ちょっと長すぎる旅ランブログ

百聞は一走に如かず。きっと貴方が好きな大会が見つかります。

第15回四万十川桜マラソン(2023/3/26) 今に繋がる走ル旅!四万十川の桜を是非貴方にも!

ずっと再訪したいと思っていたこの大会、七年ぶり二度目の参加が叶いました。「四万十川という存在は誰しも憧れるものだと思いますが、そこに満開の桜が色を添えるとあれば一生に一度は走らなくてはならないと思ったのが2016年でした。当時はまだ旅ラン経験もそれ程積んでいなかったのですが、この大会の掲げる「走ル旅」というテーマに心の底で眠っていた憧れが一気に目覚めました。

shimantoriver-sakuramarathon.jp

今回本当に久しぶりに走らせていただき、あの日と同じようにランナーを迎えて下さる四万十川と桜、そして四万十町の皆様の姿と優しさに、“ああやっぱり自分はこういう経験が好きなのだ、これを探し求めているのだ”と思いました。何というか、とても温かなもので満たされた感じがします。

コースはほぼ下りで、途中三ヶ所程上るだけですので、初心者でも比較的完走しやすいと思います。特産品エイドはありませんが、必要十分な補給が受けられますし、帰りの電車待ちの間に窪川駅前で四万十鮎の塩焼きを食べられたりしますし、来年以降前夜祭が復活すれば地元の味がこれでもかという程楽しめます。

都会のレースのような異様な興奮はないかもしれませんが、その分四万十川の自然と真っ直ぐ向き合えますし、温かな沿道応援も加わりますので、必ず“出てよかった!”と思えるはずです

走り自体は“久々に薄底で色々試そう”と走行距離300km程の初代エンペラージャパンを引っ張り出し、新鮮な感覚も沢山ありました。ふくらはぎの筋肉痛とか。温故知新とはこのことですね。(3時間9分台、160bpm※心拍ベルトが外れたりで怪しい, 197spm, ストライド1.13m, 上下動6.0cm, 上下動比5.1%, 左右接地時間50:50)
「走ル旅」はこの大会だけでなく、自分の人生のある時期全てが繋がって続いているのだということも実感する時間になりました。四万十町の皆様、この大会を続けていただき本当にありがとうございます!
続きのページは七年前には残せなかったコースの写真も沢山あります。笑顔で走れた喜びも伝わるかと思いますので、写真だけでもご覧いただけると嬉しいです。
2016年大会の記事もあります。あの時は超豪華な前夜祭に目が回りそうになりました。相部屋も楽しかったです。
今月はフル三連戦でした(日本海、瀬戸内海、太平洋と結構な移動距離です)が、いずれも地域の特色を活かした素晴らしい大会でした。こういう大会は大切にしていきたいですね。七年前には、“そこまで速くなくてもいいから毎週のように各地の大会に出られるようになったら楽しいだろうな”と思っていましたが、今はそれを実現できるようになりました。

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前日(バスで遥々高知へ)

6:10頃には起きて余裕で朝食です。サーモン、白菜と青梗菜、卵とチーズのサラダ、ヨーグルトで普段と変わりません。

好きなものを食べればよろし。
7:50大阪初の高速バスで移動です。高知まで五時間オーバーは長いので飛行機も検討しましたが、往復12,250円という価格の魅力には勝てませんでした。まあ金沢までバスでも5時間くらいだったと思いますし、移動中は本を読んでいればよいので、割と短く感じました(サリンジャーフラニーとズーイ』(村上春樹訳)を読みましたがあまり刺さらず。こんなことも割とよくあります。
バス遠足はそれだけで楽しいものです。吉野川SAは吉野川の流れと桜の色に春の風と鶯の声も合わさり、とてもよかったです。橋の向こうに遊びに行きたいところですが、バスですのでそうはいきません。

室津PAの桜です。

吉野川SAは前回もよかったです。
13時過ぎには無事に高知駅到着です。早速アンパンマンバイキンマンが迎えてくれます。“バイキンマンのいない世界はつまらないというやなせたかし先生の教えを到着早々に教えてもらえるのが好きです。

はーひふーへほー
しばし時間があるのでパン屋巡りとどこかついでに観光ができればと考えて観光案内所でパンフレットを物色したり、龍馬パスポートなるキャンペーンがあることを知ったりします。

街中にもアンパンマンが沢山です。
何はともあれはりまや橋を見ておかないことには始まらないだろうと南下し、期待通りにがっかりしておきます。しかし観光客もそれなりにいて楽しく記念撮影もされていたので、人気スポットなのは言うまでもありません。

これだけ見ても面白い気がします。
立派なアーケードを歩いて街の感じを懐かしく思い出しつつひろめ市場に来てしまいました。ものすごく惹かれましたが、“ラソン後の方が一層おいしいはず”と言い聞かせ、鉄の心で見送ります。流石に連続では喜びも薄まるでしょうし。
そしてカーボローディングの名の下に大好きなパンを求めて回ることにします。ピポーさんではゴルゴンゾーラ等四種のチーズに蜂蜜が絶妙なキャトルフロマージュと、見ただけでおいしいと分かるノアレザンフロマージュをいただきます。

いかにもイケてるお洒落パン屋さんです。

リンベルさんでは高知といえばのぼうしパン予想よりふわふわで満足です。

お手頃なパンもお菓子もあります。

モナモナさん1947年からの老舗)では特大なのに柔らかさとぎっしり詰まったくるみレーズンフランをそれぞれいただきました。高知もよきパン屋さんが沢山ですね。

このパンは間違いなくお買い得です。
そして駅でたまたま見つけたパンフレットを手に、寺田寅彦記念館にやって来ました。角川ソフィア文庫等でエッセイが沢山出ていて何冊か読んでおり、そういえば高知の偉人だったと思い出したので、これは行くしかありません。物理学者であり文人でもあり芸術も嗜むという大天才で、到底及ばないながらも憧れる存在です。
そう書くと天上の人みたいですが、関東大震災の揺れを地震学者の実体験として記述したものや防災の必要性を説くものから、年賀状を書くのが面倒過ぎるのでやめたいという身近なものまで、エッセイは非常に魅力的なものなのです。ちなみに街中には銅像もあります。

言われてみれば不思議ですね。
記念館は寺田寅彦が正に4歳から19歳まで育った場所にあり、建物は戦災で焼失するも復元したものです。門前から「天災は忘れられたる頃来る」というあの警句で始まり、エッセイの中で描かれたアオギリや椿のある庭を歩け、建物の中は披露宴の行われた座敷や、留学時に漱石に預けたオルガンや愛用の旅行カバンといった展示、渡り廊下でつながった茶室などを見学できるという、とても贅沢なものでした。
更に管理人さんが大変ご親切な方で、当時は敷地がもっと広かったこと、かつて柏の木があり(今のものは植え替え)柏餅を作ってもらって食べていたこと、大の甘党だったこと、昔はお城もよく見えたこと、漱石門下との交流や弟子を育てたこと等々、広く詳しく教えていただけて、記憶にもよく残りました。やはり現地に行くと違います。(その場所で詳しい方に直接伺うのが一番ですので、いつもブラタモリ気分で感心しながら聞いています。)

門前だけでも来た甲斐があります。

見事に再現されています。

関心のある方は是非に。
15:47高知発の電車で多ノ郷まで移動します。高知駅からの始発だと5:39発でいぶすきより厳しいのですが、多ノ郷や大間からなら7時過ぎに同じ列車に乗れるので、まあいけるだろうと。ベストは窪川近くに決まっていますけどね。

しんじょうくんがいます。周辺はスーパーや住宅も多いです。
ホテルバンダカさんにチェックインし(完全セルフで完結して新鮮)、持ち物を確認してから早めに夕食へと出掛けます。しかし狙っていたお店がちょっと予想と異なったため、何となく近くのドラッグストアmacに入ったところ、予想外にお刺身やお惣菜もあったため、これ幸いと(フードロスの削減にもご協力しつつ。ケチなだけや)高知産平あじの刺身やヒレカツ太巻きなどを買ってきて部屋でおいしくいただきました。

トイレと風呂場は一段上がらないフラットタイプでした。

まさかこんなによいものが手に入ろうとは。

レース当日

レース前(蘇る思い出と再会)

夜はやたら眠くて22時前には就寝、6:10起床という納得の睡眠です。今時珍しい新型コロナ検査キットで、これは鼻腔を痛めかねず、特に花粉症シーズンにはよくないのではなどと思いつつも陰性を確認し、万全です。
朝食は取っておいたパンと牛乳、チーズです。さっと食べて歯を磨きテーピングやドリンクなどの装備を整えます今回も経口補水液アミノ酸を溶かしただけのノンカフェインのボトルを二つ持参しただけです。概ね7km毎に飲んでいます。

パンはうまいよなあ。
レースも午前は雨のため、濡れても軽いアンダーアーマーノースリーブです。ギリギリ空模様が回復してくれれば先週のくすのきカントリーマラソンのTシャツを疲労しようと思って持って来たのですが、欲を出さずに安全策です。

愛媛マラソンキャップの方は他にも一人見つけました。
注目のシューズは金沢マラソン2019以来の初代エンペラージャパン白です。最近レースは厚底ばかりで、同じ箇所に負担がかかっている気もするので、久々に薄底でいきたいと思っていたところ、フル7本で300km弱走っているもののフォアフット部分はほとんど減っておらず、まだ使えそうだと気付きました。これまで幾度も自己ベストを更新してきた相性抜群のシューズなので期待できます。
3時間0分(さが桜)、2分(熊本城)、3分(北海道、金沢)、4分(東京)、7分(金沢)、9分(大阪)ですから立派なものです。しかし金沢2019以外は(自分的にはミッドフット気取りでありながら客観的には)踵から突っ込んでいたはずで、よくこれだけ走れたものだという気もします。
それにしても履いていないんじゃないかというくらい軽くていいですね。レース前に歩いていて“こんな薄かったんか!ほぼ地面やないか!”と一種の喜びがありました。コースも下り基調でイージーなので、無理も気負いもなく走れると見込んでの選択でもあります。それにしてもミズノの薄底は間違いなく高品質で、特にエンペラーシリーズは最高だと思うのですが、なかなか時流には勝てませんね。

この子はまだいけるはずです。
電車は大間から乗りましたが、普通に座れましたいぶすきだと鹿児島中央以外座れないので、移動の難易度はそこまで高くないですね。運賃670円は降車時に運賃箱に入れるスタイルなので、途中の待ち時間に両替を済ませておくとよいでしょう。整理券もお忘れ無く。

今回はうまくいきました。
窪川駅に着くと懐かしさに包まれます。“ああ、そういえばこんなだったなあ”と思うことばかりです。誘導のスタッフさんもおられるので、笑顔でご挨拶しながら窪川小学校に向かいます。途中の桜も七年前を思い出させてくれます。

どんどん記憶が戻って来ます。
この頃は雨がそれなりに降っていたので、テントで雨宿りしている方も多かったです。更衣室は建物なので快適そうですが、やはり事前に装備を整えておくに越したことはありません。
参加賞は立派なトートバッグで、増える一方のTシャツに頭を抱える(そのくせレア大会は過去大会Tシャツまで買ってしまう)身としては嬉しいです。早速日々のお買い物に活用したいと思います。塩けんぴもあの日と同じです。

工夫を凝らしておられます。
体育館内にはあのかかとタフさん(それは商品名であり本当はランライフさん)ブースがあったのでご挨拶に伺い、おっちゃんと再会を喜びました。この三年では腰を痛めて入院されたりと大変だったとのことですが、今はこうして普通に生活できているとのことでよかったです。サブスリーを達成したとご報告すると喜んでいただけました。四月の加賀温泉郷マラソン五月の黒部名水マラソンでも会えるので、楽しみにしています。折角なのでエナジージェルを一つ買い求めました。これからもどうかお体ご自愛ください。

覚えていていただき嬉しかったです。
体育館から出てすぐの場所に荷物預りがあり完璧です。金沢で買った別所秘伝のかすていらを食べて、大阪マラソンと同様の栄養補給です。給水テントでお水もいただけましたので、アミノ酸も投入しておきました。

動線はスムーズで素晴らしいです。

カステラを食べる人は何か速そうです。
スタート前の空気は緩く、軽く動的ストレッチをしたりして準備します。三連戦の最後くらいはマラソンらしい走りをしたいし、思い出の初代エンペラージャパンですので、できれば3時間一桁でと思っていました。ほぼ下りのコース小雨で涼しい絶好のマラソン日和ですから、普通にいけばそれくらいは出るはずです。しかし薄底フルは三年ぶりですので、弱っている箇所もあるはずと、慎重に入ることにします。

ゆるやかな時間がそこにあります。

どんな景色で何を感じるのか、楽しみです。

レース

序盤~前半(四万十川の桜と沈下橋
まずはフラットな道を気持ちよく駆け出します。蛙らしき声も聞こえて情緒があります。四万十川の横を走るという喜びもあるのですが、まずは薄底の立てる独特の音にかつての興奮が甦ります。自分しかこの音を立てていないというのがまた何かある種の優越感をもたらします。しかし周囲は厚底カーボンですので優越しているのはそちらの方です。
ピッチは落ち着く所に落ち着くものなので、とりあえず最初はできるだけ上げます。薄底で着地衝撃も心配なので、いつも以上にピッチ走法を心がけます。前半は200spmを超える区間もままありました。

ゲコゲコいっています。
コースは下り基調ですが、流石に下り一辺倒という程うまい話はなく、3km過ぎくらいで少し上ります全く予習していない人はここで怯みますが、いずれにせよ大した坂ではありません。むしろその先に頻繁に現れる下りに、“本当にこんな都合のいい展開があるのか”と思うこと間違いなしです。

この柵がある辺りは上ります。

今年は全国的に桜の開花が早いので、四万十川沿いもバッチリ咲いていました。大会ののぼりと共にランナーを迎えてくれます。そして雨の中でもあちこちで応援して下さる方も多くて、序盤からずっと笑顔でいられます。7kmで31分30秒程、概ね感覚通りです。

七年前よりタイミング的にぴったりでした。
この先もごく短いトンネルを抜けたり、惜しげもなく咲き誇る桜を眺めたり、桜が途切れると今度は四万十川の姿がよく見えたりと、次々と移り変わる景色が楽しく、かつ心地よくて仕方ありません。鶯の声も聞こえます。四万十川は誰しも憧れる存在だと思うのですが、現地に行ってみると更にその素晴らしさに打たれます。

説明不要ですね。

トンネルもアクセントになります。
12~13km辺りでは、「次は沈下橋ですと教えていただけて、いよいよかと心とスマホの準備をします。この辺りでは5km程同じ二人を引く形になっていたのですが、狭い橋の上で妙な動きをしてはご迷惑だろうと考え、パッと加速して単独走の状況を作り、万全の状態で沈下橋への坂を下ります。

いよいよ近づいてきました。
七年前にはただただ四万十川の空気と沈下橋を渡れるという喜びでいっぱいいっぱい、とても写真を残すことなどできなかったなと思いながら、この景色を目と写真で記憶に刻んでいきます。

こんな所を走らせていただけるなんて!
渡りきった先にも親子で応援して下さる方がいて、笑顔になります。まああれだけ下ったから当たり前なのですが、沈下橋を渡った後は上りと決まっていますここはピッチを上げまくり、それ程苦しむこともなく上りきります。こういう動きは薄底が向いているのかもしれません。厚底でピッチが低い結果、喘いでいる方もいたので、ここで結構差がつきました。

ちょっと上ればすぐ休みですので案ずる必要なしです。
14km手前のエイドにはソイジョイがあると分かっていたので、逃すわけにはいきません。しかしテント内の配置の見極めに時間を要し、止まっていただくことに決めました。四万十川沿いにゴミを落とすことは過失であっても許されないので、ここでゴミ箱にシュートしてから安心して走り出します。

ばっちり撮れています。
おばあちゃん達も手を振って下さるので、こちらもお応えしながら進みます。ただ走り去っていくよりも、見ていて楽しいはずですので。

民家からの応援も多かったです。ありがとうございます。
14kmで1時間3分強、後半少し上げられれば3時間10分を切るか切らないかぐらい、まあどうにでもできそうです。
中盤(道の駅の応援とささやかな折り返し)
四万十川の左岸を走るのは1km程度で、また橋を渡って右岸へと復帰します。

一見ただの橋のようですが、下は四万十川です。
その先も満開の桜を左に見ながらの贅沢な時間です。消防署や橋の近くでは応援の方が必ずいて下さります。とことんお応えすることで、お互いに元気になれます。気温は13℃、日差しがなく、弱い向かい風なので涼しいです。

雨のおかげでまた一段と幻想的な景色になりました。

温度計はここだけだったと思います。涼しい。

この辺りは時々歩道を走りますが、まあ地方大会はそういうものなので、これはこれで楽しいものです。桜と四万十川と橋の揃い踏みはまたいい場面です。

いくらでも望む景色が見られます。
19km辺りで左足裏に若干の疲労というかミスるとつりそうな感触があったので、“やっぱり足裏は弱っているのかなあ”と少し弱気になります。それでも三年前より全身は強くなっているしフォームも洗練されているので大丈夫だろうと、相変わらずのピッチ走法を続けます。まあ走り出してしまった以上、今更他にできることもありませんのでガタガタ言わずに進むのみです。
21kmで1時間34分と少し、中間点で1時間35分過ぎ、7km辺りで少しずつずれが生じた気もしましたが、後から見ると大きく落ちている箇所は前半にはありませんでした。走りながらの計算は適当過ぎます。

確か3時間11分台くらいのペースだったと思います。微妙。
ここらで大きな橋を渡って“いい眺めだなあ”と思っていたのですが、何と心拍ベルトがべろんと外れてしまいガッカリです。何とか再装着しますが、絞め直す操作まではできなかったため、その先もダルダルで(30km過ぎでも外れてガッカリ)ちゃんと計れているかは怪しいところです。そんなことをしているせいで折角の景色も堪能できず、惜しいことをしました。
少し行くと道の駅で、応援も多く、吹奏楽も聞こえてきますこれは撮らねばと車道からは遠いながらも何とか捕らえることができました。

応援はただひたすら嬉しいです。
更にほんの少し行った所でも吹奏楽の応援があり、嬉しい限りです。ここは左折して橋を渡ってしまうと戻って来ないので、一瞬が大切です。

しっかり届いていますよ。
橋を渡りながら、“ああそういえばここでもささやかな折り返しがあったなあと思い出し、その記憶すら懐かしいです。やはり二回以上走ると違った味わいがあります。読書も同じ本を20代、30代、40代のそれぞれで読むと自分の中に見つかるものが違いますが、それと同じようなことです。折り返しは薄底の優位性があるのか、割と小さくターンできました。

この区間も両側に応援して下さる方がいて感謝です。
この先は車も通らず静かな道を進めるのですが、あまりスピードが出ていない感じもしました。エイドでソイジョイを食べているうちに並走していた方に置いてきぼりをくらい、その後どんどん離されていったのも堪えたのかもしれません。それでも林の中にもかかわらず応援の方がいて下さるので、しっかり目を見て笑顔でお礼をお伝えします。

ピクニック気分です。
28kmで確か同じペースだと3時間10分をちょっと過ぎるくらいだったと思います。最近暑さのせいにしてマラソンらしいマラソンをやっていなかったので、今日くらいはキリのいい数字を狙おうかなと思い始めます。

桜が素晴らし過ぎてお腹いっぱいになるかもしれません。
後半(沈下橋の後で上れば残りは下り)
林道から開けた場所に出ると、散り始めた桜を浴びる時間でもありました。何もかも変わらずにはいられないのですが、本当はそのことこそが希望なのです。
応援を受けて左折し、橋を渡ると、眼下に沈下橋と走っていくランナーの姿が見えます。すぐ後には自分もあの道を行くのかとゆったりと眺めます。

上から見る(渡らない)沈下橋もまた。
走っていて、濡れている所では少しだけ滑っている気もしましたが、エンペラージャパンのグリップ力は抜群なので、そんなはずはないと思います。30km手前のエイドではアミノショットをがめつくゲットして、四万十川より給食に心奪われる自分の底の浅さにむしろ感心します

もらえるものはもらっておくスタイルです。

数百メートル行った辺りでほんの少しですが上り返しが来るので、七年前はそれなりに文句を言っていたと思います。でも今回は短く感じましたし、その先も線路沿いを面白がりながら走れました。

それより景色を楽しみませんか。
残り10kmで持ち時間は45分あったと思います。最後ヒュッと上げさえすればよい展開です。
次に沈下橋を渡るとその先は上りだなと思っていると、待望の下りで沈下橋へと向かいます。再びこの清流をこんなに近い距離で感じられることと誘導のスタッフさんに感謝しながら、しっかり見届けます。

楽しい時間ももうあと少しです。

思いを込めて渡ります。
そしてコース唯一と言ってよい上りらしい上りへ一段目はすぐに終わるのでよいのですが、その先は結構長かったです。「残り9km」の看板を撮る余裕もなく、何とかピッチを上げて粘ります。長いと言っても3分もあればエイドに着くので、そこまで騒ぐこともないのでしょうが、ここまで下り基調で甘やかされてきた身体には堪えます。

ここさえ乗り切れば勝ったようなもんです。
とにかく笑顔でお礼を言いつつ給水してコースに復帰、また下りになるので休めます。この1kmはガーミンさんいわく4:51/kmだったそうですが、後はほぼ下りのはずですし、どうやら薄底でも最後まで問題なくいけそうだと見えてきたので、気にしません。
トンネルの横の道を行くのもあの日と同じです。こんな大きな橋があったかなあと当時は余裕も無くて覚えていられなかった景色も、新たに記憶に書き込みました。この辺りになると前半飛ばし過ぎたであろうランナーさん(厚底しかいない)がペースダウンしていますが、薄底の見せ場とばかりにピッチを上げていきます。

七年前より成長しています。
残り5kmを切っても応援のおばあちゃん達がいて下さったので、声援には確実にお応えします。残り4kmで確かほぼ間違いなく間に合うタイムだったと思います周囲のランナーさんもここから上げれば3時間10分を切れるのですが、呼吸も荒く苦しそうで、今更そんなこと言われても困るだろうなと思ったので、特に励ますでもなく息を潜めてそっと抜いていきます。

これぞ走ル旅の醍醐味です。
40km過ぎでチャイムが鳴り、12時になったのだなあと思います。41km手前は確か少し上っていたと思いますが、一瞬歩道に乗ったと思ったら車道に出て勢いよく下ります。フラットになってこれで真っ直ぐ行って終わりかなと思ったら最後の最後に左折してのフィニッシュです。そう、あの日と同じように。

40km過ぎでチャイムが鳴っていました。

アフター

レース後

会場と窪川駅(応援と鮎の塩焼き)
チップ回収から少し歩くと、何と荷物置場から中学生がわざわざ荷物を持ってきて下さり驚きま。いえいえ、そこまでしていただかなくても取りに行きますとも。ありがとうございます。

フィニッシュ会場も桜がきれいでした。

初めて来た時もすごく満足感がありました。
ドリンクとアミノバイタルも配布されますので即座に回復に努めます。他に持参したプロテインプロテインバー二本を食べて十分です。更衣室は芝の上にビニールシートを敷いたパターンの割に中は水浸しでもなく問題ありませんでした。入口が一ヶ所というのは不便に感じましたが、その分一番奥は空いていたのでそこはよかったかなと。
ふるまいのご飯とお味噌汁は選べるので、炊き込みご飯と豆腐のお味噌汁にしました。おいしくいただいていると香ばしい番茶も注いでいただけてありがたかったです。今回は出店もなかったものの、雨も降っており長居する人も少なかったでしょうから、結果オーライではと思います。

大きなテントは前と変わっていませんでした。

走った後はとってもおいしいです。
やや水が流入していたものの、七年前と同じ足場に出て、四万十川を今日一番近い場所で感じます。“あの先から走って下りて来たのだ、何と素晴らしいコースなのか”と改めて思ったのは七年前と同じですが、“そこからの七年間で自分が選んできた道は自分にとっては正しかったのだ”と考えられるのは、その日から走ル旅が続いていたからこそです。何度か強く目を閉じては開き、四万十川の光と音を胸に刻みこみます。

走ル旅は、今日一日だけのことではなかったのです。
窪川15:51発の特急あしずりまでは大分時間があるので、バスで早く帰る必要もありません。折角ですからしばらくコースの最後の方で応援していました。ゴールに至るまでに、日常であったり当日であったりをそれぞれに積み重ね、今ここに至っているのだなと思うと、応援したくなります。笑顔で応えていただけるとやっぱり嬉しいものですね。やはり自分もそうしようと改めて思いました。

本当に後もう少しなので、力が入ります。
バスはどんどん出発しますし、走り終えて寛いだ空気の中、のんびりコースを見られます。しかし左に座ったのはミスでしたどう考えても四万十川が見えるのは右ですから。
窪川駅まで無事に送り届けていただくと、四万十川鮎の塩焼きが売られていましたので当然買い求めます。焼き立てで香ばしく、鮎はこんなに柔らかいのかと驚くくらいでした。惜しみ無くかけられた塩もいい味で、大満足です。ゆず餡のもなか「鮎のかほり」もおいしく、こうして電車待ちの楽しみまでご準備していただけることに感謝します。

ここに来たからには食べとかんと。
まだ時間があるので、スタート地点の窪川小学校付近を歩き、満開の桜を見ていきます。ついさっきマラソン大会が出発した場所とは思えないくらいにきれいに片付いていました。

夢が過ぎるような一日でした。
特急は自由席ですので10分前くらいにはホームに立ちましたが、問題なく座れました。ギリギリだと立つことになるかもしれません。

線路を上から見られます。
高知(ひろめ市場と高砂湯)
17:00に高知に到着し、ホテルタウン駅前さんにチェックインです。3,700円に2,000円のクーポンまで付いてしまって本当によいのでしょうか。この電子クーポンはアプリのダウンロードが不要で大変よかったです。高知おそるべし。

なんとお得な……。
ここから待ちに待ったひろめ市場に出掛け、藁焼き鰹のたたき大を(クーポンフル活用で)注文したところまではよかったのですが、何と言っても日曜夕方、どんなに頑張っても席を見つけることができず、自分の頭の悪さにガッカリします。せめて立ち食いの席でもあればと思うのですが、そんなものがあるはずもなく、郷に入りて郷に従おうにも打つ手なしです。

燃えています。
待てば待つほど人は増える一方ですので、もう割り切って人目を気にせず外で(えらい低い位置に置いて立ったまま)食べました。それでも藁焼きの香ばしさは普通に生活していてはとても想像できないもので、初めて食べた時の驚きが甦りましたおそらくこの先こうして高知で鰹のたたきを食べる機会はもう無いのだろうと思いつつ、よく味わっていただきました。

これ以上望むものなどありません。
食べるべきものも食べたので、次は銭湯を目指します。駅の北東にある高砂湯さんにお邪魔したのですが、今時衝撃の400円という入浴料に吃驚します(金沢は460円→490円に上がるこのご時世に)。そして中もきれいで更に大きな水風呂まであり、完璧です。存分に交代浴で回復できました。ありがとうございます。

こんなよき銭湯に巡り合えるとは。
スーパーでクボタのアイスキャンディ(四万十のぶしゅかんと翌朝の食料を調達し、宿で洗濯してから23時過ぎに就寝です。アイスは袋を開けただけで香りが広がり、成る程これがご当地アイスかと妙に納得しました。

クボタのアイスですよね。
気になる薄底のダメージですが、走り終えた直後の左足親指付け根の擦れ具合は厚底ではないもので、ありし日のことを思わせます。まあ出血には至らずOKです。筋肉痛の違いで顕著なのはふくらはぎで、これはもう厚底ではすっかり忘れていたものです。
翌日時点では、どちらかというと右の方が強く張っています。臀部は厚底の方が効いている感じですが、歩いていていくらかは張りがあるので、そこまでの差は出なかったかもしれません。意外なところでは、腿前は厚底よりダメージが少なそうです。時々はこういう刺激を入れた方がトータルの走力は上がるようにも思いますので、今後もあまりきつくないコースでたまに薄底を使っていきたいところです。

よく頑張ってくれました。前足部は少し削れました。

翌日

スロージョグで桂浜へ
宿のチェックアウトが11時と気づいたので、これ幸いと帰りのバス時間を調べてみると9時桂浜発のバスに乗れば余裕と判明したので行くしかありません。6時起きでしたが、前日は興奮もなく、夜中の覚醒も一度で済みましたので元気です。
朝は人が少ないので、あのはりまや橋も撮影し放題の渡り放題です。走りでは行ったことのない南方面も、朝日がこの時間だけの姿へと彩ります。

はりまや橋でロケの一つくらいできそうです。

鏡川がよかったです。
途中新トンネルを抜けて軽く上ったりしつつも進むと、高知海岸沿いに出ました。波音としぶきを感じながら、花の道を進みます。いや本当来てよかったなと。

逆光もそれはそれで。風と波音は気持ちよかったです。
そのまま進むと上りの前で突如歩道が消滅しましたので、やむ無く信号まで引き返したりしましたが、坂を上って龍馬記念館、桂浜駐車場まで至る道も太平洋が見えたり、桜が咲いていたりでよいものでした。大体13km弱をキロ7分半程で到着です。

ちょっと上っただけでこの景色です。
辺りは洒落た何とかテラスみたいなものになっており、“そういや随分前にとさいぬパークが閉鎖したニュースを見た気がする”と時代の移り変わりを思います。

これはこれでお洒落でよいのですが。
階段を上り桂浜の石碑を見て、龍馬像に至ります。本当の意味で時代を動かした偉人の一人で、この海を眺めながら何を考えていたのだろうということと、七年前に訪れた時に当時の自分と同い年で世を去ったことに思いを馳せます。生花装飾も入れ替わりでアレンジされているのがよかったです。

七年も長く生きてしまいましたよ。
桂浜の波打ち際まで下り、海の香りと足下の砂の感触、目の前の波とその音をしかと感じます。龍王宮への階段を上った先では逆光ではない青く透き通る海も見られて、あの日もその色に感じ入ったことを思い出します。

月を見に来ないといけない気もしました。
桂浜水族館は当然開館前でしたが、小さいながらも歴史があり、アシカショーも楽しく、展示もヘトヘトにならなくても回りきれる量で何かといい場所です。前回来られてよかったなと思います。とにかく一つ一つを記憶に残し、満足してバスに乗り込みます。事前に700円のチケットを買うとスムーズです。

昭和を感じられる水族館で、世代的には懐かしいです。

桂浜もありがとう。
部屋に戻り、買っておいたサーモン、筑前煮、チーズ、ヨーグルトをおいしく食べ、シャワーも浴び、荷物を整えて余裕で出発です。

全然旅行感ありませんね。
高知城(意外にハードも眺望は圧巻)
まずは駅前で龍馬パスポート青を発行していただき、早速お土産を買ってスタンプを押していただきます。

駅前で威圧されてきました。
高知城まで歩き、久々にその下まで来て“こんなに上るんだったっけ”と思いながらも、前回は時間がなくてあまり見られなかった桜も眺めつつゆっくり歩きます。中には楽なルートもあるはずですが、城内の階段も合わせると、(仙巌園程ではないにせよ)それなりに大変だと思います。

御城だけあってバリアでした。
拝観料は420円ですが、龍馬パスポートで340円になり、わざわざ80円をお返しいただきました。龍馬パスポートは何かと便利です。

この写真だと小さく見えますが。
お城は、江戸時代のもの(1749年に再建)がそのまま残っており、書院造り、武者隠しに石落としや鉄砲窓などに感心しながら進みます。御殿を中心とした本丸部分が完全な形で残っているのは全国でも高知城だけという国の重要文化財です。

前来た時も同じように感心しました。
急な階段をまだあるのか(四重五階は伊達ではない)と上ると最上階からの眺望に目を奪われることになります。360°回れて、高知市内が一望できるのですから圧巻です。欄干の黒漆も見逃せません。気持ちのよい風が吹き抜けるので、上ってきてよかったと実感します。

上ってきてよかったと思うこと間違いなしです。
展示も欄間に家紋や鬼瓦、模型や山内容堂の陣羽織(複製)など、盛り沢山です。

これらはほんの一部です。
三の丸跡まで下りて来ると、桜が満開ということもあってお花見を楽しんでおられる方も多くて和みます。ここの桜が高知県開花宣言の標本木らしいです。

全国で桜まつりが開催されていることでしょう。
高知城公園を出て街を歩きましたが、もう一度かつおのたたきを食べようという気にも、ご当地のスイーツを味わいたいという気にもならなかったので、特に何も名物を食べずに帰ることにしました。今までは記号を消費することに必死だったのが、ハレの日に物を浪費して満足する歳になったのかもしれません。

立志社跡もありました。
こうして一つ一つ自分の人生を終わらせていこうと思います。ありがとう高知。バイバイキ~ン。

バイキンマンも元気でね。

最後に

今回走らせていただき、四万十川とその大きな流れの中にある自然の空気や音、そして桜と温かな応援を全身で感じられ、本当に満たされた感覚があります。自分の歩んできた道は、こうして繋がっていたのだと肯定してもらえた気もします。
繰り返しになりますが、自然をこういう形で満喫できることは、走っていてこそ得られるものです。折角走れる身体があるなら、このチャンスを活かさない手はないと思います。四万十川に桜が咲いている、その姿を見てみたいと少しでも思ったことのある方は、是非その願いを叶えてほしいなと思います。
大会にご協力いただいた全ての方に改めてお礼を申し上げます。
ここまでご覧いただきありがとうございました。