初参加でしたがこれまたとてつもない大会でしたね。何といっても後半は1kmくらい行ったらおもてなしエイドという有様で、到底真面目に走ることなどできません(褒めています)。後で写真と大会プログラムを見返してみても、どう考えても予告よりもエイドの数が多かったです。何度“お願いですから真面目に走らせてください”と思ったことか(どの口が言うか。ありがとうございます)。
大奮発の苺はあちこちでふるまわれ、私は6か所でいただきました。それぞれにサイズも味も異なり一粒一粒が一期一会です(かかっていません)。基本甘い香りと味を口内に保持したまま、はが路を行きました。梨ゼリーも甘くておいしく、梨も瑞々しくてたまらないです。そして果物だけでも嬉しいのに、何と甘酒、味噌汁、素麺、水餃子、豚汁、お蕎麦とあれもこれもと登場するではありませんか。大阪遠征組の中では最も給食を楽しんだおじさんになれたと思います(多分合計10回止まりました)。
応援も沢山で、特にお囃子保存会の方の演奏がとても多かったです。かなり離れたところから聞こえてきますし、通り過ぎた後も長い間響いてきました。吹奏楽もよさこいも元気いっぱいでしたし、沿道で旗を振って下さるおじいちゃんおばあちゃんの笑顔も優しいです。“これぞはが路!”と言わんばかりの温かさで、ランナーは誰しも強く惹かれたことでしょう。
コースは栃木の長閑な風景が多く、のびのびとした気持ちになります。10%の上りがあったかと思えば12%の下りに突入したり、40km過ぎには確かにラスボスっぽい上りが待ち構えていたりとアクセントが利いています。他に細かなアップダウンもありますし、今年は後半西風でずっとやや強めの逆風が吹いていたので、あまりタイムが出にくい感じではなかったかと思います。まあエイドで止まらなくてはならないのが最大の難関だとは思いますが。
走りは(ここまでの記述で重々伝わっていると思いますが、)特に無理することなく速いジョグの長い版くらいの感覚でした。なお、30kmから40kmの10kmは52分56秒を要しています。40kmからは巻き返して9分5秒で、ギリ3時間20分切りで収まりました。
(157bpm(最初3kmくらい195とかのバグ。実際はもっと低い), 187spm(あれだけ止まればこんなもの), ストライド1.14m, 上下動比5.3%, 上下動6.2cm, 左右接地時間バランス48.8:51.2, 接地時間241ms)
観光も、真岡鐡道のSLに乗車したり、真岡木綿会館や金鈴荘を見学したり、おいしいパン屋さんを巡ったり、強い重力が作用する苺クレープなど、沢山楽しませていただきました。時間を作って、もっと広いエリアを回ってみたいと思うところです。
本当に歓迎ぶりがすごく、幸せな気持ちで一年を締めくくることができます。通算97本目のフルマラソンでしたが、自信を持って全国のランナーにおすすめできる大会です。はが路の皆様、応援ありがとうございました!
栃木の大会といえば大田原マラソン。制限時間4時間もさることながら、後半上りかつ逆風(那須おろし)という、一生忘れられない程の記憶が残る大会です。
年末の大盤振る舞いぶりに、やはり到底真面目に走る余地のないみえ松阪マラソン。風の強さもさることながら、松阪木綿も名産ということで、はが路との共通点を感じます。
いぶすき菜の花マラソンも私設エイドがすごいんですよね。もう5回も出ていて、2024年で6回連続の参加になります。
続きのページには、コースやエイドの写真は勿論のこと、弾丸観光のあれこれも書いていますので、写真をスクロールするだけでも是非。この喜びを一人でも多くの方にお伝えしたいと言いますか、別に読まなくてもいいので参加してみていただきたいと思います。
コメント、スター、↓のバナークリック、その他の拡散でも何でも、リアクションをいただけると嬉しいです。面白がって下さる方、興味を持って下さる方がいると分かればやっぱり張り切ります。
次回予告は「年の初めはいぶすきから!帰ってくる怒涛の私設エイド!」です。
追記:ふるさと納税では益子焼の鉢をいただきました。よい器を使うと、サラダ一つでもぐっとおいしくなります。食べることが好きな私にとっては頼もしい仲間です。
前々日・前日
ドリームルリエで王様気分
何と夜行バスでの移動です。諸事情で後泊ができなくなり心中穏やかならぬ日々ではありましたが、ならば前泊までに可能な限りの予定を組むばかりと切り替えるのが遠征マニアの生き様。真岡でSLに乗るためには夜行バスか新幹線始発しかなく、金銭的にもそこまで変わらないことから、最上級のドリームルリエ号プレシャス席(16,660円)を選択しました。大阪駅JR高速BT(23:00)→東京駅日本橋口(07:21)という強行軍ではありますが、これならいけそうに思いました。一泊三日、どんと来いです。
帰路の夜行バスは乗り込む時点で消耗していて(疲労に加え汗、口臭など)とても辛い展開になりがちですが、往路であれば自宅で十分な食事とシャワー、完璧な歯磨きも済ませられますので、後は寝るだけという万全の態勢で大阪駅へと向かいます。
期待を抱きつつ乗車すると、完全に個室で夜行バスとは思えない広さです。パーテーションで通路は勿論後ろの方とも完全に隔絶されていますので、シートはマックス倒せます。小心者の私にはありがたい限りです。コンセントや網ポケット、明るさを調整できるアーム付きライトなど、至る所の設計が優れています。〝もう王様やないか”というくらいの気分でしたね(安い王様やな)。
アメニティにはウェットティッシュ、口臭予防の何やらに加えて温熱アイマスクが入っていましたので、最初の休憩までに使いました。
残念ながら脚先はつかえてしまい、伸ばしきることはできなかった(身長180cmを超えるときついかも)のですが、それでも上半身が十分にリクライニングされていること、フットレストの高さも程よいこと、シートの横幅も広く体勢を変えられることから、脚がむくむこともなく済みました。
耳栓とネックピロー、本気のアイマスクは持参して正解でした。夜行バスは大体、少し眠くなってきたくらいに最初の休憩所でトイレに寄り、そこから本格的に眠ることを目指すものですが、今回はかなりうまくいきました。途中乗務員さんの交替や時間調整で減速した際に目覚めたりもしたのですが、流石にシートの硬さも角度も洗練されており、周囲にも気を遣わなくて済む環境ですから、夜行バスとは思えないくらいには眠れてしまいます。
新宿を過ぎても起きるつもりもなくひたすら横になっていました。普通夜行バスや飛行機はゴールが近づくと“はよ降りたい”と思ってしまうものですが、今回は本当に東京駅直前まで寝ていて、到着後慌てて荷物をまとめて降りる(しかも最後の一人になりました)というザマでした。
ガーミンさんによると脈拍も普段と同様に下がり、Body Batteryもしっかり回復していたとのことです。目も充血しておらず、主観的にも疲労が溜まっている感覚もありません。大成功です。2018年8月に三列シートで2時間しか眠れないまま爆水RUNに出撃して死にかけた(最高気温38℃)経験は無駄ではありませんでした。
東京から真岡へ(パン活を楽しみつつ)
東京→下館、下館からはSLという流れです。下館では丁度いい時間に開いている目ぼしいパン屋さんがなさそうだったので(距離的にもきつい)、東京駅でパン活です。実際東京駅に来ることはほとんどありませんし、こういう機会でもないと沢山食べることもないため、貴重なチャンスです。
7時から営業している宇都宮発のパン屋さんということで、Standard Bakers Tokyoさんへ。北海道チーズデニッシュは、クラムの中でチーズとバターが香り高く、とてもおいしかったです。クリームチーズサンドは程よい酸味も全てがリッチです。
東京駅07:55発→小山駅9:05着→9:08発→下館駅09:28着の予定でしたが、残念ながら小山で3分の乗り換えは厳し過ぎ、小山9:45発に切り替えました。時間があったので駅前をぶらぶらしてみたものの特にめぼしい発見は無し。リトルマーメイドさんでとろり半熟卵のカレーパンを買って元気が出ました。全国にあります(松江にもありました)が、結構おいしいですよね。つい買ってしまいます。
真岡鐡道SL
下館駅からはいよいよSLに乗ります。まずは交通系ICカード非対応ということで紙の切符を購入し、追加でSL自由席券もホームで購入します。早くも待ちきれない鉄道ファンが車両を熱心に観察したり、様々な角度からシャッターを切ったりしています。
ミーハーの私も、今となっては滅多にお目にかかれない蒸気機関車のごつごつした姿に興味津々でしつこく見まわします。それ以上にそこに充満している石炭を燃やしたにおいが、独特な気分を盛り上げます。普段嗅がないにおいだけに、別世界にいるようです。そして勿論時折噴き出す黒煙と蒸気の音と色も。
列車は自由席ですが、通はボックス席を押さえてから撮影に臨むようです。私は普通の横長シートで十分です。発車する時も走っている間も、沿線から手を振って下さる方がおられ、それに対して車内からも手を振り返すということは、しきたりとか文化とかではなく、自然とそうなるもののように思いました。
車体をやや大きめに揺らしながら長閑な道を行くSL、時に噴き出す蒸気もすぐに散っていきます。しかし先頭車両の方を見ると、強弱をつけながら雨が降り注ぐように、前方の窓を何度も塗り替えていました。車内でも感じられる石炭のにおいと相まって、タイムスリップしたような気持にもなれました。“当時の人にとってはこうして汽車で遠くに行くのは並大抵のことではないだろう。きっと別れがあり、不安もありながら使命感を持って住み慣れた地を離れたのだろう”などと、自分の親以上の世代のことを思い浮かべていたりしました。
真岡駅に到着後、上から車両を眺め、これで様々なアングルから観察した上に車両にも乗れたということで満足することとします。茂木へと向かう列車を見送りました。
真岡駅構内ではお土産も買えるということで、もおかぴょんクリアファイルと、竹炭バターロールを選びました。後者は見た目のインパクトだけで選んだのですが、実は生地もおいしく、塩の味が更にうまみを増している良品でした。
真岡観光
真岡駅でレンタサイクル(500円/日)を申し込み、真岡観光へ出発です。まずは宿に寄って荷物を預かっていただくところからです。
適当に自転車を漕いでうろついていると、城山公園に行きつき、行屋川の風景もよかったです。“坂の上に行くといいことがあるかな”とつづら折りの道を上ってみたところ、多少見晴らしはよくなったものの、小学校があるだけで、まるで小学校に用事があって上ってきた人みたいになってしまい若干決まりが悪かったです。まあ誰もいませんでしたけど。
久保記念観光文化交流館の方では汁フェスなるイベントが開催されており、家族連れも沢山で賑わっていました。この界隈が中心部なので、ここを目指しておけば間違いなさそうです。
真岡木綿会館では、作業場の見学もできました。係の方が木綿の種からの糸紡ぎや織について教えて下さり、“そんな風に組み合わされているのか”という驚きがありました。職人さんのリズミカルな作業の音が小気味よく響いてきます。
機織り体験は時間がかかりそうだったので遠慮したのですが、綿の種取りは手軽な作業でもあったので、お話しを伺いながら私も体験させていただきました。綿切りロクロを回すだけといえばそうなのですが、これを延々と続けるのは相当きつく、昔の方の偉大さに思いを馳せる時間にもなりました。真岡木綿のありがたさが分かったところで、お洒落な印鑑入れを自分へのお土産にしました。
木綿会館の隣には岡部記念館「金鈴荘」があり(元々の建物自体はつながっています)、こちらも見学させていただきました。真岡木綿問屋としても栄えた岡部氏が建てたものですが、内部に使う紫檀、黒檀、鉄刀木などの材料を選びに選んだことから、完成には10年余りを要したとのことです。別荘や料亭としても利用されていたことから、非常に洗練された趣を感じるものでした。
外観は防火土蔵造ということでごつい感じです。周囲の石塀と共に、あまり今まで見たことのない雰囲気のように思います。庭園も巡りながら、こういう時代もあったのだなと考えていました。木綿と豪商といえばやはりみえ松阪マラソンということで、共通点が多いです。
長蓮寺の弁財天様は1700年に江戸で完成し、その後浅草から墨田川、利根川、鬼怒川を経て真岡に至ったとのことで、迫力の高さ3.45m、脇侍と眷属の配置も傑出した存在とのことです。赤穂浪士も祈願したとのいわれもあります。
真岡駅に併設されたSLキューロク館では、車両が展示されており、車体や計器類を間近で見たり、客室で座席に腰掛けたりできます。
ここでも朝と同様、当時の人達、自分にも深い関わりのある人達がどんなことを思っていたのだろうと考えたりもしました。そういうことをもっと話すことができればよかったのですが。
パン活・苺クレープ・夕食
パン活
遠征の楽しみと言えばベーカリー巡りです。運よく土日のみ営業の風の通りすぎる場所@あおいベーカリーさんが見つかったのでお邪魔しました。かつて金沢の寺町にあった大丸堂さんのように、入り口は建物の裏にあります。
こちらでおすすめを伺うと、今の季節はアップルロールやさつまいも金時豆とのことでしたので、それらをいただきました。焼き立てでほかほかだったのですが、生地も柔らかく、まるでお餅を食べているかのようでした。そのお陰でリンゴもさつまいももその本来の味が引き立ちます。都会的なキメッキメのパンもよいのですが、こういう感じのパンもとても好きです。
更に何とおまけでパンを渡して下さり恐縮です。“マラソンのために大阪から来ました”とお伝えすると応援していただけて嬉しかったです。
クレール文明軒さんはまちあるきエリアからも近く、古くからのお店とのことで行ってみました。お手軽サイズのシュトーレンがおいしそうだったので選び、早速我慢できずに二つとも食べてしまいました。バナナオムレットも人気らしいので、次にチャンスがあれば味わってみたいところです。
苺クレープ
木綿会館の近くにあるいちご3兄弟さんでは、けずりいちごも人気とのことですが、とても惹かれた苺クレープを選びました。朝取れたてのとちあいかを使っているとのことで期待しましたが、手渡された瞬間“なんかものすごく重力がかかっている。そしてこの苺の量たるや”と戦慄しました。
そして罪悪感を覚える暇もなく口に含むと、もう新鮮な苺の味が口中に広がり、真岡万歳!となりました。もっちもちのクレープ生地と甘いクリームも、少しでもこぼしたり手に着いたりしては勿体ないので、できるだけ丁寧にいただきました。かなりのボリュームですが、これは別腹ということで、おそらく大食漢でなくてもさらりと食べてしまえると思います。
夕食
夕食はみどり食堂さんへ。真岡最初の洋食屋さん、創業昭和4年と、行きたい理由があり過ぎます。みぞれカツライスにしたのですが、揚げたてのトンカツは柔らかさも絶妙で大変おいしかったです。キャベツやトマトも、人参やキノコも入ったオニオンスープも、ライスの量も全てが素晴らしく、ここまで満足度の高いお店もなかなかないのではと思いました。ごちそうさまでした。
今日のお宿
松屋旅館さんにお世話になりました。一人なのに随分広い部屋を使わせていただき悪いくらいです。合宿や遠征なのか、大学生?の団体さんがおられ、明るくてよいことです。大浴場ではゆっくりとお湯に浸かり、昨夜のバス移動の疲れを落としておきます。
牛乳、チーズ、プロテインバーで締めくくり、明日の準備を整えた上で22時には消灯です。長い一日でした。
レース当日
レース前(ロッカーは屋外の大きい方へ)
6時半頃起床です。夜中に起きたり怖い夢を見たりもしましたが、主観的には十分回復できていたのでOKです。夜行バスの睡眠不足もあるかと思いましたが、走った感じからしてもそう影響はなかったように思います。
朝食は、どうせエイドで食べまくるので軽めです。ご当地牛乳が見当たらなかったので、高級なよつば牛乳を選びました。
いい具合に胃腸も目覚めてくれ、リスクを低減させることもできました。9時35分スタートとやたら余裕があるので、7時40分過ぎに出発です。8時過ぎのバスに乗れれば十分と考えました。
真岡駅に着くと早速案内のスタッフさんが元気にご挨拶して下さります。何かとご親切です。バスはかなり立派なもので快適でした。席が埋まるまで少し待ち、8時10分頃に出発。8時30分前には余裕で到着です。
手荷物預かりではロッカー使用代がいるのかなと思って財布を出したところ、何と逆に100円を手渡される親切ぶりに面喰います。そのままロッカーを探し右手の建物に入るも、既に埋まっており、行き場のない人たちがうろうろしていました。
“一万人プールと銘打つ以上は、こんなはずはないはず”と切り替えて外に出て、屋外プールの方へと足を向けると、ありました沢山のロッカーが。そして手前にあったロッカーに荷物が入らないとうんうん唸っていると、親切な方から奥のロッカーはもっと大きい旨教えていただけて事なきをえました。一つのロッカーに全てが収まりました。スタートに向かう途中、同じ悩みを抱えたランナーさんにお教えしたりもしました。
スタートは非常にゆったりしたもので、トイレも十分にあります。参加者数が丁度よいとあらゆることが快適です。とりあえずご当地のゆるキャラの皆さんを撮影したり、動的ストレッチをこなしたりしてのんびり過ごします。風はありましたが、そこまで寒くはなかったです(昨年のみえ松阪マラソンと比べて)。
装備
ダメージが少ないことでおなじみ、asicsのマジックスピード初代です。気分的には長井マラソンくらいの感覚で走るつもりですので、このシューズが丁度よいのです。
ウェアは栃木の大会ということで、大田原マラソンTシャツにしました。他はいつもと同じ、TIGORAのマルチポケットパンツ、ザムストソックス、ニューハレかかと二重といったメンバーです。
持ち物もやる気なく、経口補水液とアミノ酸を混ぜたものにマグオンを少し溶かしたくらいです。気温とエイドで食べまくることを考えると、持って行っても余るのがオチです。
レース
序盤~前半
- 序盤(はが路を彩る吹奏楽とお囃子)
スタートロスはたったの8秒。最初の最初だけは真面目に走るかのような顔をして出発です。とは言っても入りは4分38秒ですので、全然でしたね。早々に栃木らしい畑の緑に出迎えられますが、生い茂っているというより小さな葉っぱが色濃くびっしり揃っている様子が新鮮でした。
序盤では心拍計が誤作動で190bpm以上を表示し、その調整に神経を削っていたため、しばらくは景色も楽しめませんでした。それでも3km地点では飯貝地区の吹奏楽演奏があると予習済みでしたので、こちらではしっかりと力をいただきます。
そしてかなり早い段階からお囃子保存会の皆様が沿道に陣取り、ランナーを鼓舞して下さります。“こんなに離れていても、また、過ぎ去った後でも響いてくるのか”と何度も思いました。
5kmで最初のエイド、ここで給水とゴミ箱の位置を把握します。“最初のスポドリのテーブルの後に水のテーブルがあるため、後の段階で捨てればよい”ということは私くらい大量の大会に参加していれば分かるので問題なかったのですが、最初のテーブルに対応したゴミ箱の位置が近すぎたこともあって、結構な数の方がその辺に放り投げて走っていきました。“少しくらい持って走れよ”というのもごもっともですが、ゴミ箱の位置と表示はもう少し考えた方がよいかもです。多分彼らも捨てて数秒後に後悔していると思いますし。
7kmで手元32分くらいだったと思います。あまり速くないのですが、私の力なんてそんなものです。
- 前半(畳みかけるかのようなお囃子)
10km手前くらいの踏切も止められることなく無事に通過します。10km過ぎでは北中地区のよさこいがあり、こちらも事前にリサーチ済みですので楽しみながら走れました。10kmの通過は45分くらいで、まずまずです。
少し行くと風戸地区でお菓子を手渡して下さったので、ありがたく受け取りました。小菊最中の甘みが元気を注入してくれます。
右折して進むと、右を見ても左を見てもおはやし保存会、更には山車も登場し、ようやく一段落かと思えばまたも両サイドにおはやし保存会、とどめにひょっとこまで姿を見せたかと思いきやまだおはやしという詰めかけぶり。この一帯(七井~大沢地区)はとにかく忙しかったです。もうお祭りムード全開で楽し過ぎです。
14kmで1時間3分程。追い風もあって楽にスピードが出ていると分かりました。こちらでも私設エイドのドリンクをいただきました。
中盤
- 中盤①(待望の苺様と斜度12%の下り)
目の前に広がるのは栃木らしい大きな台地。そしてここでも流れるお囃子の音色。風に乗って青空を見ながら進むばかりの爽快な時間です。
17kmを過ぎて茂木に突入です。途中の距離表示には面白いメッセージが書かれたものもあり、ランナーを和ませてくれます。確か16kmは、カレンダーを見ながらサンタさんとトナカイが「ヤバいっすね……。」と納期を前に立ち尽くすイラストだったと思います。
茂木に入って数分行くと少し長めの上りがあります。ここも軽く上っていったのですが、パッとエイド(公設の19km付近)を見ると「イチゴ」の表示が。迷うことなくピットインです。栃木の方にとっては日常的に食卓に上る普通の果物に過ぎないかもしれませんが、はるばるやって来た一介の関西人は苺を堪能せずに帰ることなどできません。今日は全部食べるぞという意気込みです。“めっちゃおいしい!”と喜びを表現し、スタッフさんにも喜んでいただけました。
そこから3分程行くと前半のきつめの上りが。斜度の標識は10%、フルマラソンではなかなか見かけないレベルです。とはいえそれ程長いものではなかったと記憶しています。2分かそこらで下りに切り替わっていますし。
問題はこの下りで、今度は斜度12%、これこそ滅多にお目にかからない数値です。実際に走ってみるとかなりの急角度です。私はそれ程飛ばさず気軽に行きましたが、ここで頑張って上げている方も何名かおられました。その後大丈夫だったのでしょうか。この急な下りを終えて左折してからもまだ少し下り、“これが逆回りだったら大ブーイングだろうな”と考えていました。
21km手前では道の駅もてぎの広いエイド。こちらでも苺がふるまわれますので、スルーなどできようはずがありません。お囃子演奏の応援もあって盛り上がります。それでも前半はまだ真面目に走っていたこともあって、止まった区間もガーミンさんによるとキロ5分近辺には収まっています。
中間点もグロス1時間35分48秒と、二回大きく止まっている割にかなり健闘しているといえます。しかしこの先大きく止まることになることをまだ知る由もありません。真岡鐡道のSLがこの近くの高架を通るのは、まだ大分先のことだっただろうと思います。茂木駅は終点ですから。
- 中盤②(逆風すら忘れさせる苺と梨ゼリー)
中間点から先は軽く上りますが、ここからは西の風が吹きつけます。要するに逆風です。ここからが見せ場でもありますので、回転を高く保ちつつ淡々と進んでいきます。タイムを狙うつもりもないので、誰かを盾にしようなどとケチなことを考えることもなく、積極的に前に出ます。ガーミンさんを見ても、上り下りはあるものの、キロ4分20秒台ということもあったようで、割と安定して走れていたと思います。風景も大田原マラソンに似ていましたので、ここで風にやられたくはないという気持ちもありました。
サシバ(差羽。絶滅危惧種のため守らなくてはなりません)の里市貝に入り、幟の歓迎も受けます。この先も長閑な景色の中、ご自宅の前で手を振って応援して下さる方が多かったです。お年寄りの応援は、自分にとっても心に響くものがあります。SLでこそありませんが、真岡鐡道とも並走できました。
大分調子が出て来たなと思っていたところで、またも苺エイドが出現です。すぐ後ろにいた方の邪魔にならないよう、大きく逸れて道を譲ってから、万全の状態でピットインです。こちらのエイドの方は確か大阪ご出身とのことで、親近感が湧きました。ここの苺が一番甘かったと思います。二つのうち一つは特大のとちおとめでした。
いい感じの田舎道を経て住宅街を進み、27kmを過ぎて少し行った辺り(市塙地区)でも何やら名物エイドの気配を感じ取ります。“人が来たら渡すぞ”と臨戦態勢のお母さま方がおられますので、誰だってわかります。
ここでは梨ゼリーを手渡していただきました。これがまた甘くておいしい逸品で、はが路の多彩さを思い知ります。“そういえば加賀しずくの梨ゼリーも加賀温泉郷マラソンでいただいたな”と思い出も蘇ります。
おいしくいただきながら満面の笑みで写真を撮りまくっていると、沿道の皆様からも喜んでいただけました。これぞふれあいマラソンです。
28kmで2時間8分程。大分止まっているので段々どれくらいで終わるのか分からなくなってきました。エイドもどんどん豪華になってきましたし、この先どれくらい止まるのかも益々分かりません。
後半~終盤
- 後半(益々隆盛を極めるおもてなしエイド)
28km(荒宿地区)でも子供たちの元気な応援とお囃子が繰り広げられます。もうずっとお祭りの中を走っているようです。
29kmの上り坂はハイタッチがあると聞いていたのですが、おそらく今年はお休みだったようです。まあこんなこともあるよなと坂の頂点に近づいたところで、予告にはない甘酒の私設エイドが。もうタイムなんて気にしていませんので、がっつり止まっていただきます。こくがあり、大して減っていない体力がまた回復します。飲める程度の温度に調整して下さっている心配りもありがたい限りです。
この先の下りでは息を吹き返した何名かの方がペースを上げていったと思います。私は他人ではなく自分自身との戦いです(どこまで食べることができるのか)。上の原地区でもお囃子が奏でられ、はが路全体で盛り上がろうという気持ちが伝わります。
風を受けながら自然豊かな風景の中を進んでいくと、“おもてなしの下延生”といった感じの表示が。これは大きく止まる場面と悟り、余裕を持ってピットイン。瑞々しい梨の甘みが全身を駆け巡ります。そしてここでも苺を勧められますが、勧められるまでもなくコンプリートする覚悟ですのでおいしくいただきます。太鼓もばっちり撮影して再出発(再どころではない)です。
ここから加速して、といきたいところですが、少し行ったところ(おそらく与能地区)ではまたも苺エイドが。その間わずか3分。1kmも空いていません。こちらでは食べやすくカットしてあったため、その気になれば走りながらでも簡単に食べ易そうです。しかしこちらはおいしく食べるリアクション芸人としての役割もありますので、しっかり止まっていただきます。最早無名のゲストランナーくらいのつもりで走っています。
もう真面目に走る余地も残っておらず、タイムは諦めの境地ですので怖いものなしです。またも1km行かないくらいの場所に味噌汁・素麺・水餃子エイドが。後続の方の邪魔にならないよう、完全にテントの中に侵入して、一つずつ順番にいただきます。お味噌汁も丁度良い温度、素麺も食べやすく、水餃子はおかわりを勧められるも後の方を思って一つで我慢するおいしさでした。柚子も入っていて香りが違います。と言いますか、こちらのエイドはプログラムには載っていないような……。
35kmで残り30分を切ったとしても3時間10分には間に合わないくらいのタイムだったと思います。私自身も含めて誰も私のタイムなど気にしていないので、これでよいのです。
- 終盤(走っている暇などない)
お腹も充たされたところでコースに復帰。1km強は真面目に走ったはずです。見通しのよい農道を進むと西水沼地区の豚汁エイドが。止まるに決まっています。こちらは具材も充実しており、ゴボウの香りと一口目に含んだ蒟蒻の歯ざわりがよかったです。“今日はふれあいマラソンですからタイムはいいんです”といったことを方々で触れて回っています。こちらもお囃子が元気づけて下さります。
“風は強いけれどもあと30分くらいだ、最後くらいは真面目に走ろう”と気を取り直してピッチを上げ、さっきから何回も抜かされている方々に追いついたりします。しかし「そば処までもうすぐ」の表示が見えて万事休す。その表示からすぐのエイド(38km)は苺が積んであったので、こちらでもご休憩。あまりの食べ放題ぶりに、“これぞ42.195kmのいちご狩りだ”というパワーワードが降臨します。普通60分一本勝負だと思うのですが、何と3時間以上も苺を食べ続けられるとは、どんな天国なのでしょうか。
そして39km西高橋地区のお蕎麦エイド、周囲は過ぎ去っていきますが、ここまで来てスルーなどありえません。しっかりとよそっていただき、おいしく笑顔で完食です。“さっきの人は三杯食べたぞ!”とフードファイターとしての挑戦状を叩きつけられ迷ったのですが、おそらく自分の方がここまでで苺などを食べているという自信があったため、一杯で打ち止めとしました。”お客さん来たよ~!”と言いながらお蕎麦を楽しく提供される姿がよかったです。お客さんて。
ようやく真面目に走れる環境が整い、ラスボスと言われる40km過ぎの坂へと向かいます。40km手前に一瞬軽い上りがあり、途中の最後のエイドでは随分力をこめて応援していただけましたので笑顔で応えました。お腹はいっぱいで水分も足りていたので、ドリンクは取らずでしたが。
下りながら40kmを通過し、そこからググっと上ります。丁度焚火の煙が直撃してイベント感を演出します。40kmでグロス3時間10分46秒、これは3時間20分かかりそうです。去年のみえ松阪と同じような展開です。
何が起きたかは自分でもわかりませんが、何かいけそうな気がしたので、突如ラスボスの上りで覚醒しました。肘は少し開きつつピッチを上げてリズムよく上ります。それ程の苦しみもなく平地になりましたので、ここから上げられるという感覚がありました。まあ30kmから40kmは10kmに52分56秒もかけており、それ相応の余力があって然るべきですが。直線ではテンポも足裏の感触もよく、ラスト41km以降はキロ4でいけると分かりました。41.195kmのボードにも力をいただき、加速していきます。
公園に戻る道を見て、“ああ戻って来た”とようやく分かります。結構な勢いで走っていましたので、途中で私の姿を見失って再会された方は、“あいつ今までどこで何しとってん”と思われたかもしれません(ここまでの記事をご参照ください)。門扉で左折してもう一段階左折。最後にあと一人抜き去ってフィニッシュです。坂の減速もありながらの9分5秒は上出来です。
アフター
会場
余裕でチップを自ら外すまでがマラソンです。フィニッシュゲートの写真も撮り、アミノプロテイン、アミノバイタル粉を摂取して回復に移行します。こちらでも追加で苺をいただき、どれだけ苺がふるまわれるのかと思います。
着替えもせずにまずはふるまいの豚汁へと直行しました。具沢山で豪華なのですが、さつまいもが入っていて甘みまで加わります。このレシピを考案した地元の高校生の方は偉大です。
風に諸々飛ばされないように気を付けながらサクッと着替え、プロテインバー二本も摂取してから打ち上げ開始です。
まずははるばる賞をいただきます。確かに大阪からはものすごく遠いのですが、評判の大会のためならばやって来るのがランナーというものです。しかし大阪府からの参加は男女合計でわずか10名、全体の0.4%というのが誇り高いです。滋賀県や和歌山県の1名(0.0%)には敵いませんが。高重量のバブでしたので、職場へのお土産としました。
会場には屋台も複数あり、茂木の食堂なかよしさんのパリパリチキンはシリアルを揚げているかのような食感でおいしかったです。そしてでかくてたんぱく質も期待できます。
珈琲mimiさんのシフォンケーキは抹茶を選択。これも秒で食べてしまうおいしさで、ふわふわの生地が特によかったです。
更に春日井よし乃さんの羽二重包み(白あん)とピーナッツ餅、鎌倉絵巻小町通プリンもここぞといただき、糖質も補給して大満足です。
折角なので大会Tシャツも購入し、どこかで着て自慢するぞと胸に誓いました。なお、家に大量にあるTシャツのことは考慮しないものとします。レアTシャツと思うとどうしても抑制が利かず……。
かなりゆっくりしてから井頭温泉さんへ。ゼッケン提示(+遠来も?)で割引していただけ、750円で入場できました。もっと混むかと思ったのですが、14時20分頃ならそこまででもなかったです。15時前には洗い場も埋まっていましたが。こちらは水風呂もありますので交替浴もできますし、ジェットバスで筋肉を、露天風呂と薬湯で心もほぐすことができてランナーにとても優しいです。館内は広くて色々あるので、長時間滞在したいくらいです。
宇都宮行きのバスに乗り込み、またここに来たいなと思いながら会場を後にします。素晴らしい大会を開催していただき、本当にありがとうございました。
宇都宮
わずかでも時間があればできることがあります。そう、宇都宮餃子を食べて旅を締めくくるのです。宇都宮みんみん宮みらい店さんでは16時頃という時間も幸いして、少し待っただけで席につけました。内装は日光杉や大谷石などの栃木のものを使った凝ったもので、新鮮でよかったです。こちらでは焼き餃子と水餃子をいただきました。餃子を(エイドやふるまい以外で)食べるのは数年ぶりだと思いますが、子供の頃に食べたものと比べると、皮が圧倒的に違いますね。柔らかさも香りも全然。
PASEOでおみやげを買い、前日の東京駅に引き続きTHE STANDARD BAKERSさんではちみつとゴルゴンゾーラ、限定品の那須の粗挽きソーセージのホットドッグを購入しました。宇都宮で買ってこそというところです。こちらはやまびこでゆっくりいただきました。
実ははしゃぎ過ぎたのと荷物が増え過ぎたのが災いして宇都宮駅でICカードを落としてしまうという大失敗をやらかし、色々と大変だったのですが、もう忘れることとします。JRの職員さんの親切なご対応が素晴らしかったことだけは、今後も忘れることはないでしょう。
最後に
評判は天下に響き渡っているもののなかなか参加の機会が巡って来なかったこの大会ですが、ついに走らせていただくことができ、すっかり魅了されて帰ってきました。走っている最中からとにかく広めたくて仕方がなかったです。39kmの距離表示のメッセージに”はが路が来る!”的なものがあったのですが、正にそうなってほしいと思います。
本来ランナーなんて死なない程度に水をやり、事故らない程度に誘導してやればそれでよいと思うのですが、はが路の皆様はとことん歓迎するぞという優しさに溢れていて戸惑うくらいです。ここを走れるランナーは間違いなく幸せ者です。
2023年の締めくくりに相応しい、笑顔溢れる大満足の大会でした。こうした素敵な大会には、これからも沢山参加させていただきたいと願っています。はが路の皆様、素晴らしい時間と思い出をありがとうございました!
ここまでご覧いただき本当にありがとうございます。