滝だったと思います。

下りはお花がきれいでした。

一体どれだけ準備して下さるのかと恐縮します。

47.4kmエイドでは手荷物を受け取れるのですが、コース上の番号確認と荷物渡しの連携がスムーズで、全くロスなく受け取れて驚きました。日焼け止めを塗り直し、アミノバイタルゼリー赤とアミノ酸もポケットに入れます。

ここでは笹団子、おにぎり、くじら汁が待ち受けますので、どれもありがたくいただきます。レストステーションという位置付けとほぼ中間という安堵感から何となくのんびりされる方が増えた印象です。

これでもかとふるまわれますが、実はまだ前半です。

走りは諦め、胃袋で応えて盛り上げるスタイルです。

中間点は4時間45分4秒。涼しさのためほとんど危機感はなく、10時間はほぼ確実に切れると分かります。この辺りも10分も行けばエイドがあるという親切設計で非常に安心です。

もう勝ったようなもんです。

エイドに次ぐエイドのお陰で、上りも楽ちんです。

走っていてつくづく思ったのは、奇跡的に涼しいとこんなに楽なのかということです。100kmだと必ず昼の一番暑い時間に走ることとなり、体温は上がり目も肌も焼けて、常にこのままペースが落ちたらどうしようという不安と戦いながら、水をかぶりエイドで命を救われどうにか走り切って安堵するものなのですが、今日は違います。100kmにあるまじきこの涼しさ、結局最後まで余力たっぷりでした。走りながら、今までで断トツにキツかったのは2019年の白山白川郷だったな……何故なら断トツに暑かったから……。などと考えていました。※断トツに暑かった白山白川郷ウルトラマラソンの記事もあります。

savarun.hatenablog.com

55. 0kmではきのこ汁。食べた瞬間に舞茸の香りが広がります。舞茸はクリーム煮にも使ったりする、好きなきのこの一つですので、また元気が出ます。マリオカートコスの方がおられ、「マリオはきのこ食べなきゃ!」といった応援の声もあり和みます。

今見てもおいしさが蘇ってきます。

この後の坂が比較的長く、勾配もやや急な箇所もありましたが、上りきった先に待っていて下さるエイドと景色が疲れを吹き飛ばします。56.9km地点までで時間もせいぜい13分弱だったので、歩かずに押し通した方がよいかと思います。下りは笹団子を景色と共に味わう時間です。この辺りでアミノバイタルゼリー赤を飲みきったと思います。後半に効いてもらうには早め早めの補給です。

上りが長い分、景色も良くなります。

上り切った先のエイドはご褒美です。

ここからの下りは爽快です。

60kmで5時間43分。10kmに58分かかっていますので、やはり上り下りが多かったのだと感じます。坊金では大杉が気になるところです。ここでも小まめに給水ができてありがたいことです。更にほとんどのエイドでかぶり水も用意されており、暑くはなかったものの気付け目的で後半は多用しました。コツは脚を思い切り開いてシューズにかからないようにすることです。

坊金地区に入った所で60kmです。

エイド、大杉、またエイドという甘やかされぶりです。

66.5km虫川大杉駅エイドでは太鼓の演舞です。かなり遠くでも音が聞こえてきて、よしあそこまで行こうと思えますし、辿り着くとまた力をいただけます。いつも思いますが、太鼓はとてもいい楽器ですね。魂に響くといいますか。

この辺りで既に太鼓の気配が感じられたと思います。

力強い応援に励まされます。

途中ちらほら見かけるゴールドゼッケンの方、完走5回くらいかなと甘く見ていましたが、出場10回でした。隔年開催のこの大会ですので、何も無くても18年はかかるはずです。隠岐の島のレインボーメダルはたったの7年連続(※この連続が困難ではある)、いわて銀河もたったの10回完走(※4時発であのコース10回は尋常ではない)で歴史に名前を刻めますが、台風やコロナなんて来たら四年お預けですので、自分の残り時間では達成できない偉業です。29人ものレジェンドがいることにただただ敬服します。

68.2kmではゼッケンナンバーから名前を呼んでいただけたりしますし、うどんもふるまわれるとあっては素通りなどできるはずがありません。4年間待っていましたとお伝えするなどして、楽しい時間を過ごしました。

ランナーの皆様も楽しそうです。

70kmでも余力があり、あと3時間脚を回し続ければ終わるのかという心境で、危機感はゼロという展開。最後の長めの坂は確か70kmより後でした。ここまで来ると走って上っている人はほぼいませんでした。でもウェーブスタートのお陰で周りにランナーが結構いるので、辛さは感じず、「よし、見せ場到来だ」くらいのノリでコツコツ走り続けました。上りの終わりの方にはエイドがありますし、前半でもお見かけした「元気ですか」の看板を立てたおじさま再登場でテンションが上がります。ここで下りに切り替わり、もうえちご・くびき野らしい山の中の下りも終わりなのかと名残惜しく思いながら写真を撮っていました。

しょっちゅう休めるので安全です。

元気があれば何でもできるんや。

この素敵な緑の山々も見納めでしょうね。

沢山の応援と変化に富んだコースのお陰で、中盤は本当に短く感じました。

終盤(100kmとは思えない涼しさの中、食べたり食べたり)

途中はどこでも、応援のため外に出て手を振って下さるおじいちゃんおばあちゃん、大声で頑張れーと言ってくれたり手作りの応援グッズで励まして下さるご家族、すれ違い様に声援を送って下さるドライバーさん、沢山の方がランナーに力を分けて下さり、大いに力づけていただきました。できるだけお一人お一人に笑顔で応えました(顔の筋肉が疲れるくらい、笑顔を休む暇がない)が、特に高齢の方には思うところがあり、色々なことを思い出しました。応援して下さる方にとっても、きっといい時間だったと信じています。ありがとうございます。

エイドもエイド間も、応援して下さる方がいっぱいです。

78.4kmのエイド(鳥人の里吉川区)ではまたしても見事な手荷物受け渡しに感心し、アミノ酸を追加します。ここではお蕎麦うどん(麺が平たくて惹かれました)をいただきました。途中上りで歩いていた(ので抜いた)女性ランナーに追いつかれており、この方はすごいなと思いました。そういえば中盤の下りでも抜かれましたし、すごいものです。あの方はどれくらいでフィニッシュされたのでしょうか。

あと、先ほども書きましたが、公民館などをフル活用しているため広いエイドが多く、すぐに座って休めるという特典があります。これは初心者には優しいのか、あるいは一度座ったらもう立てなくなるので厳しいのか、判断に迷うところですが、とにかく沢山の方が出迎えて下さることに毎回驚きを禁じ得ません。

手打ち蕎麦を食べない理由がありません。

80kmは7時間42分。20kmを約2時間、あれだけ休めばこんなものでしょう。この辺りではまだ微かに、最後猛然と上げれば9時間半も可能ではと思っていました(後に85kmのエイドでこの認識が甘かったことを思い知ります。)。流石に単独走の時間が増えてきました。

もうあと少しで終わってしまうのですね。

82.6kmにもエイドが。サポートが手厚い……。

そして85.0kmエイドでは人参羊羹、つみれ汁、おかゆ、お漬物、蒸しパンと端から端まで勧められるままに食べていたところ1kmに10分を要し、ここで流石にタイムは諦めました。エイドのおっちゃんも「ここは食べないと通れない関門だから」とノリノリでしたから、応えないわけにはいかないでしょう。新潟コシヒカリおかゆ、ここでスルーしたら少なくとも二年間はお預けですから後悔必至です。遠くから来たとお伝えすると喜んでいただけますし、ゆっくり走るウルトラでは、笑顔でお互い話すことも大事にしたいです。一期一会です。

豪華給食のオンパレード。ごちそうさまでした!

住宅街エリアでも少し上りがあったりもしましたが、この辺りも普通にリズム良く上れました。上りはあと少し、もう終わりと言ったエールが飛び、また頑張れるものです。

90kmは8時間44分。柿崎地区ではが見られるはずなので、今か今かと待ち構えて海岸沿いに出た時は嬉しかったですね。90kmを過ぎたらすぐです。

90km付近では住宅も増えてきます。

あれだけ山を走った後、最終盤に海という恵まれたコースです。

92.5kmエイドではここに来て過去最大サイズのおにぎりを勧められ、とても断り切れないと悟ったため、とりあえず受け取り海賊汁の方へ進みます。この海賊汁がまた大きな器にたっぷりと注がれ、更に熱いというおいしさ最優先(ありがとうございます)の逸品で、どう考えてもここを早く通過することはできない作りになっています。いつまで経っても食べ終わらないことに危機感を覚えたため、お腹たぷたぷのリスクを承知の上で、水二杯で冷まして飲む策に出て、何とかキロ9分台に止めました(止めたと言えるのか?)。

最早速く走れる理由などありません。満腹です。

エイドの出口ではお見送りの皆様も。嬉しいです。

しかしまだこのデカいおにぎりをどうするのか問題が残っており、しばらくはおにぎりだけに握ったまま走っていましたが、おにぎりを握りしめてのゴール前のダッシュは画的にどうなのかと想像したり、ポケットに入れて型崩れしたり傷むと辛いなどとあれこれ思案した結果、走りながら少しずつ食べることにしました。五回くらいに分けてよく噛んで食べればむせることはないのですが、如何せん量があるので次のエイドまでには食べきれずでした。しかしお水と共にいただけたのでそれはそれでよかったです。やはりおにぎりはうまいです。

地区の写真もあり、しばし見ていました。

95km手前の信号では結構長く止まることになり、こんなことならもっとエイドに長居すればよかったと思いつつ、どうしようもないのでのんびり待ちます。95kmで9時間18分台なので、この5kmに34分を要しました。

信号待ちはどうしようもありません。ここは長いので覚悟を。

JRが見えてきた辺りでスイッチが入ります。もうあと少し!

97.1km、最後のエイドでも一日ありがとうございましたとお礼を言いつつ水分を補給します。ここからはようやく真面目に走ることにします(今まで何しとってん)。腕振りでピッチを保ちつつ、ほんのわずかに強く振っていたと思います。心拍数も150bpmを超えてもそれ程苦しくなっていく気配もありません。時計は見ずに感覚で上げていきましたが、キロ4分30秒でもそれ以上でも全然楽でした。最後の猛ダッシュは練習ならもっと苦しくなるスピードですが、左折時も転倒や捻挫に気を付けなくてはと冷静でしたし、笑顔にもなりましたので、不思議なものだなと思っていました。週一のスプリントで、行くと決めたら行く回路が覚醒してきたのかもしれません。

最後はいつも通り、満面の笑みでフィニッシュです。やはり100kmは完走の嬉しさが違います。(ラスト5kmは24分台で、トータル9時間42分台でした。)

一日本当にありがとうございました。

猛然と加速しながら99kmを通過しました。

最後だけ頑張って盛り上げるおじさん。

アフター

レース後(とにかく親切な上越の皆様)

フィニッシュでは頸城中学校の全校生徒が手伝って下さるという驚異のおもてなしに恐縮しきりです。何もそこまでしなくとも。袋にはメダル、おにぎり、翁飴、水、ゼリーが入っており、ゼリーを秒で吸い尽くしました。荷物受け取りも(自分の少し後は大行列でしたが、)スムーズで、更衣室もまだ空いていました。完走の満足感に浸りつつ、手早く着替えてテントを出、プロテインバーを食べます。

急いでいたので、フィニッシュ地点の写真がこの一枚のみ……。

翁飴は職場へのお土産にも買いました。

このメダルもいかにも上越というデザインで好きです。


今回の本当のゴールは、ここから数百メートルの同僚のご実家なので、会場でゆっくりする余裕はありません。最初に書いた通り、他にほとんど入れるものもない78.4kmエイド行きの手荷物袋に手土産も入れていますのでバッチリです。

スタスタ歩くと拍子抜けする程すぐに到着し、ごめんくださいと名乗り終える間もなく「よく来て下さった!」とお宅に上がらせていただくこととなり、居間のソファーに腰かけていました。初対面なのに親戚くらいの勢いです。玄関でご挨拶だけできればと思っていたのですが、まあそれだけで済むはずもなく、あれやこれやと話しているうちに1時間半以上過ぎていました。客観的にはお前は誰やねんという感じですが、とにかく楽しい時間でした。ウルトラのダメージを考えるとお酒はとても飲めないためお断りしましたが、丸田屋のお饅頭もおいしくいただきました。

そうこうしているうちに、あれよあれよとリージョンへの送迎バスを逃し続け、挙げ句の果てにリージョンとイオンまで車で送っていただくことに。何とご親切な……。走っているからこその不思議なご縁、一生の思い出になりました。

お父様のお陰で、皇室に献上されたことで名高い小嶋屋の天婦羅蕎麦を堪能できました。いかにも蕎麦!という強い主張はなく、さらさらとソフトな口当たり。舞茸やホタテ、さつまいもの天婦羅がまた美味で、大満足でした。

その地方のうまいものを食べてこその人生。

更に七福の湯で交替浴もでき、回復も一安心です。混んではいましたが、広いので何度も水風呂に入れました。

リージョンからも歩ける距離です。

リージョンから直江津駅までバスで送っていただき、ホテルで荷物を整理し、α1一階のコインランドリーまで往復し、おにぎりと翁飴、アイスを食べて就寝です。

最後は大人しい感じの締めになりました。

翌日(直江津観光)

とりあえず6:30には目が覚めましたので観光ジョグへと出掛けます。佐渡フェリーターミナルはまだ開いておらず、外を眺めて折り返し、船見公園を通り、親鸞聖人上陸の地に行きました。やや強い風に吹かれながら、来し方と行く先を思います。

ちょっと気が早かったですね。

平和記念公園と船見公園も通ります。

命がある限りは。

鏡ヶ池も近くです。

パン屋さんにも寄っておきたいので、エルマール横のブーランジェ・エムさんへ。ソーセージの味もしっかりしていましたし、チーズクリームのパンも甘くてかなりおいしかったです。

種類が豊富でなかなか決められませんでした。

ご覧の通り大変おいしゅうございました。

時間もあるのでシャワーまで済ませ、荷物を預かっていただき、市立水族博物館うみがたりを目指します。歩きで15分程度ですので近いものです。三連休ということで家族連れで賑わっており、微笑ましく感じます。水族館も好きで、遠征先では行きたいと思っているものの、時間の都合上、いわきのアクアマリンふくしまと高知の桂浜水族館くらいしか行ったことがない気がします。太地の鯨博物館とかもありますけど。

かなり洗練された設計です。

中はショーでも大活躍のバンドウイルカ、飼育数世界一のマゼランペンギンゴマフアザラシのプールや、鯛や鰯も泳いでいる水槽が色々な角度から眺められ、深海魚や海月ののコーナーも幻想的で、楽しく二周しました。イルカショーは大人気で、観客席は後ろまで埋まり、前から五列目くらいまでは思い切り水がかかるのも盛り上がるのでよし、という何ともにこやかな雰囲気と光景でした。マゼランペンギンの餌やりも可愛かったです。こちらで職場へのお土産を確保し、レストランも洒落てるなあと感心しながら、楽しく見学させていただきました。

動いているのも、止まった写真も、それぞれにすごいです。

海中トンネルも。

マゼランペンギンが愛らしいです。そして泳ぎは速し。

普段覗けない世界が見られるのが水族館の魅力です。

ゴマフアザラシもすぐ近くで見られます。

大盛況のイルカショーです。水しぶきもなんのその。

日本海と一体化しています。

お土産もばっちり買えます。

普段は一日二食ですが、一生のうちあと何度来られるとも限らないこの機会を逃すまいと、しばし歩いてのざきにリトライしました。ありがたいことに営業しており、迷った挙げ句に珍しいサメフライ定食を選択。サメは白身魚のようでクセを感じず、普通に相当おいしいカツじゃないかと喜びます。定食にはおいしいお刺身まで付いてご飯もたっぷり。これで830円安過ぎます。観光客にはもっと吹っ掛けてもいいでしょう。「おいしかったです!大満足!」とお伝えすると、喜んで下さりました。ご主人も奥様も笑顔で明るく対応して下さり、是非ともおすすめしたい名店です。

どう考えても通いたいレベルの名店です。

直江津名物継続だんごを買い、13:03発の鈍行で色々思い出しながら帰りました。泊で乗り換えるだけ、3時間程で金沢到着です。案外近く、また富山の先まで行きたいなと思いました。

こちらも外せないでしょう。

ありがとう上越。また会う日まで。

夜は金沢で寿司や魚を食べました。

最後に

こうして振り返っていて、本当に楽しく、充実した時間だったなと改めて思います。走っていたからこそ、こんな経験ができる、その不思議なご縁を思わずにはいられません。

溜めていた思いをぶつけ合える機会にも、一生の中でどれくらい恵まれるかは分かりません。ラッセルの幸福論を引くまでもなく、やはり何でもやれる時にやっておいた方が幸せになれると思います。また、一生覚えておきたい大切な思い出が増えました。

大会に関わって下さった上越の皆様、本当にありがとうございました!素敵な上越に、また遊びに来たいと思います。その際はまたよろしくお願いいたします。

ここまで読んでいただきありがとうございます。