清々しく晴れた早春の駿河路、そこは絶好のおでん日和に、右を見れば美しい駿河湾、左には苺と明るい笑顔の応援が勢揃いの素晴らしい世界でした。初参加の静岡マラソンは、静岡の魅力がいっぱいの素敵なご当地大会で、“ここは出ておいた方がよい”と断言できます。
“いくらおでんが出るといってもロスは1分くらいだろう”と甘く見てはいけません。大根と黒はんぺんの完全なおでんとカレーもつがふるまわれ、出汁、味噌、からしも次々と盛っていただける驚愕のいっぷく処では、覚悟を決めていっぷくする必要があります。私は3分以上入り浸りました。安倍川餅に名産のいちごも沢山いただけ、静岡のおいしいもの、食べて嬉しいものを存分に味わえます。
コースは、特に中盤の駿河湾を望めるエリアが飛び抜けて素晴らしく、右手の青は自分に見えるずっとずっと先まで続いているのだと感じ入ります。雲がなければ折り返し前には富士山も見えるはずですので、静岡のスケールの大きな自然を全身で感じ取れること間違いなしです。
応援も、街中だけでなく長い直線(しかも逆風)の区間に太鼓や吹奏楽、私設エイドが多く待ち構えていて下さり、力をお借りできます。終盤は軽く下って市街地に入るため走り易く、ここでも沢山の方がエールを送って下さるので最後まで笑顔で走れます。温暖な気候が関係しているのかは分かりませんが、静岡の皆様は穏やかな優しさで接して下さるように感じました。
走りは、半分ネタで(北九州マラソンで)大破したヴェイパーNEXT%3さんにしました。タイム的にはおでんの厚い壁に行く手を阻まれ、グロス3時間6分台で終わりましたが、お腹はいっぱいなのでこれでよいのです。(156bpm, 190spm, ヴェイパーNEXT%3 ※ストライド、上下動、左右接地時間バランス、接地時間はランニングダイナミクスポッドのエラーで記録なし……。)
観光も雨の三保松原で心の目で富士山を見届けたり、清水駅前銀座で色々食べたり、静岡でパン活したり、短い時間ながら駿府城公園を歩いたりもできました。協賛されているSPOPIAシラトリさんの品揃えと値引きは驚くべきもので、我慢できずにシューズとタイツを買ってしまいました。(ランナーの“さが”である(CV:キートン山田))
これまでなかなか訪れる機会のなかった静岡でしたが、今回こうして静岡のよい所を沢山見せていただくと共に体感させていただけて本当によかったです。確かに、静岡自体が“心躍るステージ”でした。静岡の皆様、素晴らしい大会を支えていただきありがとうございました!
苺つながりといえばはが路ふれあいマラソンも素晴らしきご当地大会です。多くの方に是非走っていただきたいと思います。
風の強さと洗練された運営、素晴らしき大歓迎ぶりには、いわきサンシャインマラソンを思い出すところです。
今は終了してしまいましたが、静岡といえば掛川新茶マラソンです。最後の坂はこの世のものとは思えない苦しさでした。復活していただきたい……。
続きのページには、おでん、応援、コース、観光などの情報を余すところなく書きましたので、写真だけでもご覧いただけると嬉しいです。
コメント、スター、↓のバナークリック、SNSなど何でもいいので読者の存在をお知らせいただけますと、私がお堀の亀と共に長生きします。
次回予告は、“薔薇の季節じゃないけれど”です。10kmなので観光メインです。
前日
大阪から静岡へ
7:10には起床し、時間もあったので豚肩ロース、白菜、人参、小松菜を煮て大分で買ったくろめのお吸い物と混ぜていただきました。納豆、チーズ、ヨーグルトも食べ、普段通りの調整です。金夜は牛こま、茄子、ごぼう、ほうれん草を炒め、石川のソウルフードまつやとり野菜みそで味付けしました。
新幹線は8:54新大阪発→11:23静岡着のEXこだまグリーン早特です。9,170円は普通に乗るよりお得です。シートの硬さも角度も心地よく足元も広々、正に天下人に相応しい座席でした(安い天下人である(CV:キートン山田))。
移動中読書は、小泉八雲『心 日本の内面生活がこだまする暗示的諸編』でした。いわきの書店で見かけ、国宝松江城マラソンで訪れた小泉八雲記念館のことも思い出して買ったものです。毎回思いますが、日本の心の観察眼が突出していることはいうまでもなく、この詩的な表現はどこから来るのだろうかと思うくらい豊かな知識と感性が溢れていて圧倒されます。『春』は心に重くのしかかりますし、『ある保守主義者』は人が生きる中で気づくべきことが語られています。
静岡観光
静岡マラソンフェスタ
静岡駅に着くと、早々にお茶の香りが漂っています。流石はお茶の国です。改札の前からスタッフの方が案内板を持っていて下さり、静岡マラソンフェスタまで導いていただけます。地下を通って地上に出てすぐです。Tシャツはフィニッシュ後の受け取りも可能ですし、ナンバーカードなどは事前送付なので行かなくてもいいっちゃいいのですが、やはりお祭りの空気は楽しみですので、私が行かないはずがありません。
Tシャツを笑顔で渡していただき、出店の方にも行ってみます。オフィシャルグッズは割と普通の価格で、外国人富裕層に高く売りつけようという魂胆も見られず、好感が持てました。
ROMスポーツさん、ステップさん、SPOPIAシラトリさんと、スポーツ用品のテントが三つも並んでおり、ジェルを忘れても全く問題なく救済されます。眼鏡市場さんの無料眼鏡洗浄・調整は頻りに勧められた(眼鏡かけて歩いてますから格好の標的)のでお言葉に甘えてお願いし、“くっきり見えるようになりました!”と喜んで割引クーポンも受け取ってきました。
静岡グルメのお店も沢山あったので、マルシェ限定幸せ田楽をいただきました。2本で100円とは安過ぎます。ハート型も明るい気持ちになります。わかめなどの海産物もガンガン売られており、地元のよき大会の空気が味わえます。
提携大会のブースもあり、今更募集しなくても大人気のおかやまマラソンと、日本三霊山(富士山、白山、立山)つながりで我らが金沢マラソン、富山マラソンのチラシもいただきました。今年度は三つ全て走れましたので、そういうご縁も嬉しいことです。
一番奥まで行くと抽選会で、玉の色に応じた景品を自分で選ぶスタイルでした。私は勿論白玉の末等でしたので、ティッシュをいただいて満足です。
三保松原
昼から夕方まで雨予報でしたが、まだそこまで降っていませんでしたし、“富士山くらいでかければ雨などものともしないかも”と全く根拠もない考えを抱いて行ってみることにしました。清水駅までJR(13:33発→13:44着)、清水駅からバス(13:55発→14:22着)で一本です。
とりあえずは右に折れて八木の方へと向かいます。周囲を松に覆われていることも、足元の枝と砂の感触もなかなか経験できないものです。少し行ってから海岸の方へ出て、いざ富士山と対面します。
そこには絵に描いたような見事な富士山の姿が……見えるはずもなく(当たり前である(CV:キートン山田))、多分あの線が下の方なのだろうということを確認するに止まりました。しかし富士山というものは、心に思い描けさえすればよいのです。富士登山競走の時も近過ぎて見えませんし、富士山はある種の憧れであり概念なのです。冷たい風と雨を身に受けながら、“富士登山競走の時は晴れてくれるのだ”と念じ、上った日のことと上る日のことを思っていました。
富士山が見えなくとも三保松原自体を歩ける機会が素晴らしいことであるという事実に疑念を差し挟む余地はありません。羽衣の松が三代目ということも現地に行って初めて知ったくらいですが、何事も直に見るのが一番です。
北原白秋や与謝野晶子の歌の案内を読んだりしながら、天気の都合上人が少なく静かな松原を存分に歩いてきました。私は人を気にせずに歩いたりぼんやりしたりできる時間がとても好きなので、これはこれでよかったです。
神の道として整備された参道を歩き、駿河国三之宮御穗神社にもお参りできました。今日まで元気に走れていることを感謝すると共に、明日も楽しく走れるように祈願しました。
中村園さんではアイス最中(抹茶)を選択し、濃厚なお茶のソースに舌も鼻も魅了されます。安倍川餅とセットで入っているとか、贅沢過ぎてどうかなりそうです。温かなほうじ茶もふるまっていただいた上にマラソンの応援までしていただけて嬉しかったです。参加者用チラシの提示で、ポストカードもいただけました。いい富士を見たと思いました。(太宰気取りである(CV:キートン山田))
みほしるべを見る時間がなかったのは惜しまれますが、15:59折戸東からバスに乗り(途中からかなり車内が混み、乗降に時間がかかったため、次の電車はギリギリでした)、16:40清水発→16:52静岡着のJRで戻りました。
パン活
- BAKERY&CAFÉ RESTAURANT AYUKAWAさん
高級感あるお店の空気にぴったりのハイエンドなパンが揃っています。トマたまカレーパンは、かじってしまい割った写真はありませんが、ゆで卵が一つ入っており、辛過ぎないキーマカレーと織り成す絶妙の味わいに打ちのめされます。バナールショコラは、高級チョコとバナナチップの相性がよく、これはちょっとずるいのではと思うくらいおいしかったです。
- Pain SiNGE(パン・サンジュ)さん
こちらもどう見てもおいしそうなパンが並んでおり、選ぶのに時間を要しました。ゴロゴロバジルチキンとカシューナッツは スパイシーなチキンがうまく、あっという間に平らげましたし、黒豆パンはクリームチーズとの相性バッチリで、かなりうまかったです。
お堀カメはこの姿ですから買うしかないでしょう。脚のビスケット生地部分が思った以上にビスケットだったり、甲羅部分が柔らかかったりと、楽しいパンでした。
- Boulangerie Sanaさん
常磐公園の向かいにある小さなパン屋さんで、お店の方が辞書を片手に勉強されているという何とも素敵な空間です。パニーニ風はチーズがおいしかったですし、エシレロールも材料がよいのでしょう、大人しいのに確かな味わいが広がります。
静岡駅周辺を散策していると、常磐公園の音楽噴水に丁度13時に行き会ったり(夜はスペシャルショーで水と光と音が共演するそうです)や河津桜が咲いていたり、家康公にまつわる逸話があったりと、狭い範囲でも色々なものに出会えます。
夕食
ちゃんとしたものが食べたかったため、大衆食堂定食のまる大静岡北口店さんにしました。17時頃だったので、待たずにカウンター席に座れました(17:30頃には待っている方もおられました)。
お得な和食セットは、刺身、その中でもマグロが特に美味しかったです。焼魚は鯖、ブリ、鮭から選べるので、いぶすきで好調だった鯖にしました。なす味噌炒めもご飯が進みますね。
SPOPIAシラトリさん
静岡マラソンへの協賛企画で何と20%オフということで、掘り出し物があるかもと行ってみたのですが、素晴らしい品揃えかつ旧モデルの値下げ率が大きく、迷いに迷いました。
廃盤になるソーティマジックLT2も半額以上の大幅値引き。しかし流石にサイズはありませんでした。ただ、RP6は27.5cmがあったため、“どこで履くのか”という疑問もありながら、超お買い得だからと購入してしまいました。
幸か不幸か19,800円のMETA SPEED EDGE+はサイズがなかったので買えなかったのですが、同額のSKYはあるし、META SPEED SKY PARISもあるという……。とにかく大いに悩み、1時間以上店内で商品を物色していました。結果、2XUのハーフタイツを購入し、シューズは(RP6だけで)我慢しました。耐えた……。
お宿
静岡ユーアイホテルさんです。スタート地点の目と鼻の先という最高の立地です。しかもこの界隈では8,800円という良心的な価格でありがた過ぎです。部屋も通常のビジネスホテルより広く、快適でした。
紀伊国屋で買ったあさぎり牛乳とBoulangerie Le Lien(ブーランジュリー ル リアン)さんのりんごとくるみのカンパーニュを半分ほどいただき打ち止めです。今日も沢山食べられて幸せです。23:40頃に消灯しました。
レース当日
レース前
6:20起床に成功です。予定では7:20に宿を出ようと考えていたので、この時間としました。夜中緊張感のある夢を見て覚醒したものの、心拍数43、Body Batteryも大幅回復だったので、よく眠れた部類だと思います。
朝食は昨夜取っておいたあさぎり牛乳、りんごとくるみのカンパーニュ、ゆで卵、チーズです。定番の量、内容です。
ウェアを身に着け、ワセリン、日焼け止め、テーピング、ソックスも履き、ささっと身支度を整えます。お通じはなかったものの、昨日クリアしているので問題なしです。会場が近いので、シューズも履いていくことにしました。
荷物を預かっていただき、出発です。ちんたらしていた結果、何と7:28に(荷物預け終了が7:45)。かなり攻めました。しかし本当に近いので、ぼんやり歩いているだけで駿府城公園に到着しました。家康公出陣キットまで5分程。この時点で間に合うことを確信しました(レースさながらである(CV:キートン山田))。
今日の金沢スイーツは美福さんのどら焼き(五郎島金時)です。金沢マラソンで山側環状から若松橋を渡り、被り水スポットの手前にある名店です。今日は金沢の英雄五島莉乃選手が名古屋ウィメンズで初フルだったということで、ちょっと特別な日でもありました。
手荷物預かりはお堀の中で際どいかなと思いましたが、無事に7:42には預け、納期を遵守しました。“少しでも遅れたら預かれません!”という緊迫感に充ちたアナウンスも繰り返され、公園の雰囲気的に京都マラソンの(手荷物預けの)難コースを思い出したりしました。しかし静岡マラソンは、基本的にスペースはかなりあるので人をかき分けなくても進みますし、7:45経過後には、“間に合わなかった方専用の輸送があるため、指示に従うように”との旨ありましたので、かなり手厚いセーフティネットも用意されていたようです(どうなるのかは不明ですが)。
動線はよく、スタート前給水に立ち寄ってから各ブロックの整列に向かう流れです。ここでアミノ酸を摂取しておきました。予想タイムはどれくらいで申告していたか全く覚えていませんが、Aブロックは荷物預けエリアからも近く、普通に歩けば8:00の締切には間に合います。最初は日陰で待つことになり、少し肌寒く感じるかもしれませんが、3月なので通常は問題ないはずです。
誘導に従いスタートエリアに進みます。スタート台から随分遠く、左手には県庁が見える位置でした。地元テレビ局の女性アナウンサーが司会という私の好きなご当地感を確かめながらのんびりと待ちます。かなり混雑しているため、動的ストレッチもほとんどできない状態でしたが、最近恵まれすぎだったので、本来あるべき姿に戻ったともいえます。
【ちょっと真面目な話】
練習
いわきサンシャインマラソンをターサーRP3で走ったもののふくらはぎなどが特に強い筋肉痛に見舞われることもなく、ほぼ普通に生活して練習を継続できました。どれだけまとめて長い距離を走れるかで、この先の記録も差が出て来ると思っています。
日曜:いわきサンシャインマラソン 3時間6分台
月曜:観光スロージョグ(5.4km+13.4km, ナイキフリー)
火曜:オフ
水曜:有酸素ジョグ34分(Zone1, 5.84km, 113bpm, 184spm, エボライド)
木曜:有酸素ジョグ61分(Zone3, 12.45km, 133bpm, 189spm, エアロ20R)
金曜:閾値走10km(39:21, ソーティマジックLT2)
土曜:有酸素ジョグ122分(Zone3, 24.1km, 122bpm, 186spm, ライトレーサー5, 中断多数)
日曜:有酸素ジョグ122分(Zone2,3, 23.5km, 120bpm, 186spm, デュエルソニック3)
月曜:有酸素ジョグ36分(Zone1, 5.70km, 109bpm, 181spm, エボライド)
火曜:有酸素ジョグ62分(Zone3, 12.33km, 127bpm, 189spm, ライトレーサー4)
水曜:有酸素ジョグ29分(Zone3,4, 6.32km, 136bpm, 197spm, Hanzo R)
木曜:レースペースインターバル3本(4:17, 4:08, 3:57, ヴェイパーNEXT%3)
金曜:有酸素ジョグ32分梅観賞(Zone1, 5.42km, 108bpm, 185spm, ズームフライ4)
土曜:オフ
シューズ
日本一ヴェイパーNEXT%3が合わない男の汚名を返上するべく笑、と言いますか、いくらセールで19,800円だったとはいえフル2本でご臨終では納得がいかないので、半分ウケ狙いで選択しました。踵は剥がれていますが、フォアフット部分はまだまだ元気ですし、木曜に履いて一応大丈夫そうだったのでいけると判断しました。
ウェア
もしかすると速く走れるかもしれませんので(おでん食べるくせに何を)、一応アンダーアーマー水色ノースリーブ、ミズノマルチポケットパンツ、ザムストソックス、ニューハレ踵二重にしました。前日買ってしまった2XUも折角なので着用します。キャップはオホーツク網走の黒にしました。
持ち物
多分余るだろうと思いつつも、ジェルフラスコ2つ(アミノ酸、マグオンとアミノ酸、コーダプラム)にしました。30分おきくらいに飲みましたが、結局二本目の3割くらいは余りました。
レース
序盤~前半
- 序盤(市街地から郊外へ)
号砲からなかなかスタートに辿り着きません。“まあこんなもんだよな”と思いつつ、スタートラインより手前におられるゲストの皆様方を歩行状態でのノールック撮影で捕らえ、ようやく走り出します。その時点でかなりロスしたことを認識したので、欲をかいて崩れる展開は避けようと思いました。実際は44秒だったようです。
北九州マラソンのように前過ぎたわけではないので、後ろから高速で走って来られるランナーさんの圧を感じるということはなかったものの、やはり密集具合は怖いので、下手にスマホをいじらずに大人しく走っていました。自分的にはまずまずよいペースで走っているつもりなのですが、ガーミンさん的には4:36,4:28だったそうです。
なお、今回は事前配布物がシンプルだったためか、単に私が持参を忘れただけなのか分かりませんが、事前にコース図や応援スポット、給食の内容をしっかり確認できておらず(そんなに長時間ネットを見ていられない性格)、完全に出たとこ勝負の走りになっています。セレンディピティを楽しむことにします。
最初の給水は5kmです。ある程度予想していましたが、最初の給水の割には(いわき程は)テーブルが長くなく、取るのは難しそうだと判断してパスしました。まだそこまで暑くないので、どうということはありません。ちなみにスタートしてから400人以上に抜かれていたようですが、本当にそんなに抜かれたのだろうかという気もします。
高架を抜けると急に長閑な風景になりますが、右手の坂を上らされることもなく左折して再び市街地の方へと舵を切ります。コーナーは応援も多く、長時間接点を持てるので楽しいです。
7kmで手元30:25。結構真面目に走っていたようです。
- 前半(再び市街地へ)
二つ目の給水もやや間に合っていない感があり、前の方が詰まってしまいましたが、追突は回避できました。奥の方で取ると最終のゴミ箱まで距離がないので、飲むにも技量が要ります。
10km付近も相変わらずフラットで、心拍や呼吸が上がるといったことはありません。日差しはやや眩しく感じましたが、風もあって暑いとまでは思いませんでした。少し道幅が狭いエリアでは、応援が近くで感じられて元気が出ました。
マップが頭に入っていませんので、おそらく観光で訪れておくべき浅間神社を撮影できませんでした。中心部に向かって走っていく場所では、商店街の大きな鳥居が目を引きます。この広い道路は沿道応援が多く、“こうして応援していただけるなんて幸せなことだ”と感じていました。何回走ろうとも、この嬉しさは変わりません。
見通しのよい本通りを進み14km手前で折り返しですが、バスがしっかりコースを塞いでいて、“どこぞの大規模大会のような誘導ミスなど起こす気はない”という気概が伝わってきました。こういう所もしっかりしている大会だと感じます。
中盤
- 中盤①(「安倍川」といえば?)
15kmを過ぎて左折し、安倍川に向かっていきます。ここで気になるのは勿論、安倍川餅の存在です。「安倍川」という上の句を投げかけられて「餅」と下の句を継がない人がいるでしょうか。“安倍川餅を取れずにおめおめと帰るわけにはいくまい”と気持ちを引き締めます。
左折して「安西橋東」という海外の方が見たら混乱しそうな標識を見ても、安倍川餅まではまだあります。クランクのように曲がってから少し下り、堤防まで軽く上って安倍川沿いを走るのですが、ここの展開は鳥取マラソンと(逆サイドですが)とくしまマラソンを思う場面でした。
ここで行く手に見えてきたエイドには安倍川餅の案内もありましたので、“この機を逃してなるものか”と取りますアピールを連発して後続の方を先に送り出し、スタッフの女の子が差し出してくれた安倍川餅を軽やかにゲットしました。喜んでいただけてよかったです。取ってしまえば大丈夫ですので、少し行った先で河津桜を鑑賞しながらいただきました。やはり餅はよいですね。
続いて安倍川橋を渡ります。緑の鉄骨は犀川大橋を思い出すものです。調べてみると、安倍川橋は1923年、犀川大橋は1922年に架けられたということで、ほぼ同い年なんですね。しかし安部川橋の方が遥かに長く、日本の現役ボーストリングトラス橋の中では最長を誇るらしいです。川幅は相当広い割に水が流れている部分は案外狭いという、日本の川らしい景色を感じていました。
橋を渡って20km地点付近は松が木陰を作ってくれていました。左手に川を望む景色はふくい桜マラソンの九頭竜川を思い出させます。21kmで手元1:30:26、中間点はグロス1:31:40でした。後半上げればネットで3時間に近いところまではいけそうです(フラグ)。
- 中盤②(しぞ~かおでんとの邂逅)
中間点から少し行くと、高架の上を走っていく先行ランナーさんの姿が見えます。でも鳥取マラソンの例の橋程の高さはないので、恐れる必要はないなと思います。
高架の先、22km地点では、実は今大会初めての集団での応援が。力強い太鼓の演舞ですので、最短コースを取る発想もなく、思い切り膨らみながらその勇姿にお礼を言いつつ走りました。
右折した瞬間エイドがあり、しまったと思ったものの「パン」の文字が見えたので、ここはパン好きのプライドに懸けてゲットしました。普通のあんぱんなのですが、やはりマラソン大会の定番という味で、元気が出るので結構好きです。食べ易いサイズで包装を破らなくてもよいのはランナー的に大きいです。
先程下から見た低めの高架を上り、再び安倍川を渡ります。ここで右手に広がる駿河湾は、それだけでも満足して帰ってよいくらい爽快なものでしたが、実はまだ序章に過ぎません。この先の景色を思いながら、橋の上を走っていきます。
しばらくは地上に降り立つこともなく、所々で傾斜した橋の上を進みます。24kmの表示は車の窓というなかなか珍しい演出でした。25km地点では小さな子供たちの応援に和みます。
さて、いよいよ今大会の最大の目玉、しぞ~かおでんが近づいてきました。記憶では25km台のエイドでふるまわれるはずですので、どうなっているのか楽しみです。見えてきたエイドには「給食×2」の文字が。“おでんをこの状況でたった二つのテーブルで捌けるはずがない”と思いつつ近づくと饅頭が。手渡しではなかったため気合一閃握力強めで捕獲しました。この饅頭は素晴らしいことに、饅頭にしては皮が硬めでしっかりしており、潰れないし食感もよいのです。シューズも硬めが好きな私のためにあるかのようなおいしいお饅頭でした。
そして2ついただいたお饅頭のうち一つを噛み締めているところで、「いっぷく処」の文字が見えてきました。「いっぷく」と謳っている時点でランナーに走らせまいというスタンスが明確になっていて斬新です。ここまで走って来て“よーし、いっぷくするぞ”と思うランナーがいるのでしょうか(ここにいます)。走っているとテントに幕がかかっており、“まさか開店前だったのか?”という疑念もよぎります。
近づいてみると、右折して完全に逆走することで初めておでんを受け取れるシステムになっていましたので、結構な勢いで意気揚々と駆け込みました。奈良マラソンのぜんざいや三輪そうめんも走路から外れる設定でしたが、まだ前を向いているので戦う姿勢は残ります。しかしケージ逆走パターンはにしおマラソンの踏切手前の屋台エイドと共に、一切の妥協を排除した、正に「いっぷく」を極めんとするプロの誇りが伝わるものでした。
開店直後だからかまだ空いており(それでも25kmで1300番台なのですが)、まずは一番奥のテントでしずおかおでんとしみずモツカレーを受け取ります。その場でバクバクと食べてしまってはいけません。ターンしてから別のテーブルに向かうと、味噌、からし、出汁と次々と盛っていただけます。食べていると“お水もどうぞ”とわざわざコップを持ってきて下さるのですが、私はいつの間にか大名にでもなったのでしょうか。本当ありがとうございます。
写真からも伝わる通り、もう本気のおでんです。“ランナーが走りながら食べられるようにカットした”というようなものではありません。ほっとする味の汁が染み込んだ大根も分厚くておいしいですし、静岡おでんのシンボルである黒はんぺんもふっくらとボリューミーです。私もタイムを気にして懸命に食べるのですが、一向に食べ終わりません。モツだってあの歯応えですからそう易々とは咀嚼できません。まだ空いていた時間帯だったからか、沿道の方にも楽しんで食べている姿を喜んで撮影していただけました。
ここまでおでんに文字数を割いたマラソンブログが過去にあったかは私のあずかり知らぬところですが、お腹も心も大満足で再出発です。この1kmはガーミンさんも7:40という数字を示し、“よかったね”と言ってくれています。いっぷくした結果満腹になりました。(当たり前である(CV:キートン山田))
再出発するといきなり視界が開け、右手に駿河湾が広がっています。“このコースはすごい!”と実感する瞬間です。もう右にコースアウトして景色を眺めていっぷくしたくなるくらいです(まだ休む気か)。大谷川水門もいかにも海沿いといったデザインです。
先程おでんをいただいたばかりなのですが、実は次のエイドでは苺がふるまわれます。苺が出るとは聞いていましたが、“このタイミングなのか!”ということで取りやすいサイズのカップに入った三つもの苺をいただきます。安倍川餅も再登場しましたので、こちらもジェントルタッチでつまんで盛り上げます。静岡の恵みを感じながら、おいしくいただきました。
28kmで手元2:04:23です。中間点を過ぎて壁にぶつかり、大きくペースダウンしてしまったようです。(欲の塊である(CV:キートン山田))
後半~終盤
- 後半(正念場こそ応援が結集)
ここから真面目に走りたいところですが、早速私設エイドで臥龍梅の甘酒を用意していただいていることに気づき、足を止めてうまみを味わいました。飲む点滴パワーでまた元気になります。
この先は35kmの折り返しまでひたすらまっすぐ走ります。そして基本的に逆風です。鯉のぼりもしっかり泳いでいます。体感的には今年のいわきと同じくらいの強さだったと思いますので、そこまで厳しい状況ではありません。それでも、あまり変わらず走っているつもりが4:30/kmくらいに落ちているという、走り的にはイマイチな区間となりました。
しかし走っていて、この正念場に最も多くの応援を配置して下さったことがよくわかりました。家康公伝来の完璧な布陣の前には石田三成も一たまりもありません(石田さんこんな時だけすみません)。いちご園が複数あり、その前で応援して下さる方、吹奏楽に太鼓演奏と左手には次々にランナーを力づけて下さる皆様が。そして右手を見れば心を奪われる、青く美しい駿河湾。静岡マラソンのハイライトと言えるエリアだと思います。
風が吹いてはいますが、この30km過ぎてからの吹奏楽、太鼓がどんどん続く光景は、走っていてとても楽しかったですし、ずっと覚えていたいものでした。
いちご海岸通りという標識が何度も現れるだけあって32.7kmのエイドではまたしても苺が登場し、更にパンもありましたので、左手で巧みに漏れなくゲットし、歓声を受けました。普段から左で箸を使ったりして鍛えていますし、走りながら給食を取る技術には長年磨きをかけてきましたので、本領発揮といえるでしょう。
昨日来た三保松原も近づいてきましたので、“富士山が見えるはず”と前方を探しましたが、これだけ晴れていてもそこだけ雲がかかっているようで、おそらくはっきりとは見えなかったと思います。もしかすると私がサイズを見誤っていた、あるいはあさっての方向を探していただけで、見えていた可能性も捨てきれませんが。それもまた思い出になるのでよしです。
折り返して35kmで手元2:36:10。30分ちょいかかるとして、ネットでも3時間6分台ですかね。
- 終盤
折り返してしまえば順風になるので楽なものです。左に移った駿河湾もまた違って見えます。エイドに苺があることは往路でチェック済みですので、しっかりいただき、“苺食べながら頑張って!”という沿道からの声援もいただきました。
右折して街中へと向かい、更にもう一度右折すると急に下りになります(宮加三の交差点)。それも程よい下りで、走り易くかつ勇気が湧くタイプのものです。風もあまり感じなくなりましたし、評判に聞いていた通り、清水の皆様の応援がぐっと増えてまた盛り上がります。
呼吸も苦しくなく、脚も残っており、体感的にもなかなか気持ちよく走れていたので、40km以降は9分は確実に切れると思いました。丁度おでんから1時間程経ってお腹も落ち着いてきたことも感じ取れましたし、後は上げて終わるとしましょう。
ヴェイパーNEXT3%さんはピッチ走法といいながらもやはりある程度強く潰して反発を得る方が伸びる感じがありました。キロ4くらいの体感で走り、それ程苦しくもならないながら反発はそれまでとは格段に異なる強さになっていました。二度ほどクランクを挟んでからの最後の直線では、あの清水エスパルスのサポーターさん達がコールを送って下さり、Jリーガーになった気分で益々力が湧きます。
最後は遠慮せずに抜けるだけ抜いて笑顔で楽しく駿河路を締め括りました。素敵な時間を与えていただき、ありがとうございました!
アフター
レース後
会場
完走メダルをかけていただき、笑顔でお礼を言いながら、タオル、お茶、こっこも受け取ります。動線と荷物返却のシステムも練られており、すぐに荷物も返していただけます。気合の入ったご当地大会はこういう所がすごいです。コース上でも沢山見られましたが、あの水色のパーカーはきれいですね。
1000番台でも更衣テントはそこまで混んでおらず、快適に着替えられました。アミノバイタル、アミノプロテイン、プロテイン、プロテインバー二本でリカバリーも済ませ、難なく外に出ます。
大注目?のヴェイパーNEXT3%さんは、輪をかけて見るも無残な姿になりましたが、それでいて最後の上がりっぷりは素晴らしかったですし、身体のダメージもほとんどないので、やはりスーパーシューズだと思います。履きこなすことができればよかったのですが。
会場ではすぐにおでんとビールを購入できるようになっており、レース中に涙を飲んで見送った方もここで挽回できます。ドライゼロの試供品も配布しており、オフィシャルグッズの販売もありました。
清水駅前☆まんぷくマルシェ
動線が素晴らし過ぎてそのままJRで帰ってしまう方も多いでしょうが、折角大会を開催して下さった地域の方にいくらかでも還元するべく、清水駅前銀座の方へ行きます。しばし歩き回って色々食べ、寄らずに帰るのは勿体ないと思いました。
着いたのは12:15くらいなのですが、物を食べているランナー風の人が全然いなくて心配になりました。まあ単純にピークの時間までまだあったのだろうと思いますが。ガールスカウトの子達が“どこから来たか”を示すシールを地図に貼る企画をやっていましたが大阪では私が一番乗りでしたし。
清水に限らず静岡の方は全体的に商売っ気が薄いという印象を受けました。そもそも清水は観光地というよりも地元の方の生活の場なので、当然と言えば当然な気もしますが。その優しさ、実直さは素敵ですし個人的には大好きなのですが、観光客からは多少ぼってもよいのですよ。
とりあえず清水らしいものを買わねばなりませんので、次郎長屋さんで次郎長金山寺とわかめスープを購入しました。食べるのが楽しみです。お店の方もとっても優しく完走を労って下さり、嬉しかったです。日々の生活の中でも、やはりこういう素敵なお店で買い物をしたいところです。
魚屋さんのあら汁は、これぞ港町の味ということで、“日本には本当においしいものが沢山あるものだなあ”としばしぼんやりと浸っていました。向かいのお惣菜屋さんのメンチカツもぎっしり詰まっていて大満足です。
サリエさんではおいしい抹茶スコーンをいただき、銀座の先にあるみかみ本店さんではかきめしと野菜かきあげをいただきました。
もう一度ラストの直線の方へ戻り、5時間付近のランナーさんの姿を見届けてから、13:36清水駅発のJRで移動しました。シャトルバスを動員するスタイルもよいのですが、大変過ぎるので、鉄道フル活用という設計もよいものだと感じました。電車はどちらかというと上りに乗る方が多く、下りはこの時間でも大して混んでいませんでした。
おふろcafe bijinyuさん
草薙、東静岡にもそれぞれスーパー銭湯があるのですが、チラシも入っていたのでこちらにしました。13:53発のバス(安倍線)で10分程行った妙見下で下車し、歩いてすぐです。
チラシが適用されるのは120分コースのみですが、時間もないので60分コース730円にしました(タオル持参)。市内のカブラヲで汲んだ温泉を使っており、身体も温まりお肌もすべすべに。ジェットバス、水風呂、サウナもあり、リカバリーにはとてもよかったです。
(なお、完全に余談ですが、道中、信長書店に対抗した名前にしたらこの地では本当に商売ができない気がするアレ系の書店に出くわしたりもしました。何でもいいから歩いていれば意表を突かれることもあるものです。)
駿府城公園
駿府城跡天守台発掘調査が行われており、その調査現場を見学することができます。駿府城は家康により二度築城されており、大普請で慶長12年(1607年)に完成させたものが1635年に火事で焼失、明治時代には廃城となり天守台も取り壊されたという経緯を辿ったそうです。
しかし平成28年から現地調査や整理作業などを地道に続けてきて、徐々にその全貌が明らかになりつつあるようです。こうして自分の暮らしている土地の歴史を大切に継承していくことは、なくてはならないことだと思いました。
公園内には家康公手植えの蜜柑があったり、勿論銅像もあったりするので、家康公のことを身近に感じられる場所だと思います。
花壇や河津桜もきれいでしたし、巽櫓も豪気です。今朝のスタート会場の片付けも進んでおり、心の中でお礼を言いつつ、公園を後にしました。
今回は時間がなく、日本平はいうまでもなく、市役所の展望台も、歴史博物館も、ちびまる子ちゃん関連の場所などにも行けませんでしたが、また次に来る楽しみが残っているということにします。
駅でお土産のこっこを買い足し、静岡16:21発→新大阪18:51着こだまで帰りました。往路と同じくグリーン車ですから、乗っている時間が長い程元が取れます。帰宅後荷物整理、洗濯、簡単な食事を済ませてまた明日からに備えます。
最後に
初参加の静岡マラソンは、期待を遥かに上回る楽しい大会でした。エイドがすごいというのは勿論ですが、運営も洗練されており、温かな応援も多いですので、この大会はおすすめだと自信を持って言えます。
真剣に走られる方も勿論多いのだろうとは思いますが、私としては折角ここまで準備して下さったのだからとことん楽しもうという考えで走らせていただきました。食べてばかりですが、いくらかはお応えできたかなと思っています。記憶に残る素敵な大会にまた出会えて、ありがたい限りです。
全く個人的には、静岡は祖父がかつて学んだ土地でもあり、走りながら“この川を見ていたのだろうか”、“当時の風はどうだったのかな”などと考えたりもしました。なかなかこういう機会に恵まれることもありませんので、こうして静岡の街を走らせていただけたことは幸せなことだと思っています。
この大会を作り上げて下さった静岡の皆様に改めてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
ここまでご覧いただきありがとうございます。