ランナーかにかかわらず“関西人なら知らぬ者などいない”というくらいの老舗の大会、ついに初挑戦です。子供の頃、6ch(ABCテレビ)の夕方の宣伝枠で、参加者を呼びかけるアナウンス(ハガキで応募)があり、“マラソンなんて走る人がいるのか”と思ってから幾星霜。あの持久走嫌いの子供が変なブログを書く市民ランナーになるとは、誰より私自身が思い描きもしませんでした。
早春の丹波路は、期待通りの長閑な景色で、そこに沢山の方の温かな応援が加わることで一層素晴らしい時間を過ごせました。「日本の宝石」を合言葉にされていますが、宝石以上に自分の中で大切にしたいものに出会えると思います。
エイドは5kmごととありましたが、私設エイドも多くて食べるのに忙しいくらいでした。飴やチョコを受け取るとお子さんが喜んでくれますし。今日は後方スタートで周りの方もしっかり食べている様子でしたので、地元銘菓は自重して一つだけにしました。復活したしし汁もばっちり二度とも堪能しました。
応援は本当に温かくてよかったです。こうして応援していただけると、マラソンは何度走ってもいいものだなと思えます。応援して下さる皆様にとっても、ランナーが走る姿を見て声援を送ることで元気が出た、楽しかったと思える一日になれば最高です。応援ありがとうございました。
今回は二次エントリーで最後尾のCブロックスタートでした。どんな世界かも興味があったので、この選択には満足しています。走り的には、どうせタイムは出ないからと鍛練の場と位置付け、薄底のHanzo Rを試しました。エンペラーよりアウトソールの材質が柔らかいですし、このくらいのペースなら特に困ったこともなく終われました。
スタートで6分以上のハンデを背負い、その後も予想通り加速できず、しし汁休憩も二度挟んでいたため、3時間半のペーサーに追い付くのに40kmを要しました。が、そこからは8分51秒で、薄底のよさも出せました(グロス3時間25分台、ネット3時間19分35秒(前半1時間42分30秒、後半1時間37分05秒)。151bpm, 193spm, ストライド1.10m, 上下動比5.4%, 上下動6.2cm, 左右接地時間バランス49.3%:50.7%, 接地時間240ms)。
当日頑張れば行ける距離であっても、前泊がおすすめです(私は谷川に泊まりました)。篠山城跡や武家屋敷などの観光地、食べ終わった後までおいしい黒豆パンやスイーツも存分に楽しめますし、夜は信じられないくらいに星がきれいです。都会より、空が近く感じます。
終了時刻が遅いためアフターは時間がないのですが、黒豆チーズケーキ、黒豆パン、マロンパイなども存分にいただき、お土産も仕入れて楽しく帰路に就きました。
丹波篠山はおいしいものも沢山で、都会では経験できない幸せがありますので、また遊びに行きたいと思います。そして単に“マラソンを走ったぞ!”というだけではなく、“あの篠山マラソンを走ったんやで!”と誇れる特別な大会だと思います。丹波篠山の皆様、素敵な丹波路での沢山の応援ありがとうございました!
今回は黒豆づくしでしたが、抹茶づくしといえばにしおマラソンですね。
後半ビルドアップで初めて3時間半を切った愛媛マラソンのことも思い出していました。
関東の老舗といえば勝田全国マラソン。タイムも狙えます。
続きのページには写真も駆使して観光情報も盛り込みましたので、“マラソンだけじゃなくて観光にも行きたいな”と思っていただけること請け合いです。ただし例のごとく長いので、そもそも読んで下さる方がいるのかという問題がありますが。
コメント、スター、↓のバナークリックなど何でもいいので反応をいただけると、“こんなニッチなブログに些かでも関心を持って下さる方がいたとは……。”と私が目を細めます。
次回予告は“梨とラッキョウと砂場の国で!”です。
前日
電車で丹波篠山へ
“マラソンバスでの当日参加がメジャーな形かな”と思ったものの、ツアーだと観光の時間があまり取れないため、前泊する方が思い出に残ると判断しました。ツアーバスのことが知りたいという方もおられるかもしれませんが、このブログを目にされる方の数からして、いても一人か二人でしょうから、自らの観光欲を充足させることを優先させました。
起床時は65.9kg、暴飲暴食の五島から帰って来た日は69kgくらいありましたが、どうにか元に戻ってくれました。石川県のソウルフードとり野菜みそ(ピリ辛)で豚バラと野菜をおいしくいただいてから出発です。
大阪から篠山口まではJR1本で1時間強。本当に近いです。読書もあまり進まないうちに着きました。篠山口からのバスもスムーズです。ものの十数分で篠山城最寄りの二階町に着きますし、アクセスのよさを前面に出しているのも道理だと納得します。
篠山観光
ここからが本番です。まずはコインロッカー情報ですが、観光案内所に小300円のものがありますので、ここがベストでしょう。篠山口駅にも小400円があり、そちらでもよいかと思います。
篠山城跡
余程の事情がない限り、ここは外しようがないでしょう。これ見よがしにど真ん中にありますので。大阪城の包囲と西日本の外様大名を牽制するべく交通の要衝に築かれただけあって、石垣もお堀も並大抵のものではありません。力の入れ具合が明らかに違う守りの城で、ここの攻略には大きな困難が伴うだろうと感じました。
歴史施設
共通入場券600円で4施設に入館できますので是非。
- 篠山城大書院
廃城令の後も唯一残されるも1944年に火災で焼失、しかし市民の力を結集して2000年には復元再建されたという歴史を持ちます。
藩の公式行事などに使用された建物とのことで、狩野派の障壁画や屏風は壮観でした。歴代藩主の治世について知ることができますが、最近マキャベリ『君主論』を読んだこともあり、飢饉の際にも重税を課す強気の姿勢が気になりました。甲冑着付け体験もでき、他の観覧者さんが楽しんでおられました。
- 歴史美術館
神戸地裁篠山支部として使われていた木造建築の裁判所(日本最古級)を保存し、歴史美術館として活用しています。企画展の源氏物語絵巻(須磨・明石)6巻は、絵巻物を揃えた上で続けてあるので、書かれている内容と共に、物としての特性が感じ取れました。光源氏はやっぱ自分の都合のいいように生きているようにしか思えませんが。美形で天才ならそれでよいのかもしれません。
東海道・中山道・甲州街道図屏風も広がりがあって面白いですし、軍配や甲冑などの武具も見られて楽しめます。基本館内は撮影禁止ですが、法廷は撮影OKで、“裁判長席に座れますよ”と勧めていただいたりもしました。まあ座りませんけど。マラソンの応援もしていただき、ありがとうございました。
- 青山歴史村
ねずみ草紙の話は初めて知ったので興味深く見学しました。何とも切ない話ではあります。
デカンショの歴史はなかなか覚えられないのですが、こうなったら祭りに参加するしかないでしょうね。“デカルト、カント、ショーペンハウアー”の略という話は昔の誰かがふざけてぼそっと言っただけだと思っていたら、紹介動画などでも触れられていて、そこまで浸透していたことに意表を突かれました。あと、『吾輩は猫である』にも、丹波の男の逞しさが描かれているそうです。
- 安間家史料館
当時の平均的な武家屋敷とのことで、茅葺屋根が見事です。丹波水琴窟は、音色が様々で和みました。建物は平均的な大きさとされる割には、庶民である私の眼にはかなり立派に映りました。こちらでも雛飾りが飾られており、桃の花と並んでいて季節を感じさせます。
河原町妻入商家群
特に調べずにやってきましたが、数百mに渡って続く江戸時代から昭和の街並みは見事な景観ですね。間口が狭い妻入りの屋敷が並んでいて、これは観光客が飛びつきそうです。篠山雛祭りの展示もあり、中には100年以上前の雛壇もあり、このお雛様と出会ってきた色々な人の歴史を思いました。
御徒士町武家屋敷群
篠山城の西側エリアにあり、ここに住まわされた武士は、身分としては低かったそうです。先ほどの安間家史料館もこの一帯にあります。秋田100kmの際に観光した角館を思い出しました。
パン活・スイーツ
- 小西のパン
黒豆パンの人気店ですので一番に行きました。三つセットしかないのですが、迷わず購入。“これが名高い丹波の黒豆パンか”という納得の味ですが、食べ終えた後もまだおいしいのは何なのでしょうか。香りが残るからとか、そういう問題でないような。
- ベーカリーハウス アインコルンさん
少し東の方へ足を進めると、元祖黒豆パンを謳うこちらのお店に出会えます。元祖黒豆パンは外せないとして、それ以外にも食べたくなるようなパンが多くて迷います。黒豆パンはやはり丹波の力でおいしいのですが、デカンショパイがまたよかったです。栗のほっくりした味わいが光ります。
- 白殻五粉さん
自家製天然酵母にこだわりがあるお店で、いちじくとクルミのカンパーニュは、“これは作るのに時間がかかっているな”と感じました。ハード系のパンは味も食感も好きです。チーズ&チーズもまた違うタイプの生地でしたが優しい味でよかったです。そしてゴーダチーズもかなりうまいです。
スイーツ
- 大福堂さん
直球ど真ん中の黒豆大福をいただきました。黒豆の素晴らしさを繰り返すのは野暮なので措くとして、餡の上品な味もお餅の柔らかさも全てがよかったです。
こちらはお土産も揃っていて買い物も楽しめます。黒豆ソフトクリームは、これまたいくらでも食べられそうな溶け込み具合で、味わいながら食べました。
- 市郎兵衛洋菓子舗さん
チーズケーキは崩れそうなので焼きドーナッツとゆき坊マドレーヌを購入しました。焼きドーナッツは栗が入っていますのでおいしいに決まっています。マドレーヌはレース前の朝食にしました。食感(ふにゃっていない)もよく、買って大正解でした。
半分本来の目的を忘れかけていますが、ちゃんとゼッケンや参加賞Tシャツも受け取ってきました(今回私は二次エントリーだったため、ゼッケンなどの事前送付対象外でした)。笑顔で渡して下さったスタッフさんに感謝です。
お宿
篠山口では宿が取れなかったため、篠山から少し奥に入った谷川駅のゲストハウスmame庵さんにしました。バス(17:07-17:23)、JR(17:38-17:54)で移動です。谷川駅から歩いて到着した頃には暗くなっていましたが、オーナーの若い男性が丁寧かつ気さくに説明して下さり、快適に過ごすことができました。お部屋もトイレもきれいで、よきお宿でした。
夕食
谷川駅での数少ない選択肢の中からマラソン前日的に一番よさげな旭光亭さんにしました。お店の方がとにかく話好きな明るい方で、私のしょうもないマラソンの話まで楽しそうに聞いてくださりました。ついつい好きなように話し続けてしまいましたが、久しぶりに関西に来たなという気もしました。炙り豚丼はご飯が進む味つけでしたし、ミニ黒豆うどんももっちりしておいしかったです。ごちそうさまでした。
観光ではしゃぎ過ぎてあまりに疲れていたのか、23時には起きていられなくなり消灯しました。
レース当日
レース前
7時頃起床です。睡眠十分、心拍数も46と普通です。朝食はご当地牛乳、チーズ、小西の黒豆パン、ゆき坊マドレーヌです。会場に移動後、腹持ちのよいプロテインバーと疲労軽減のためのアミノ酸を摂取しています。
時間があるので着替えとトイレも済ませて出発です。普通に歩いて20分もかからず、待合室で暖を取るくらい時間が余りました。
移動は8:43谷川→09:04篠山口の電車です。スタートが10:40なのでとても余裕があります。篠山口駅からは臨時バスが出ていますので、スムーズです。ICカードをチャージしておくか、小銭300円を用意しておくことを忘れなければ。
バスから降りた後は人の流れに乗って行けば更衣室にたどり着きます。早く行こうが遅れようが最後尾のCブロックなのは変わりませんので、急ぐ理由もありません。
荷物預かり袋の大きさは十分です。SDGsへの取り組みの一環として安全ピン回収運動をやっているはずなのですが、ボックスの位置を調べておらず困っていたところ、荷物預かりのスタッフさんが受け取って下さりました。ありがとうございます。
開会式の雰囲気も昔ながらの雰囲気でとても和みます。出店も沢山で活気があります。この空気は勝田全国マラソンに似ているなと5年前のことを思い出しました。
暇なのでトイレに行くことにしました。青山歴史村は少し離れているので空いているかなと期待しましたが、それなりには並びました。しかし男性小は回転が速いので全く困りませんでした。
ウキウキしながら最後尾のCブロックへ入ります。Aブロック、Bブロックと違ってそもそもゲートが無いので、何も考える必要がありません。“柵のデザインが竹になっているのが篠山らしいな”とか考えながら石垣の応援幕を見ていました。周囲も和やかな空気でいい感じです。
装備
シューズはフルマラソンでは初のHanzo Rです。ニューバランス自体が初です。10kmくらいなら薄底で走りますが、最近フルは厚底一辺倒だったので、足裏の感覚を確かめることとふくらはぎ周りを鍛えることを目的として起用しました。薄底で2時間半くらいジョグすることもあるので、今の自分であれば問題ないだろうという考えもありました。
ウェアは金沢マラソンTシャツ、能登和倉万葉の里マラソンキャップ、TIGORAマルチポケットパンツ、ザムストソックス、ニューハレ踵二重というここ三回続いているコーディネートです。走っていても金沢マラソンTシャツの方は何人も見かけ、金沢でいい思い出を作っていただけたのだろうなあという気持ちになりました。
持ち物
ジョグなのでやる気もなく、水にアミノ酸を溶かしたものと、余っていたスポーツ羊羹を持参しました。
練習
五島つばきマラソンの後は、月曜観光ジョグ、火曜オフ、水曜スロージョグ、木陽有酸素ジョグ60分(11.9km、ライトレーサー4)、トレッドミル60分(10km, 1%)、金曜スロージョグ、土曜オフでした。
レース
序盤~前半
- 序盤(スタート前にも感慨)
まずスタートまでにどれくらいの時間がかかるのか興味津々です。待つこと数分、ゆっくり歩いてフィニッシュゲートを確認し、まだ辿りつかないなと思いつつ道路に出てからようやく少しジョグっぽいことができるようになります。
この間、かかっている音楽があの、運動会の時に流れるアレでもう最高でした。“これだよ、これこそ老舗にしかできない演出だよ”とにやりとします。
個人的にはどこにでもありそうなノリの大会より、レトロ感を前面に押し出す大会があってもよいと思っています。冷静に考えると、参加者のボリュームゾーンは爆風スランプやZARDが分かる(どころか好きな)世代ですよ。ミュージックステーションやカウントダウンTVを見ていた人達が昔を思い出してほろりとする大会があってもよいではありませんか。
スタート前からこんなに沢山書けることがあるとは、たまには後方からの出発も悪くありません。
スタートロスは6分16秒。予想では8分くらいだったので得したくらいの気分です。登録男子385人中369位と意外と上位でもあります。しかしこういうシチュエーションは慣れておらず、何より周囲の動きや距離感が読めないので、スタート台の写真撮影など到底できませんでした。
“まあ最初の10kmくらいはウォーミングアップでいいか”と気負わずに走り出し、とにかく追突だけはしないように気を付けます。1kmは5分33秒で、“普段のジョグくらいのスピードは出ている、いい感じだ”と安堵します。
慣れない環境で加速と減速を繰り返しつつ、追突を避けるべく左右の動きも入れているうちに少しずつ走り易くなってきました。4時間半のペーサーさんは2kmくらいで抜いたと思います。序盤から応援が多くて嬉しいです。そして晴天に恵まれた景色も美しいです。
4.5kmでは最初の給水ですが、勿論失敗しました。ちょっと人が多かったのと、思ったより早くテーブルがラストになってしまいましたので仕方がありません。気温は低かったので問題ないと気にしませんでした。
7kmくらいで大きく右折します。この辺りも応援が多くて嬉しいです。写った時計によると、既に40分を経過しているようです。
- 前半(長閑な景色とあめ・チョコポイント)
JA味土里館の建物が大きいなと思っていたら、関西ではおなじみガンバフンバ隊の出現です。この後も何度も応援していただきありがとうございました。
それにしても長閑な景色が広がっています。山々が近くて力強いように感じます。“夜は静かで暗いのだろうな、でもこうして何千人が一斉に走ってくるのは、ここで暮らしておられる方にとっても楽しいことだといいな”と考えていました。
飴・チョコポイントでは、小学生がわざわざお盆を持って待っていてくれますので、ありがたくチョコをいただきました。その先の西紀中学校の横は確かに少し上るのですが、ゼーハーなるようなものではありません。下りに切り替わってからも飴を持っている子がいたので受け取ったところ、“やった!”と喜んでいただけたのでよかったです。
中盤
- 中盤①(応援の多さと地元名物)
自然の中を左折して走っていくランナーの姿が楽しそうですね。この辺りで12時の放送があったはずです。折角のお昼時なので飴もいただきました。
ここから5km程はまっすぐ進んでいくのですが、特に応援の多いエリアで、笑顔で走ることができました。17km手前の太鼓と17kmでの吹奏楽は元気が出まくります。スタートして1kmくらいで通った道に戻ってきましたが、本当ににぎやかです。
そして走っていて思ったのが、私設エイドが相当多いということでした。とても全ては受け取れないくらい沢山の方があめやドリンクを用意してくれていましたし、昭和を感じさせるうまい棒もおじさんの心に訴えかけます。チョコももらえて、いつになれば口の中が空くのだろうかと思いながら走っていました。
お菓子ばかりで果物が欲しくなってくる19km辺りではなんとバナナを丸ごと一本手渡していただけるという大盤振る舞いに驚きます。地元の皆様が本当にランナーを温かく迎えて下さると感じました。
そのまま進んでいくと“黒豆おにぎりあるよ!”という声が聞こえて来ます。事前情報ではあると思っていなかったので、嬉しさ倍増です。しっかり止まっていただきましたが、黒豆とごはんの相性といったら!景色だけでなくここにも日本の原風景が広がります。
そして待望の地元銘菓コーナーです。いつもなら前のシリアスランナーがスルーして走っていくので、“自分がいくつか取ろうともそう影響はあるまい”と罪悪感もあまりないのですが、今回は周りの方も止まってしっかり食べておられたので、自重して一つのみを厳選しました。小西のパンは昨日食べたからとスルーし、ささやまタルトも迷ったものの、最終的には丹波篠山のお月さまにしました。ミルク饅頭の味もよく、見た目も見事なお月さまです。
個人的な感想ですが、全体的にこれくらいのタイムで走っておられる方の方がマナーがよく、一緒に走っていて気持ちよかったです。速い人は紳士であってほしいのですが、実際は“俺は頑張っているから多少のわがままは大目に見てもらえるだろう”と思っているのか、その辺に紙コップやゴミを捨てたり唾を吐き続けたりするおっさんが結構います。転じてサブ4付近の方はもっとゆっくり、楽しみながら走っている印象でした。
中間点はグロス1時間48分46秒でした。細かい計算はしていませんでしたが、初めてサブ3.5に届いた愛媛マラソンも後半上げに上げたことを思い出し、今日もその再現ができたらいいなと思いました。
- 中盤②(復活!しし汁!)
これでしし汁までは普通に走るしかないかと思いきや、数分後には軽い上りの途中にしっかりとしたおにぎりがいただけてまた笑顔になります。私設エイドにはコーラまであり、心配りが温か過ぎます。
里山の景色も本当に気持ちよく、記憶にも写真にも残しておきたい瞬間が沢山ありました。春日江のカヤは初見でも明らかに目立っていたので撮影しましたが、樹高は20mあるそうです。
いよいよ待望のしし汁エイドです。迷うことなくピットインです。まずは黒豆ドリンクということですが、色がオレンジで予想を超えてきます。そして甘くておいしいです。
奥のテーブルのしし汁様もいただき、濃いめの味付けとしし肉、お野菜の全てが力になりました。熱くてなかなか食べ終われないことも含めて、“これでこそ篠山マラソン!”という思い出と土産話ができました。
しし汁直後の交差点でも応援が多くてにぎやかです。チアリーディングの女の子たちがいましたが、組み立て体操的なものがとても苦手だった私なんぞはハラハラします。しかしその勇姿には走る力をいただきます。
ちなみにこの辺りでトップの方の選手たちとすれ違いましたが、既に11km以上もの差がついています。
この先は5kmくらい行って帰ってくるという、真面目に走るには少し精神的に堪えるコース設定となっています。しかし依然としてジョグ気分なので特に切羽詰まった感じもありません。“なぜこんな所に冷凍ビーフンの自動販売機が?”と余計なことも考えていました。
折り返しまでの道のりは、コースの中でも最も丹波篠山らしい風景だったかもしれません。奥の山々に引き寄せられるようにただただ進んでいきます。右手には畑が開けており、青い空と少しだけ浮かんでいる雲が、理想的な原風景を作り出していました。
後半~終盤
- 後半(折り返してからのしし汁アゲイン)
30kmの通過がグロス2時間31分36秒です。ここからキロ5をちょっと切るくらいでいけば3時間半は切れそうです。しかしこの辺りでペーサーさんとすれ違ったのでタイムをざっくりと測ってみたところ、3分台後半くらいの差で割と間が空いています。そこにしし汁レストを入れると結構ギリギリな気がしてきました。
折り返してからは逆風になりましたが、特に気にせず走っていきます。勝負レースならともかく、ジョグで“今日は風が強くて……。”といちいち何かを訴える人はいません。ガーミンさん的にはキロ4分30秒前後で、折り返してから上がっています。篠山川沿いの梅と吹いてくる風が心地よく感じられました。
このまま加速して終わりたいところですが、32.6kmにはしし汁コーナーがありますので、止まるしかありません。このくらいの距離になると多くの方は一刻も早く終わりたいという心理が強まり、ほとんどの方がスルーしていました。頑張れば3時間半に届くという希望もあったからかもしれません。私は駄目なら駄目でしゃあないというスタンスですので、こちらでもおいしくいただきお礼を言って再出発しました。
この時点で写真を撮り過ぎていたため、スマホの容量が満タンになってしまい、やむなく走りながら何十枚か写真を削除する作業を行いました。それだけ景色に魅かれ続けたということだとは思いますが、今後はスタート前に十分な空き領域を確保するよう心がけます。
35kmは2時間54分程。タイム的にはグロス3時間半は固いと思いましたが、如何せんペーサーさんが見えません。
- 終盤(最後まで素敵な丹波路)
エイドは前半は5kmごとなのですが、この終盤になると1kmや2kmごとと途端に密度を増すため、少々取れなくても平気です。心強い限りです。他の方との接触の危険があるときは迷わずパスしました。終盤に来ても飴をいただくことは忘れません。こういう時こそ笑顔です。
軽く上って土手の上に出ると、篠山川とより近い位置で並走するシーンです。ここも走っていて気持ちよかったですね。終盤の踏ん張りどころでも応援して下さる方が多くて嬉しい限りです。
ところで、薄底といえば終盤の失速や足裏・ふくらはぎのダメージというイメージが強かったのですが、今日は前半特に抑えていたこととHanzo R自体の柔らかさのためか、特にそういった症状が出ることもなく加速できました。ピッチを上げる感触を楽しんで走れ、息も上がりません。ラスト3kmのまるいのもバッチリ撮れました。
そして40kmも近づいてきた頃にようやく3時間半のペーサーさんに追いつけました。“ナイスランです!”というお言葉をいただきながら、そのまま抜き去り、これでグロス3時間半は確定です。よく見るとネットでも3時間20分は切れそうです。
大体キロ4分より少し遅くても間に合うと踏んだので、まず崩れない程度の負荷で自信を持って上げていきました。繰り返しますが薄底の感触がたまらないのです。余力もあるので沿道の声援にも笑顔で応え、写真もバンバン撮っていきました。この大会の終盤でここまで写真を残しているブログもあまりないでしょうし、もし誰かの参考になったら嬉しいなと。
右折してお堀の横に出たところで、昨日散歩した道だとようやく分かります。抜けるだけ抜くことにしてリズムよくスパートに入ります。さっき歩いて通過したエリアを抜け、応援の声を受けながら、歴史の詰まったゲートを駆け抜けました。丹波路は最後まで素敵で、走ってよかったなと実感しました。40km以降は8分51秒で、薄底でもやれるじゃないかという満足感もありました。
アフター
会場
フィニッシュ後、丹波焼のメダルをかけていただきました。こういうその地方ならではのメダルは記念になりますし、とても嬉しいですね。
しし汁のふるまいは、荷物を受け取る前に並んだ方がよかったですね。重い荷物を抱えながらしし汁を持つと、こぼすリスクが高まります(細心の注意を払ったので無事でしたが)。
更衣室はスペースも広く、会場からそう遠くもないのでよかったです。そこに至るまでにアミノプロテイン、アミノバイタルを摂取し、更衣室ではプロテイン(シェーカー持参)とプロテインバーで回復を図ります。
Hanzo Rさんはフォアフット部分が削れていますが、かなりいい仕事をしてくれましたし、薄底でこんなに脚へのダメージがないことに驚きもしました。リディアード結びもよかったのかもしれません。
街中スイーツ巡り
- 無添加 ・ 「パンのプー」さん
サンドイッチが半額ということで迷わず購入です。黒豆パンはお店によって大分味わいも異なり、パン生地はこちらが一番好みでした。しかし3個セットは正直困るので、バラかせめて2個にしていただきたいとは思います。
- 雪岡市郎兵衛洋菓子舗さん
二日続けての訪問で、念願の丹波黒豆のチーズケーキをいただきました。クリームチーズがたまらなくおいしいのですが、そこに丹波黒豆が加わって無敵です。昨日応援していただきましたので、完走のご報告もできてよかったです。
- 諏訪園さん
栗ぱいが名物ということでゲットしてきました。ラム酒に漬け込んだ渋川栗とバター黄身餡の織り成す逸品ということで、後日お茶と一緒にいただこうと思います。マラソンのことも聞いて下さりましたので、いかに丹波篠山が素晴らしいかを力説してきました。丹波篠山のお月さまもこちらの商品だったのですね。ごちそうさまでした。
- ベーカリーハウス アインコルンさん
昨日の続きを楽しもうと再訪しました。丹波チョコレートマロンは、外がサクッとしていてマロンとマーブルチョコの味も引き立ちます。これで130円は安過ぎます。マロンパイもスイーツの王道という仕上がりで、何とも贅沢な気分になりました。
お土産は大正ロマン館で買いました。品ぞろえが豊富かつ会場のすぐそばということで大変便利です。
移動
篠山口駅行きの臨時バスは歴史美術館横から出ています。しかし本数がそれ程ない関係でかなりのすし詰め状態になり、その上、マラソンなんてやっている連中(我々)のせいで交通規制があるためか、到着まで結構ハードな乗り心地でした。せめて先払いにして到着後に即後部ドアからも降りられるようにすれば多少のガス抜きにはなりそうですが、まあ色々難しいのでしょう。
16:40篠山口の快速は十分空いていて、余裕で座れました。篠山口駅でもお土産やパンの販売があったので、まだ足りないという方はここでダメ押し可能です。
ちなみに、“果たして何千人抜いたのだろうか”といそいそと応援naviを見てみると、登録と一般は完全に分かれており、私に分かるのは登録で抜いた人数だけでした。そういうところも含めて、いい味を出しているなとまた少し笑って締めくくりました。
最後に
ついに初参加を果たした丹波篠山ABCマラソンは、これまでに出なかったことを悔やむほど、懐かしくて温かな大会でした。やはり長く受け継がれている大会にはその理由があり、その魅力をしっかりと活かして沢山の方に愛され続けてほしいと改めて感じました。私も今回走らせていただいたことで、全国の老舗大会にどんどん参加していきたい気持ちが強まっています。
マラソン大会は、その地域の方にとって“やってよかった”と思えるものであることが一番です。そう思える要素は、ランナーの走る姿から感じるものであったり、一緒に声援を送る自分達の間に生まれる熱であったり、普段当たり前のものと思っている景色の秘めた魅力であったり、きっと色々なものがあると思います。走っている側からしても、それらが感じ取れました。宝石以上に心の底から望んでいるものが。
冒頭にも書きましたが、特に関西人にとっては、“マラソンを走った!”というだけではなく、“あの篠山マラソンを走ったんやで!”と誇れる特別な大会だと思います。前回大会より参加人数も戻ってきましたし、これからも丹波篠山の魅力の虜になるランナーが先人たちの後に続くことでしょう。
丹波篠山の皆様、この度は素敵な大会を開催していただきありがとうございました!
ここまでご覧いただきありがとうございます。