ちょっと長すぎる旅ランブログ

百聞は一走に如かず。きっと貴方が好きな大会が見つかります。

第19回くすのきカントリーマラソン(2023/3/19) 一糸まとわぬカントリー!とびきり素敵な宇部のご当地マラソン!

自然豊かなコースを走れるに違いないということで実は結構前から密かに気になっていたこの大会、参加人数があまり多くもないせいか詳しい情報が見当たらず、ならば自ら体験してみようと(迷った末にとくしまマラソンを見送ってまで)参加を決めました。実際に走ってみて、飾ることの無いありのままの自然を堪能できる大会で、都会の大会にマンネリ感を覚え始めた方には是非ともおすすめしたいと思います。

追記:何と2024年の第20回大会でファイナルとのことです。惜し過ぎます……。

ube-run.com

思い描いていた以上に春の訪れを感じられる長閑な風景は、走っていて心が自由になっていくものでした。目の前にも耳の傍にも足元にも余計なものが何一つないのですから。田園や山の緑も、空の青も、湖や川の光も、木漏れ日も日差しも全てが春を感じさせてくれます。

カントリーということで人っ子一人いない山道を走ると思うなかれ、要所要所で沿道応援があり、最後まで声援にお応えしながら笑顔で走れました。鳥の方が一番目立っていたかと思います。エイドの学生さんも熱心で、沢山ドリンクをいただきました。ありがとうございます。

エイドも水分のみかと覚悟していましたが、小野茶どらやきに加えバナナやあんぱん、コーラもあり、なかなか心強いです。アフターも名物のしし鍋ふるまいだけでなく、出店も多く盛り上がっていました。

この大会自体は宇部市と旧楠町との合併を機に開催されるようになったとのことですが、歴史を遡ると前身の「健康マラソン宇部全国大会」が昭和61年からということで、相当な老舗です。

「○○シティマラソン」という名前はよく見ますが、「カントリーマラソン」という響きは珍しく、実直さが見て取れます。コースの距離は何と42.147km。とことん正直です。後48mくらいどうにかできそうな気もしますが、それを言うのは野暮になるのでしょう。累積標高は353mとのことで、なかなかハードな部類でしょう(なお、高低図は何故か100mと思われるところが10mと表示されており、ちょっと面白いです。まさか対数を使わないと表に収まらない急坂というわけでもないでしょうし)。

フルと10kmで813人が出場したということで、渋滞もなくスムーズで、思い思いのペースで走れます。私は、次にいつ来られるかは分からないこともあり、時計よりも景色を見ながら距離走のつもりで走りました(3時間17分台,157bpm, 192spm, ストライド1.12m, 上下動6.2cm, 上下動比5.4%, 接地時間バランス48.9:51.1でした)。

前泊と後泊でときわ公園や湯田温泉椹野川などにも行けて、こういうことでもないとなかなか訪れることもないであろう宇部ともご縁ができてよかったです。

長らく地域に愛されて受け継がれてきたことがよく分かる、素敵な大会でした。今回宇部に行くことができて本当によかったです。開催にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました!

大会の雰囲気や春の長閑な里を走るということで、イメージ的に一番近いのは津山加茂郷フルマラソン全国大会かなと思います。津山でウルトラソウルしてみませんか。

savarun.hatenablog.com

参加人数的には山形県唯一の公認フルである長井マラソンが近いかもしれません。こちらもいい大会なんですよね。

savarun.hatenablog.com

savarun.hatenablog.com

2023年は山口県でもう一本、下関海響マラソンも走らせていただきました。山口県の大会は力が入っていて好きです。

savarun.hatenablog.com

続きのページにはコースの詳細を残しました。多分ここまで細かく書いている人はいないので、写真だけでも見ていただけるとイメージが掴めるかと思います。ご感想などいただけるととても嬉しいです。

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追記:ふるさと納税では蜜カスをいただきました。開ける前から既に楽しみです。

これは力が出そうです。

前日(ときわ公園に感嘆)

朝は普通に塩さばを焼き、大根おろしで食べました。他にプロテインバーを食べたくらいで、糖質も気にせずです。

普段と変わらぬ朝食です。

金券ショップで株主優待券を買えば数百円安く収まると聞いたものの、みどりの窓口に並ぶ時間はリスキーなので仕方なしに新幹線自由席12,980円を選択します(宇部新川まで)。のぞみは自由席でも新大阪からなら問題なく座れ、貴重な読書タイムを捻出することができました。國分功一郎先生の『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)は通読すると得るものが大きいです。

途中広島を通り、かつての広島市民球場カープ戦を観戦し、前田さんの背中を見たことや、やはり日本に生まれた者としては平和記念資料館は再訪しなくてはなどと考えていました。重い歴史は背負っていかなくてはなりません。

広島のことは。

徳山の重化学コンビナートに感心しているうちに新山口到着です。乗り換え待ちの間軽く駅前をうろつき、種田山頭火銅像に対峙します。

アイバニーズのギターは懐かしいです。

分け入っても分け入っても。

かわいらしきローカル線です。

次の宇部でも30分以上の待ち時間を利用してベーカリーを目指します。パン工房ふかまろさんのチョコチャバタは、しっとり生地で自分好みでした。駅前のウシパンさんは目出たく完売ということで何よりです。ちなみに、今回乗った列車はいずれもボタンを押さなくてもドアは全部自動で開きましたし、先頭車両からしか降りられないトラップも無く、ビクビクする必要もありませんでした。

写真は静かですが、何もないわけではありません。

なかなかおいしいパンでした。ごちそうさまです。

駅のすぐそば。気になる存在のウシパンさん。

宇部新川に着くと受付の宇部市文化ホールはすぐそこです。建物に入り二階の研修室であっさりとした前日受付を済ませます。レイトエントリーのTシャツはここで受け取るものだと思っていたのですが、明日会場での受取りになったとのことで、ゼッケンと控えめな印刷物のみの受領となりました。

写真に撮りにくいのです。

一枚目の巨大なホールではなく、二枚目の方です。

宿はビジネスホテルパーク琴芝さんで、歩いて問題ない距離です。ここぞとばかりにワクチン三回接種の紙を提示して割引を受け、何と4,000円の宿泊代に旅々やまぐち割プラスのクーポン1,000円分が付いてくるという破格の待遇です。お部屋も普通のビジネスホテルより広くて言うことなしです。

外泊は別大以来です。

さて、宇部に来たからにはときわ公園には行かねばなりません。少々距離はありますが、スロージョグで出掛けます。途中何度も消滅する歩道と路側帯に苦しめられながらも(地方あるある)到着し、園内に入ります。

それでも車は結構通るのです。

目の前に伸びていくときわ湖の姿があまりに気持ちのよいもので、一気に目も表情も輝き出します。夕日を浴びながら水をたたえるその奥行きは、市街地からすぐとは思えないものです。

実際に訪れると広さと遠くまで見える感じが違います。

宇部は野外彫刻の国際コンクール「UBEビエンナーレ」を2年に1度開催している「緑と花と彫刻のまち」ということで、園内には沢山のアートがときわ湖と共にありました。街中にいきなり出現して人々の何かを揺さぶるアートも大事ですが、こうして自然の景観と一体となりつつ、それでも特有の違和感を保っているアートもまた大切な気がします。

人間が心を保つには、おそらくアートが必要なのでしょう。

コルクを使った特殊舗装で脚に優しいエリアもあり、楽しくなったのでせめて一周したくなるところです。今回は時間も無く、距離的にも追加するには長過ぎるので諦めましたが、ここを普段から走れる方は羨ましいですね。遊園地や動物園まであり、誰もが一日楽しめると思います。独り占めするにはあまりに惜しく、誰かを連れてきたいと思える場所です。

花と緑も街の顔です。

夕食は琴芝のふらいぱんきっちんさんへ。丁度リニューアルオープンされており、ラッキーでした。日替わり定食もおかずが選べたので、メインは油淋鶏、副菜は豚そぼろと里芋、ブロッコリーとハム等のサラダにしました。ごはんも大です。遠征先で是非とも出会いたいタイプのよき定食屋さんで、味も種類も量も大満足です。これで825円は安過ぎではないでしょうか。

お店の方も親切で、非の打ちどころがありません。

結局トータル75分で10km弱走り、翌日のゆで卵(税込117円とか高騰してますよね)やパン、チーズ、牛乳を揃えて就寝です。

レース当日

レース前(余裕のあるスタート前)

22:30頃就寝、6:10頃起床です。まずまず眠れましたし心拍数も通常です。手早く経口補水液を作り、昨日安くバラで買えたメダリストのアミノ酸も溶かします。濃すぎると飲みにくいので適当に調節しつつ、レース前後に飲む用のペットボトルにも分けました。先週の能登和倉万葉の里マラソンは21℃、今日の予想最高気温は18℃、幾分ましとはいえ水分は意識的に多めに摂っておきました。エイドの数が少ないことも踏まえ、ジェルフラスコも二つ携帯しました。

アミノ酸粉はレース直前に。

今回は中国地方のレースということもあり、中国四国縛りのウェアにしました。思い出の愛媛マラソンキャップと復活を期待する鳥取ラソンTシャツという派手なコーディネートで明るい空気を演出します(気分の問題)。テーピングはケチってニチバンですが、全く問題ありませんでした。

こんな明るい装備で走るのはレアです。

朝食は最近の流行りで適当そのものです。多分栄養としてカウントできるのは前日に食べたものまでで、当日は不安にならない程度でよいのかもしれません。

フードロスの削減にご協力しています(ケチなだけ)。

琴芝駅までは15分あれば確実に着くと前日徒歩で計って確認しておいたので、7:05に余裕を持って出発し、10分程度で到着。無人駅ですので券売機で厚東(ことう。あつひがしではない)までの切符を買い、単線列車の情緒を思います。山口の電車網は正直慣れていないと直感的に理解し辛く、果たしてこの路線のこの方向でよいのだろうかと不安になるので、事前に調べておくとよいです。宇部行きで終点まで乗り、他の人の流れに乗ってホームを移動し、一駅乗れば厚東です。朝は4℃台で、車内に入ってくる風も冷たかったのですが、これが昼には暑くなるのだからうまい話は無いものだなどと考えていました。

駅前もやや寂しい気が。

厚東駅に到着して外に出ると既にシャトルバスが停車しています。一台目がいっぱいになってもすぐに次が来て下さり楽に座れます。まあ15分後でも全然間に合いますし余裕です。会場到着までは10分強くらいでしょうか。割とすぐに着くのでピリピリする必要は一切ありません。

こんなにしていただいて恐縮です。

まずは受付でTシャツをと聞いてみると、結局郵送になったとのことでした。何だか無駄なコストを発生させてしまった気がして申し訳ないところですが、レアTシャツが届く日を楽しみにしましょう。

案の定開会式までやることもないので、とりあえず無料のぜんざいをいただきました。1,000食限定なのですが、この勢いではおそらくフルが終わる頃には完売でしょうし、その展開だと金の亡者たる自分がどんな見苦しい醜態を晒してしまうか分かりません(大会レポに文句ばかり書く人いますよね。ああはなるまい。)ので、ここは先にいただいて心を充たすことにします。レース前に血糖値バク上がりですが、たまにはいいでしょう。何よりおいしかったですし。

早い者勝ちですので悔いの無いように。

ついでに横のブースで過去大会Tシャツを買い求めました。目立つピンクはLが無かったため、あまり持っていないあずき色のものを選択。間違いなく大阪ではレア(おそらく長井マラソン並のレア度)なので、いい買い物をしました(なお、部屋に大量にあるTシャツのことは考慮しないものとする)。

レアと思うと買わずにいられなくて……。毎年デザインが違って良いですね。

まだ時間もあるので、先に出店エリアを予習してその充実ぶりに心ときめきます。暑くなってきたので上着を脱ぎ、日焼け止めを塗りたくって荷物を預け(申込時に500円追加でタグがもらえます)、開会式を待ちます。

期待通りのカントリーです。

開会式の司会は広島で活躍されているパーソナリティーさんで、明るく盛り上げて下さりました。大会を支えてこられた前会長への黙祷に続き、思いのこもった来賓の皆様のご挨拶、更に宇部市長(宇部出身の駒大山野主将にシューズのアドバイスを受けるも花粉症でDNS。哀れな副市長が代わりに出走。)だけでなく山口県知事まで来られて、この大会が地域に愛されていることがよく分かりました。

世の中には“都会だから体面を保つために開催はします。コンセプトと数字はこんな感じで”とお上が勝手に決めて後は地元住民の必死の努力で何とか体をなして存続しているイベントもありますが、この大会は“誰がやりたいのか”がはっきり伝わって来るいい大会だと実感します。

開会式も印象深いものでした。

全体の記念撮影の後、スタート地点に向かいます。黒いゲートがスタート兼ゴールだと思っていたのですが、フルのスタートは裏にありました。スタート前にトイレに行くか少し迷いましたが、更衣室内のトイレは使用不可、仮設は多少の列だったので見送りました。まあスタート前整列もゆるゆるなので、行きたい方は行っておいた方がよいでしょう。私は普段から午前は一度行っておけば足りる身体なので問題なしです。スターターは山口県知事、やはりこの大会は県政の行方を左右する大切なものなのでしょう。

フルはこちらからではありません。

いよいよスタートです。

レース

序盤~前半(日陰もある自然満喫コース)

とりあえず元気よく自然豊かな直線を進みます。先週は前半体調より速く入り、後半は給食ジョグになったため(織り込み済み)、序盤は特に抑えるようにします。

ほぼ1km毎に距離表示のパイロが置かれていて親切極まりないです。確か最初の2kmが9分程、次の2kmが9分10秒以上かかっていたと思いますので、ここで大体3時間15分くらいかなと予想します。

爽快なカントリーロードを駆けだします。

本格的な交通制限は無く、徐行にご協力いただくスタイルですので、結構な頻度で車が右側を通っていきます。地域の皆様には多大なご負担をおかけしていますので、これ以上は望んではいけません。たかだか数百人のために道を塞ぐことは無理があります。

意外と応援が多いと序盤で気付きます。

5kmで早速給水ですので、ここでどれくらいコップを取り易いかを量り、この先の見通しを立てます。取れて二つというのは大丈夫ですが、最終のゴミ箱までが近く、走りながら飲み切りゴミ箱にシュートするのは難しいと悟ります。なので、この先は大幅減速か停止して給水することにしました(中には平気で歩道に捨てて行くカスもいて、誰が拾うと思ってんねん、自分なら次のエイドまで持って走るのにとイライラしましたが、まあそういう人は万事その調子なのでしょうから言っても無駄ですね)。

給水がどのくらいの速さでどれくらい取れるかも要判断事項です。

6km辺りからウルトラっぽい景色が見られるようになり、いよいよコースも本気を出してきたかなと感じます。7kmで32分30秒程だったと思いますが、まあこんなもんだよなと特に焦りません。

途中の花に和みます。

それでも普通は誰もいないはずの道にも応援の方がおられたりで、そこまで苦しくなるでもなく、一区切りつく所まで上れます。多分9km辺りの「峠」というこれ以上ない名前のバス停を過ぎると下りに突入です。かなり下るなと思っているうちに左折して農道に入り、10km行くか行かないかあたりのエイドで給水です。

単に寂しい山道を行くわけではなく、声援も受けられます。

下りに入ると心拍数も落ち着きます。

農道は車も来ないのでのんびりです。

11km辺りでは唯一の未舗装路があり、これでこそカントリーマラソンだという気持ちも高まります。まあ雨なら凹むかもしれませんが。

クロスカントリーではないのでお間違えのなきよう。

木陰の林道を下り、少し行くと厚東川沿いを走ることになります。感覚的には下っている気すらしますし、日陰が多いので暑さも感じずに済みます。この辺りで大体14km。確か1時間5分台後半くらいだったかと思います。

確か竹のエリアもあり、変わりゆく景色に退屈しません。

視界が開けます。
中盤(小野茶どら焼きと小野湖の景観)

香りからすると梅でしょうか、薄桃色の花の姿や、コース的には渡らない橋を見たりしながら進み、小野大橋を渡ります。見晴らしがよく、この先もどんな景色が見られるのかとワクワクします。

この橋は渡りません。

小野大橋も眺めがよく、きょろきょろしていました。

15km(ということになっている)エイドがあるアクトビレッジおのは、おそらく16kmより先に位置し、かつ少し坂を上りますが、何だかウルトラっぽい回り道で楽しいですね。ここも水だけかなあと思っていたところ、最後のテーブルに小野茶どら焼きを用意して下さっていたのでありがたくいただきます。

予想外に名物エイドがありご満悦です。

(なお、このエイドで目の前にゴミ箱があるにも関わらずコップもバナナもその辺に捨てる赤ノースリーブの頭おかしい男がいたので怒鳴ったのですが、そんな輩が改心するはずもありませんし、学生さんにも申し訳ないので私が拾って謝りながら捨てておきました。こいつはすぐ先で失速していましたのでろくな結果にはならなかったでしょうし、私がイラつくまでもなく早晩走るのをやめるでしょうから、二度と会うこともないはずで、気にしないことにしました。)

どら焼きを食べつつ進むとまたしばし軽く上りますが、20km手前では小野湖沿いに復帰し、青い空も白い雲も、水面と一体となってランナーを迎えてくれます。ここは景色に見とれているうちにいつの間にか進んでいました。

また山かと思わせておいて。

この景色が待っているのです。

中間点では1時間38分台でした。後半上げればどうかなあというところですが、あくまでも今日は疲れを溜めずに気持ちよく(しかし距離走として一定の負荷はかける)ことを狙っていたので、正直タイムはこだわりませんでした。

距離表示が多くてありがたいです。

実は20kmエイドは中間点の後にあった気がしないでもないのですが、気温が14℃と表示されており、“14℃はまあまあ暑いな”と思いながらありがたく給水です。この先はしばらく上り下りがあり、二人ほど後ろから抜いてきたので様子を見ながらついて行ったのですが、いつしか前に出てお別れしてしまいました。

気温表示の先にエイドがあります。

下りに入るとこれまた長閑な風景が広がり、つくづくいいコースだと思います。この辺りで左膝の内側に若干の違和感がありましたが、仙骨と接地、ピッチを意識しつつしばらく行くと気にならなくなったので一安心です。外側はかつて激痛に苦しんだ時期もあり、そちらは全く問題ないのでまだましです。多分疲労の蓄積だろうとは思いますが、厚底一辺倒なのも影響しているのかもしれません。

この前はいくらか上りがあり、ここで休憩です。

左折して25km給水。ここでもしっかり止まっていただきます。向きが変わって目の前には荒滝山(多分。標高459m、宇部市最高峰だそうです。)がそびえ、また違った景色だなと感心します。途中27km手前くらいでしょうか、沈下橋もあり、“この川にもあるのかあ”と四万十川を思っていました。

明らかに突出した山に視点が変わります。

分かりにくいですが橋があります。

28kmで2時間11分台。残りの体力的にも問題なさそうです。幸いこの時間帯は雲も出ていて、風が吹くとそこまで暑さも感じませんでした。

要所には必ず応援の方が待っていて下さるのです。
後半~終盤(上りからラスト9kmの下りへ)

28kmの後で軽く上り、30kmエイドではあんぱんの写真を撮っていると、“そういう楽しみ方もあるのか”と笑っていただけました。この付近は応援も多いエリアでひたすら笑顔になります。鳥のコスチュームの方が一番目立っていました。

コミュニティバスとすれ違いつつ上ります。

この付近はにぎやかで、残りへの希望をいただきます。

31kmの無人精米機辺りから33km辺りまでやや長い時間上りますが、確かバス停が「小坂」だったと思いますので、「峠」程ではないのでしょう。橋の下をくぐってもまだ緩やかに上りますが、途中男性が「もう一頑張り!」とエールを送って下さり、“多分10kmを指して一頑張りという可能性は低く、坂が終わるまで一頑張りという趣旨なのだろうな”と考えて気持ちも楽になりました。

ここさえ耐えれば後は飛ばしてもよいのでしょう。

実際少し我慢すれば下りに切り替わりました。そこからは楽で、津山加茂郷を思い出すご褒美タイムでした。途中で一人に抜かれましたが、後は前半遥か先に行ってしまわれた方を拾えることも多く、無理無く快適に下っていけました。軽い向かい風で涼しく、時折キャップを脱いで頭を冷やしました。行きに10kmコースと分岐した所(今富ダムへの道)まで来て、ああ戻ってきたなあと認識します。

春を感じながら快走してください。

行きではフルは直進して上っていったなと思い出します。

実はこの下りは車も多く、歩道に近い所は凸凹が大きくて気を遣うエリアでもありました。ズームフライ4の削れ具合にも影響したと思います。

13km辺りで抜かれた方が見えてきました。

ラスト5kmのエイドではコップを手渡しして下さったので、心意気ごと受け取ります(しかしゴミ箱のことを考えて止まって飲みました)。最後のエイドでもコーラをいただき、何度止まろうとも笑顔で再出発です。少々止まってもキロ4分40秒台でしたので気になりません。

若人に力をいただきます。

コーラは少なくとも三か所はあったはずです。

39kmも過ぎ、フル右折の表示があったので、“折角だから撮っておくか”と撮影したまではよかったのですが、ここでマンホールの出っ張りに足を取られ、フル86本目にして初の転倒をやらかしました。ここではまず、“恥ずかしい!真面目に走って転倒なら仕方がないが、ふざけていてこけるなんて(太宰治的な意味で)人間失格だ!穴があったら入りたい!”という気持ちが電撃のように迸り(穴なんか入ってたらタイムはおろか行方不明者になって大迷惑)、次に“どんな遅くても転倒した以上は出血しているはずで、やはりご迷惑になるため少なくともくすくすの湯には入れない”というショックに打ちのめされ(楽しみにしていた)、それからようやく“筋骨隆々の右肩から着地した上に、転倒した場所に石などは無く、角度もよかったので痛くもない”ということに思い至って照れ笑いを浮かべながら走り出します。いつものノースリーブだったら右肩からも出血していたでしょうから、鳥取ラソンTシャツに救われたことになります。つくづく運に恵まれました。次に転倒するのは172本目であってほしいところです。

ここも結構無理があると分かっていたのですが……。

40kmのパイロンで時計を押して、ようやく真面目に走ることにします。最初に通った気持ちのいい直線を、順風を背に受けながら帰って行きます。明らかに周囲よりピッチも高く、感覚的にも地面からの反発も得られてしっかり進めました。ちょっと難しいかなと思った方も41km過ぎには捉え、ターゲットも無くなったので懲りずに(しかし今度は慎重に、路面と曲がるまでの距離を考慮した上で)写真を撮り、右折してパッと加速し、会場に入って笑顔でゲートをくぐりました。40kmからは9分12秒、ジョグからは上がりにくいので、まずまずです。全体では3時間17分30秒程でした。

どうしてもこの景色を残しておきたくて。

アフター

レース後

充実の打ち上げ会場

まずはドリンクとゼリーをありがたくいただき、アミノバイタル粉と共に素早く摂取しました。荷物を受け取り、プロテインプロテインバー二本を貪るように食べ、手持ちの水も飲み干し、まだ空いている更衣室で手早く着替えます。少々出血してゼッケンが汚れたものの、幸い擦り傷は極めて浅く、既にほとんど乾いていたので安堵します。拭き取ると出血してしている箇所はごくわずかで、右肩の筋肉と幸運に感謝します。

コーラもあり元気が出ます。

レース前後のズームフライ4胡麻豆腐。流石に無理では(走行距離330km)。

更衣室はきれいで快適でした。

傷も浅いと分かり意気揚々とふるまいのしし鍋テントへと向かいます。コロッケも一つ買いました。このしし鍋はしし肉に加え特産の椎茸が入っており、更に牛蒡の香りに白菜、人参、大根、葱まで栄養補給には持ってこいでした。味も勿論よくて、地方大会の素晴らしさを実感します。

これさえあればという感じです。

宇部の特産品も沢山あり、スイーツ詰め合わせは職場のお土産には向かないことと、炊き込みご飯は量が多過ぎることから何も買えませんでしたが、“大阪から来ました”というと喜んでいただけました。吉部(特に大棚トンネルが有名とのこと)や岩戸神楽舞(切り絵作家さんの作品も)のことも教えていただけて、こうして全国の大会が開催される環境になったことに嬉しさを覚えます。

テリーヌコーヒーこもれびアイスキャンディ大吟醸ケーキ貴宇部の美味しさを満喫します。お土産も品数豊富です。最近甘いものが続いたので、今回はふぐ煎餅を選びました。くすくすの湯は迷いましたが、混んでいると見て諦めました。その分、ゆっくりとお店を見て回ることができました。

普段全く行かないお洒落カフェです。

ソフトクリームと迷いましたが、包装のインパクト的にアイスかと。

黒いダイヤを模した空港スイーツも。

山口らしいお土産を買えました。

本当はひとっ風呂浴びたかったのですが。

会場にはQRコードがあり、すぐに結果速報が確認できることに感心します。ラップ計測こそありませんが、年代もやたら細かく分かれていたり飛び賞があったりで、何かと気の利いたポイントだと思います。

記念撮影もできます。

フィニッシュのゲートを見届けてから、バスに乗り、スムーズに厚東駅へと送り届けていただきます。厚東から新山口を経て湯田温泉ですが、新山口での乗り換えはギリギリではないものの数分ですので、疲労があると焦るかもしれません。

ラソン大会かくあるべしというよき大会です。

安全に送り届けていただきありがとうございました。
湯田温泉

湯田温泉駅に着くと、まずゆう太モニュメントのでかさにビビります。写真だとよく分かりませんでしたが、目の前に立つとちょっとおかしいくらい大きい気がします。

このサイズ感、何かの間違いでは。

少し歩いてビジネスホテルうえのさんにチェックイン。二日目も旅々やまぐち割プラスがすご過ぎて、一泊4,840円になった上に2,000円のクーポンが付くという大盤振る舞い。ワクチン三回打っただけで甘やかし過ぎやろと思います……。

旅行支援策の謎です。

とりあえず地理を把握するべくスロージョグでうろうろしつつ、湯の香通りでは足湯が楽しめることに趣を感じます。井上公園では井上馨銅像と、それ以上にその隣にあった所郁太郎の八面六臂の活躍ぶりに慄きます。中原中也の詩碑もあり、大変密度の濃い場所でした。

しかし足湯はいつも素通りしてしまうのです。

井上馨生誕の地とのことです。

キロ8くらいで走りつつ、クーポンを握りしめて地元のものが食べられそうで、かつ紙クーポン使用可(アプリは一々インストールしたくない)のローテクおじさんフレンドリーなお店を探します。結局宿からすぐのだんだん茶屋さんに決め、お酒も飲まずに宇部の黒鯛山口鶏のもも肉、ずりの串鉄板の茶そばを楽しみました。美味しく食べられて、味も栄養も食感も全て身体に溶け込んでいきます。これで500円に収まってしまう旅々やまぐち割恐るべしです。帰ったら職場で山口のことを褒め称えようと心に誓います。

待つ時間も楽しく、スマホも触らず寛いでいました。

館内の大浴場で身体を温めてから洗濯(無料。洗剤は持参)、乾燥機は200円でしっかり乾きました。やることをやって就寝です。

翌日(維新百年記念公園椹野川山口市街)

夜中何度も覚醒するでもなく、大体いつも通りに眠れて心拍数も変わりません。“マラソン頑張るぞ!”という力みも無く、有酸素ジョグのちょっと長い版という緩いスタンスが程よいのでしょう。6時に目覚めて観光目的のスロージョグに出かけます。朝はまだ寒いので手袋はしましたが、上は半袖一枚でした。

普通に寝て普通に起きました。

行先は適当ですが、まずは湯田温泉を飛び出して西に向かいます。湯田大橋という小さな橋を渡ってすぐの所に維新百年記念公園があります。ここはあらゆる種類のスポーツ施設が揃うだけではなく、池や花もきれいな場所でよかったです。維新みらいふスタジアムも日本選手権が開催される場所ですので、憧れますよね。スタジアムの周りはジョギングコースになっていましたが、速過ぎる走行を禁じる注意書きもありました。

湯田温泉を飛び出します。

池も花もあり、散策しがいのある公園です。

そのまま帰ると短すぎるので、矢原駅の方に行ってみました。椹野川(ふしのがわ)まで行くと山口秋吉台自転車道があったので、ここは気持ちよさそうだと下りてみました。その名の通り遥か先の秋吉台まで行けてしまうのがすごいのですが、鶯の声も聞こえて素敵なコースでした。

菜の花も咲いていました。

椹野川を行けば秋吉台に。

野鳥も多く、朝は特に気持ちよく感じられることでしょう。

橋からも眺めを確認します。山が近いです。

NHK前の公園では桜が咲いていました。

気付けば山口駅の近くまで進み、96分で12.7km程になりました。パン活はできなかったのでチーズとコーヒーだけの朝食になりましたが、朝風呂も決めて出発です。

中原中也記念館は月曜休館ということのみ確認していましたが、事前リサーチも全く不十分で無策です。まあ折角だからと山口駅方面に行ってみます。開店し始めた頃のアーケードを歩くと、安部本陣跡に出くわし、流石に長州藩の歴史が至る所に存在するのだと知ります。

自分だと当時の世でも何もできなかったでしょう。

商店街はお店も多く、デパートもありました。

分からないなりに雰囲気のよさげな方向に向かうと、亀山公園の近くに出たのでここは上ってみることにします。階段もそこまで長くない割に眺めはよく、市街の展望が楽しめます。毛利敬親公の銅像は何とか再建されているものの、他の銅像は戦時中に接収されて以来跡が残るのみでした。

何となくいい感じのする道ってありますよね。

中心部からも近く、行って正解でした。

丘を少し下ったところにはサビエル記念聖堂がありますので、こちらも定番だろうと入館します。館内は写真撮影OKで、貴重な資料も多く見られます。薩摩、平戸、豊後、堺に京都といった各地を巡る足跡が印象に残りました。二階の聖堂では、人がいなかったこともあり、しばらく座ってぼんやりしていました。パイプオルガンの音が少し怖いというか不安をかき立てられるもののように感じるのは私だけでしょうか。それにしても1952年に建てられた旧聖堂が1991年に焼失してしまったことが惜しまれます。

(なお、個人的には当時の布教はあまりに他の宗派に不寛容だったイメージがあり、また、明治維新もあまりに血生臭くあまり得意な分野ではないのですが、とはいえ人間の歴史の大きな流れを知る上では是非とも知っておくべきことだと思っています。)

日本の歴史に与えた影響の大きさは計り知れません。

帰りは山口駅周辺では唯一と思われる金券ショップ屋さん(セブンさん)でJR西日本株主優待券を4,800円で購入できました。半額になった後の切符代が6320円ですから、1,520円も節約できました。場所がとても分かりにくいのですが、郵便局の西の入り組んだ所です。

この辺りです。

特産品ショップやまぐちさんポン酢を買い、“昨日マラソンでして”といった話をしたり、駅前の本多屋さんでおいしい外郎(一番小さいもので3つ入り)を購入したりで旅を締め括りました。翌日は祝日ですので通常なら頑張って観光に勤しむと思いますが、流石にまた一の坂川エリアに引き返すのは少々荷が重く、食欲もあまりなかったことから、少し早いですが13:39山口発で帰ることにしました。

外郎は絶対に外せません。

(なお、株主優待券の割引はみどりの窓口プラスでも使えるので、そのこと自体はよいのですが、オペレーターさんにつながるまでの待ち時間に自分の後ろにできる列が辛かったです。いやまあ有人のみどりの窓口でも並ぶだろうといわれればそうなのですが、自販機だとすぐに買える習慣がしみ込んでいるので、“こいつは何て迷惑な……。”と思われても仕方ないでしょう。JRさんも合理化でみどりの窓口を減らすのであれば、せめて二台は設置して、一台がオペレーターさん待ちで滞ってももう一台はスムーズに流れるようにしていただきたいと思いました。こんな所に書いても何の意味もないのですが。)

ありがとう山口。お世話になりました。

のぞみは新山口からでも自由席に座れましたが、岡山辺りからは何人か座れない方が出ていました。新大阪で降りた人が多いのでそこからは席を確保できたとは思いますが、平日昼間でも混んでいるものなのですね。

早く帰れたので、スーパーや郵便局に行ったりして、夜は豚バラとなす、ピーマン、小松菜の中華炒めをメインにしました。ヨーグルトと納豆も食べていつも通りです。

最後に

今回初めて参加してみて、ありのままの自然を体感できるコースも、大会を大切にされている皆様の応援もとても心地よく、こんなに地域で愛され続ける好大会があるものなんだと改めて感じ入りました。

全国津々浦々、まだまだ知らない魅力的な大会があるものです。毎年この大会と決めるのもよいのですが、時にはこうして自らの意表を突いた選択をしてみると、また大きな喜びが得られると実感しました。普通に日常を送っているだけではおそらくご縁は無いであろう宇部の街を歩き、里を走らせていただく機会に恵まれてよかったです。いつまでも旅ランを続けられるわけではありませんので、一本一本感謝しながら、また記憶に刻み込みながら巡っていきたいと思います。

大会を開催し、応援して下さった宇部の皆様、本当にありがとうございました!

ここまでご覧いただきありがとうございます。

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