ちょっと長すぎる旅ランブログ

百聞は一走に如かず。きっと貴方が好きな大会が見つかります。

長井マラソン2023(2023/10/15) 温かな応援&絶品芋煮が染み渡る!皆に教えたくなる素敵な大会!

ついにこの日がやって来ました。2016年に参加し、また出たいと2020年にエントリーするも開催中止、そして思いを募らせて2023年。今年の出走者はフルとハーフの合計で570人だったそうですが、本当にいい大会なんです。その素晴らしさを一人でも多くの方に知っていただきたい一心で思い切り詳しく書きます。

nagai-marathon.jp

温かな応援豊かな自然走り易いコース、どれも記憶の中の長井と重なり、戻って来られたことを嬉しく感じました。エイドでも流石は山形というべき大粒マスカットがふんだんにふるまわれ、地元の名産品を食べられる喜びにも包まれます。沿道の声援も、交通整理のお巡りさんも皆様優しく、最後まで笑顔で声援にお応えしながら走ることができました。

そしてふるまいの芋煮記憶を超えるうまさで、冷えた全身の隅々にまで染み渡っていきました。ここまでうまいものがあるのかと思うくらい、とびきりの逸品でした。おいしいつや姫おにぎりを配っておられるおばあちゃんにお礼と大阪から来ましたとお伝えすると、こんなに喜んでいただけるのかと驚く程喜んでいただけ、“遥々来て本当によかった。これからも走り続けたい”としみじみ思いました。大会プログラムでお名前を拝見し、あのお二方なのだろうと懐かしく思い出しています。地元の方が大切にされている大会は、やっぱり最高だと実感します。

日中の気温差が大きい記憶がありますが、今年は天候に恵まれて(雨、10℃くらいが好きかは好みが分かれそうですが)とても楽に走れました。コースは、基本フラットで上りらしい上りもそれ程なく、30km以降緩やかに下っていて走り易いので、気象条件が整えば記録を狙えると思います。

(最後の方だけ上げて3時間8分台, 152bpm, 195spm, ストライド1.12m, 上下動比5.5%, 上下動6.4cm, 左右接地時間バランス49.3%:50.7%, 接地時間235ms)

今回は観光も集大成というくらいの勢いで予定を組み、可能な限り詰め込みました。このブログには、“マラソンも旅行も捨てがたい”という方を想定した、“案外いけますよ。いかがでしょうか”というコンセプトも秘められています。公共交通機関の限界に挑み、前日の山寺、山の港町長井馬肉最上川)、レース後の山形城跡、翌日の蔵王温泉御釜といった充実の旅程となりました。霧と強風と御釜が揃い、日常から一番遠い世界にいた感覚も思い出せました。

長井の皆様が大会を開催して下さったお陰でご縁が生まれ、長井のことを知り、一層好きになることができました。雨の中、温かな応援をありがとうございました!

前回7年前に参加した際の記事もあります。当時の走力では写真を撮る余裕がありませんでしたが、今回はばっちりでした。

savarun.hatenablog.com

参加人数控えめな地方大会が大好きなのですが、山口県のくすのきカントリーマラソンも長閑な空気を堪能でき、かなり魅力的です。

savarun.hatenablog.com

100kmでは直近の秋田内陸リゾートが感激するくらいの歓待ぶりでした。この大会も多くの方に知っていただきたいです。

savarun.hatenablog.com

続きのページにはコースやふるまいなどの大会の魅力や山形の観光情報をとことん書いています。写真のスクロールだけでも少しは楽しんでいただけるのではと思いますので是非。コメントや↓のバナークリックでリアクションをいただけると大いに喜びます。あまり反応が無いと、いつの間にかガチで走るおじさんのブログになっているかもしれません。

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追記ふるさと納税では米沢牛ミニミニステーキ(250g)をいただきました。うまみと柔らかさが全然違います。もう普通のお肉は食べられません(食べてますけど)。ポストカードとフラワー長井線のフリー切符引換券までいただき、また長井に行きたくなりました。

そうそうお目にかかれないお肉です。

【前日】

7年ぶりの山形へ

飛行機は伊丹8:00→山形9:15ですから家からはほぼ始発です。並の観光客ならこの時点で躓きかねないところですが、ここ最近は土曜でも5:30起きが増えていたためか、それほどきつく感じませんでした。

金夜は豚バラ、卵、茄子、玉葱、キャベツのオイスター炒めで大量の野菜を摂取し、デザートにロイズの板チョコを半分食べたので、朝食はなしでも全く問題なしです。が、時間もあるのでモッツァレラチーズとヨーグルトは食べておきました。

無事においしい山形空港(※機内放送で何度もアナウンスがあったため、これで合っているはず)に到着。山形駅まではシャトルバスで1,300円、交通系ICカードも使えて便利です(先払い)。35分程で時間通りに送り届けていただき、7分しかないJRへの乗り継ぎも成功しました。

おいしい山形空港です。確かに山形の食べ物はおいしい。

期待通りの長閑な風景です。

駅ではまちなかマルシェが開催されていました。後で来ます。

なお、移動中は斎藤幸平先生の『ゼロからの『資本論』』(NHK出版新書)を読んでいたのですが、内容が大変興味深い上に読み易く、一気に読み終えてしまいました。

山寺観光(またしても時間との戦い)

明日はフルマラソンを走るわけですから万全の準備が必要です。というわけでまずは山形といえばここという人気観光スポット山寺へ(全然備えてない)。フル前日に1,000段もの階段の上り下りを急ぎでこなそうという(浅はかな)人はあまりいないと思いますが、今回の旅程ではここに組み込むしかないと判断しました。前回は仙台空港からの帰路で寄れましたが、今回は帰りも山形空港ですので、蔵王のお釜を取ると間に合いません。つまり一択です。

山寺駅に降り立った瞬間、本当に静かで驚きました。静けさに驚いたというよりは、普段どれだけ酷い騒音の中で暮らしているのかということですが。都会の暮らしはやはり何かが間違っていると思います。

気持ちいいくらいすくっと聳えています。

山寺での滞在は54分しかありません。本当に短いので、パッと行って帰ることになるのですが、これは前回も同じでしたので織り込み済みです。そびえる岩肌に7年前初めて見た時の感慨を想起しつつも、ともかく入口まで早足で移動します。拝観料は300円と観光の目玉とは思えない設定ですが、多くの方は途中で御朱印関連のお布施があるのだろうと思います。

トレイルの大会ではないのでそっと歩きました。

入口付近の表示によると、往復に要する標準時間は一時間程。ここに来るまでに数分使っていますし、そんなにかけて電車を一本逃せば長井観光が想像上のものとして存在しなくなります。やるしかありません。

一気呵成に突入です(歩いています)

それだけで自然の美と神秘を感じさせるくらいに調和した緑と木の作る道をすいすいと上っていきます。天気もよく光が十分注ぎ、秋の空気と揃うと言い表せないくらい心地よい空間です。

一度訪れてみて下さい。

階段はとてもよく整備されていますので、歩き易いです。しかし周りの方は息が荒くなっていたり休憩したりしていましたので、普通の人には結構厳しいようだと分かりました。誰かを連れて来る時は計画的に案内しないといけませんし、筋力が衰える前に行っておいた方がいい場所だとも思いました。

こちらは休んでいる時間もありませんし、何より鍛え方が違う(終業後に非常階段を上り続けたことや、何やら高い山に一気に上ったこともある)ので、いくらか汗はかいたものの、要所を楽しみながら余裕で上り詰めました。電車は間に合うのかという不安を抱えながらですが。

せみ塚は割と前半の方にあります。

弥陀洞も巨大です。

こうして見ると結構上っていますね。

今日までの日々に感謝します。

帰りも寄るべき所が多過ぎます。

階段のコンディションが良いため下りもテンポよく降りられます。しかしどうしてもダメージはありますので、明日のスタートまでに少しでも回復することを願うばかりです。

思わず足を止める絶景も多いです。

回り道してもここだけは絶対に押さえておきましょう。

ともあれ、35分はかからずに戻ってきましたので11:22の電車には楽勝で間に合います。安心して名物の力こんにゃくをいただき、観光の思い出を充実させます。

ご迷惑にならない範囲ですたすた下りて橋の傍に至ります。

蒟蒻の歯ごたえと汁、からしのコラボが乙です。

駅舎も風情全開です。

山寺から山形へ戻りますが、米沢行きに乗り換えるまでに30分弱の待ちが生じます。折角なので山形駅をぶらぶらすることにして、S-PALでお土産を物色したりします。そういやミルクケーキは山形だったなと。どう見てもじんだん(ずんだ)関連のお菓子を買わない手はないようなので、じんだん饅頭を買ってみました。和菓子を食べるのは久々だったこともあり、その甘さが一層おいしく感じました。

ミルクケーキは食べたことありますよね。

程よいサイズに大きな満足感が得られる逸品でした。

やまがたえきまちなかマルシェも見て、駅弁や果物に惹かれます。米粉パンを主力とするお米のめぐみ穂たるさんクアトロフロマッジは、優しい味でとてもよかったです。

パサつきも全くなく、柔らかな食感が違います。

赤湯に向かう際に深く考えずにICカードで改札を通ってしまいましたが、この路線はICカード非対応でした。次は確認の上で切符を買おうと思います。赤湯駅に駅員さんがいてくれたお陰で助かりました。

ICカードなんて使えまへんで。

赤湯駅は洒落たデザインです。お土産も買えるので、お酒が好きな方にはいいですね。そして4番ホームまで行き、いよいよフラワー長井線との再会です。開業100周年ということで長きに渡り地域の交通を支えています。駅にも花壇があったりして素敵です。どちらかというと左側に座った方が景色はよいのですが、陽射しは眩しいのでどちらを取るかは貴方次第です。

後ろの和菓子屋さんではリップルパイが買えます。

あな懐かしや。またお会いできまして。

車内もレトロ感が漂います。カーテンがよいですね。

旅情を味わうにはこれ以上ない風景です。

長井観光

長井名物馬肉を食そう

長井駅は初めて来ましたが、まず建物が新しくてきれいです。自転車を駅で借りるかは迷い所ですが、17:30までという時間とお土産も買えるはずという算段を元に少し歩いた先にある道の駅、川のみなと長井を選択しました。道中けん玉練習場があり、子供達が技を磨いていました。流石はけん玉の街です。

子供は上達するのが早いですから。

旧長井小学校第一校舎も気になります。

川のみなと長井で申し込むと、クロスバイク、電動アシスト、普通の三種類から選べるという充実ぶりで感心します。“どれでもいいんですけど”と優柔不断ぶりを発揮していると、笑顔で電動アシストを勧めて下さりました。しかもたったの500円。明日のマラソン頑張って下さいとのお言葉をいただき、ヘルメットも借りて出発です。

観光の拠点です。

長井といえば馬肉です。今回は絶対に食べようと事前に調べ、新来軒さんへ至りました。迷わず馬肉チャーシューメンをオーダーし、お店の中をキョロキョロしながら観察していると、けん玉チャレンジなるものがありました。とめけん(下から上げてけん先を穴に挿す)でチャーシュー一枚増量とのことで、面白いのでやるしかありません。結果、うまいこと成功させ、お店のおばちゃんにも喜んでいただけました(小学校低学年の休み時間によくやっていたので、実は得意なのです)。

お昼も15時まで営業して下さっています。

ラソンと違い、勝負強さを発揮しました。

馬肉チャーシューメンはボリュームもあり、まず見た目からしてうまそうです。馬肉自体ほとんど食べる機会がありませんのでどうだろうかと思っていたものの、割と抵抗なく食べられ、しっかり噛むとよりおいしい感じでした。脂っぽくも臭くもなく、気のせい程度硬めかもくらいでしょうか。自家製麺もスープも相性バッチリで、全体にあっさりしつつも満足感のある逸品でした。

これぞ長井名物!いただきます!

食べていると、帰りかけのおばあちゃんに「どちらから?」と話しかけていただき、「大阪からです」とお答えするととても喜んで下さりました。ここでもマラソンの応援をしていただき、嬉しいことです。明日は笑顔で走ろうと改めて思いました。

そしてこの秋の長井がまたきれいなのです。

遠征ではパン活も必須ですのでぐちこぱんさんへ。方向音痴なため見つけるまでに時間を要しましたが、何とか到着。かわいいサイズのパンがお洒落に並んでいます。塩パンが人気とのことなのでくるみドライフルーツと共に選び、早速食べてみると成る程、味も食感も柔らかい米粉の生地に塩がいい具合に効いていてとてもおいしかったです。くるみは期待通りのバランスのよさで、他のパンも食べてみたいと思いました。サイズが小さめなのでいくつも食べられるのがまたいいです。

お店のデザインも可愛らしいです。

これまたおすすめのパン屋さんに出会えました。

レース当日は青空が拝めなさそうなので、今日のうちに、山にぐるりと囲まれて、青い空と黄金色の稲、緑の芝の揃う姿が美しい長井の景色を見ておくことにします。コースの下見も兼ねられますので一石二鳥です。生涯学習プラザは、芝生広場の先の景色と共に、記憶の中のままの姿でそこにありました。あの頃はどんな気持ちで走っていたのか、過ぎてみれば七年はあっという間だったなと来し方を思いました。

ごみごみした都会にいると憧れる景色ですよ。

記憶の中と違わない青空と芝、遠くの山々です。

この線路もまた見られました。

お宿も7年前と同じウィークリー的場さんです。シンプルな作りですが、税込4,950円で会場にも近いので十分です。一旦チェックインして荷物を置いたら再出発です。

宿のおかみさんは親切な方です。
五月雨を集めて早し最上川(もう十月ですが)

続いて今回是非訪れたかった場所の一つ、最上川発祥の地を目指します。歩きでは遠過ぎますが、電動アシスト付き自転車さえあればこっちのものです。白川大橋を渡り、その場所へとやって来ました。今は最上川の始点がもっと上流とされているものの、松川(名前も変更)と白川が合流して最上川となった地点はここです。

白川大橋は長く感じます。眺めは抜群。

ここが、あの最上川の。

暴れ川の面影も感じさせない静かな水面は少し意外でした。でも7年前も静かでしたし、五月雨を集めていない季節はこんな具合なのかもしれません。その時感じた静けさも、心地よい風も、夕暮れに染まっていく姿も、全てこの時だけのものだと思うと惜しい気もしますが、それでいいのです。

こうして見ると鏡のようです。

萬寿屋さんは、2020年中止時の特産品セットでみそもちをいただいていたので、今回是非ともお邪魔したいと思っていました。迷いながらも選んだじんだん団子はあんの甘さもよいのですが、お餅が柔らかくてたまらなかったです。ぱいまんじゅうは自分のお土産用にしました。

やはり鮮度が違います。

道の駅で自転車をお返しし、お土産もチェックします。できるだけ長井のものを買いたいところですが、なかなか迷うところです。あまり見たことのないお菓子(うさぎ玉)と自分用のわさびチーズディップ木村家さんのチョコブレッドを買いました。

自転車の台数も多くて頼りになります。

長井ならではのけん玉スイーツも。

寄ったお店が夜は定食をやっていないとのことだったので、まあええかとヨークベニマルでフードロスの削減にご協力してきました(ケチなだけやないか)。糖質はどう考えても足りているので、たんぱく質を欲したのだと思います。

ツツジ公園は日没サスペンデッド。明るい時間に来たいです。

地域の牛乳は欠かせません。

諸々準備を整え、23:10頃に消灯です。早起きが祟って強烈な眠さ、なす術なしです。

レース当日

レース前

ゆとりのある準備

予定通り7:20くらいまで寝ていました。スタートが9:25と遅い上に参加人数が少ないため整列も緩やかですので、ギリギリまで寝るのが正解です。8時間眠ると脳も筋肉も元気度が違います。

朝食は昨日のチョコレートパン一枚にゆで卵、チーズ、牛乳のみです。出発前にプロテインバーを一本、スタート直前にアミノ酸を摂取していますが、雨で気温も低いので脱水もあまり気にしませんでした。多分給水なしでも3時間は走れる気候です。

普段朝食前に走っていますから。

暇なのでゆっくりトイレを済ませたり、シャワーをして髭も剃ったりしてから装備を整えます。道マラで剥がれた爪も今は全て問題ない状態です。ワセリンは足の指と体幹部に多めに塗っておきました。

会場までは歩いて15分もかからないのですぐに着きます。昨日とはまた違った雨の長井を見られてよかったのですが、足元のナイキフリーは既にぐっしょりです。まあしゃあないわなと割り切るしかありません。

これはこれでよいではありませんか。

会場では受付があり、あれ?と思いましたが、プログラムが配布されているだけで特に手続きはなくて済みました。芋煮の引換券が入っているとのことで、“早く終わらせて芋煮と再会したい”と士気が上がります。

この展示スペースも健在です。

手荷物預けは奥の体育館です。さっと預けて建物から出るかなくらいで既にスタート10分前のアナウンスがありましたが、それでも間に合ってしまうのが地方大会のよいところです。全体にピリピリしている人もおらず、何かと大らかな印象です。

全てにおいてストレスフリーです。

イカンガーさんのメッセージと宇野けんたろうさんの盛り上げで空気が温まったところでいよいよスタートです。雨で10℃くらいと涼しく、天候に恵まれたので軽く走れそうです。

あの日見られなかった景色を見てきます。楽しみ!
装備

シューズは、今シーズンワーストを叩き出した函館マラソンで着用した初代マジックスピードです。何故あんなに時間がかかったのかは、当日のブログをご覧いただければ分かるかもしれません。

savarun.hatenablog.com

シューズの性能は間違いありません。後は履く人次第。

持ち物はジェルフラスコ二つに経口補水液アミノ酸を溶かしたもの(片方にはマグオンを入れてみました)だけです。これで十分です。終了直後に飲めるようアミノプロテインアミノバイタルも携帯しますが、走りながらの粉摂取は基本諦めています。ジェルは指先の操作とゴミを落とさないようにと気を遣うので、このスタイルに落ち着きました。

練習・調整

月曜のこまつマラソン勧進帳の10km(40分ちょい)で刺激も入っていますので直前は程々の練習のみです。火曜スロージョグ、水曜有酸素ジョグ60分(139bpm, 195spm, 12km)、木曜スロージョグ、金曜アップテンポ1km(3分28秒、マジックスピード試走)、土曜オフ(※山寺ではしゃいどるがな。)です。観光メインのこまつマラソン勧進帳の記事はこちらです。

savarun.hatenablog.com

こんなタイム出せるわけないやろ。

レース

序盤~前半
  • 序盤:懐かしい景色と笑顔

スタートはフルもハーフも一斉です。すごく混みそうなものですが、参加者の絶対数が少ないからか快適に進みます。速い方々は光の彼方へ去ってしまいましたが、今日はいつも以上に我が道を行くのみです。

最初の右折がもう懐かしいです。“そうそう、この長閑な道を行ったなあ”と。雨で水溜まりも多く、時折突っ込みましたが、暑いより遥かにましです。出だしから難なくキロ4:30くらいが表示され、とにかく涼しくて楽な展開になりそうだと予感します。

序盤はひたすらフラットです。快適。

踏切を渡って北上していくとヨークベニマルも見えてきて、昨日一日で獲得した土地勘を確認します。馬肉チャーシューメンをいただいた新来軒さんも。ここからしばらく続く市街地エリアの応援の多さと温かさは、記憶の中の通りでした。雨なのにありがとうございます。ほとんどの方の応援に手を振ったり言葉を返したりと、笑顔でお応えできたと思います。

雨の中誘導・応援して下さる皆様に感謝です。

5km付近はこんな感じで、建物に歴史を感じます。

やはり絶え間なく応援が続いていました。

大きな通りを右折すると、色づきつつある並木道に入ります。ここは記憶に無くて、“へえ、こんな景色もあったのか”と新鮮な喜びがありました。左折してあかしあ橋を渡るシーンも覚えておらず、自分の記憶などいい加減なものだなと思いました。7kmの通過は31分30秒くらいだったと思います。

もう少しすると紅葉が映えることでしょう。

この橋の先も緩やかに下ってスピードが出ます。
  • 前半:あまり上らない上り坂

そうこうしているうちに羽前成田駅へ。駅舎もいい感じですし、応援も力になります。この先は田園風景の中を進みますが、前方に立ち込める霧が長井らしくて素敵です。10kmの表示の下のメッセージは、「上を向いて」だった気もしますが、二周目で見た時は「いつか終わる」という深淵なお言葉でしたので、記憶違いか周回で付け替えているのかどちらかだと思います。

駅前も応援とエイドで元気が出ます。

そして高低図では上っていることになっている11km辺りの坂もそれ程長くも険しくもありません。12kmの表示が見えたら左折して休憩タイムです。

徐々に坂へと向かっている時間です。霧がいい感じです。

ここだけはっきりと上っています。

左折してすぐにエイドがあり、食べ物が充実していたので二周目は止まろうと考えつつ給水します。右を見ると鯉の養殖場?があったので写真を撮りたかったのですが、“二周目でいいや”という甘えが出てしまいました。

この先しばらくは緩やかな下りでとても走り易いです。先程の上りで減速した分を取り返そうとしたのか飛ばしがちになる方も多かった印象ですが、私は独自路線を行っていますので、“ここはスマイルロードというのか”とか“草岡の桜が有名なのか”とか雑念まみれでした。温度計も11℃台でした。その中でも、ぐるりと囲む山の方から広く田んぼを見渡す景色が好きで、この眺めは7年前から何度となく思い出しています。

ここからも実に走り易いコースです。

ここからの眺めが好きなのです。

14kmで大体1時間3分と何秒か。安定しています。

中盤
  • 中盤①:マスカットの甘みと競技場への道

15km手前のエイドでもおいしそうなマスカットが見えましたが、気付くのが遅れたため見送りました。ならばとその次の17kmのエイドでは“フードあるやん!”と喜びながらゲットして、走りながらいただきました。贅沢なことに三粒も入っていて、長い時間楽しめます。上野川橋辺りではバテてきた方もいましたが、こちらはこの甘いマスカットの力で脳が活力を取り戻しまくりです。流石は山形です。

これは嬉しい給食です。

頬張りながら前を向きます。

左折してしばらく行き、右折する流れも、軽く橋を上って学習プラザに戻って来る景色も、“そういえばこんなだったな”と思うことの連続でした。徐々にあの時の記憶も甦ってきます。競技場に入ってまた出ていくコースも。

二周目だと39kmくらいですかね。

この幟も走路も、そうだったそうだったと。


中間点はグロス1:35:11で、これはどう考えても3時間10分は切れると分かります。観光の都合上3時間10分は最低ラインだと思っていました。

間もなく後半戦へと突入します。
  • 中盤②:変則周回コースを楽しもう

スタートのゲートを抜けて次は左折です。ここで一周目と逆に折れる演出がいいですね。次はどうなるのこの、と楽しみです。左の方からは、MCさんの声がまだ聞こえてきます。

ゲートがリングのようになっています。雨のお陰で。

左折すると新たな展開が待ち受けます。

今度は踏切を渡らずにフラワー長井線の西側を北上します。ここも前回は“一周目と違うのが楽しい”と面白がっていただけで景色はあまり覚えていませんでした。なので、今回はしかとこの目で見てきました。

ツルハドラッグの横を通るのかと。

実は長井駅から近くなのですね。

道中、寺泉トマトのハウスがあり、ここの名産なのだろうと考えていました。エイドでは“止まってマスカットを”と考えていたのですが、運の悪いことにすぐ後ろに真面目に走っておられる方がいたので減速するわけにもいかず、泣く泣く見送りました。

雨なので楽ですが、晴れるとかなり辛い一本道です。

“確かフラワー長井線と並走した気がする、あの日は暑かったけど”と考えながら北上します。本当に並走するのはごくわずかだったと今回走って分かりました。少し上げて28kmで2時間5分台だったと思います。

右手にフラワー長井線があります。
後半~終盤
  • 後半:エイドでの休憩を勝ち取れ!

さて、いよいよ二周目の上りが近づいてきました。ここで考えることはたった一つ、そう、上り切った後のエイドで如何に安全にピットインを決めるかです。平地では随分長いこと追尾される展開になりましたが、息づかいからして間違いなくここで離せます。ということで写真も撮りながらではありますが、ささっと上って左折し、余裕を持ってエイドで止まります。

お楽しみの坂へと向かう道です。まだ霧がきれいです。

この辺りは確かに上っていますが。

すぐに終わりが見えるのでご安心を。

ここでは勿論マスカットをいただき、やはり山形の偉大さを思い知ります。都会の大会だとどうしてもどこのコンビニでも買える袋菓子の個包装になりがち(スポンサーが大きいのでそういうもの)ですが、地方に行くとこうして特産品がふるまわれるのが最高に嬉しいです。

こんなによくしていただいて、感謝です。

パンはチョコパンだったと思いますが、これもよかったです。ゼリーはでかいのですが、折角所狭しと並べていただいているので俺は摂取すゼリーを選び、走りながら次のエイドまでに摂取しました。フルでここまでガッツリ止まる人もあまりいないでしょうから、エイドの皆さんもちょっと引いていたかもしれません。ごちそうさまでした。

記憶よりも遥かに沢山の給食がありました。すごし。

ここは1kmに5分38秒も要しており(ガーミンさん調べ)、いわゆる30kmの壁の高さを思い知ります(違う)。さっきまで近くにいた方々も遥か彼方へ走り去ってしまいましたが、何となく追いつける気もしましたし、後ろから詰める方が楽しいので全然OKです。食べることに夢中で鯉の養殖場をしっかり見られなかったのだけが心残りです。

この先は一周目と同じ緩やかな下りですし、苦しくなるはずもありません。温度計も12℃台とベストコンディションです。

自分の経験上、(暑さ以外で)落ちる時は心肺がきつくてというより、脚が動かなくなって力が出ないという展開が圧倒的に多いのですが、ここまで全く脚に疲労を感じていません。これは上げても余裕なやつだと分かります。リディアードのいう、疲れ知らずの体力というものはこの延長線上にあるのかもしれません。気持ち上げてキロ4分20秒台が続いていたようです。

二周目もここからの眺めを楽しみます。

35kmでグロス2時間38分4秒。「ここまで来たらあなたの勝ち」といったメッセージが盛り立てます。この辺りでリーチマイケル選手の仮装ランナーさんをお見掛けして、ナイスランですとお声がけしました。お会いするのは序盤以来でしたので、結構速いなと感心しました。顔塗り過ぎでしたけど笑

“それでも前の背中は遠いよなあ”と思っているうちに距離調整のために1kmくらいを行って帰って来る、7年前とは違うコースに至ります。ここは走ってみると案外長く感じました。給水もしばらく空きますし、疲れていると堪えることでしょう。こちらは元気ですので、“ここは新機軸だ。しかしワープマンが参加していたら見せ場なのでは”などとどうでもよ過ぎることまで考えていました。

なかなか折り返しが見えてきませんが、いつか終わります。

なんだかんだでここで追い付き、すっと前に出ました。あと5kmくらいですので最後くらいは上げることにします。38kmの上野川橋は少し減速したと思いますが、すぐにフラットになりますから全然いけます。左折後の直線でも落ちてきた方を抜いたのを覚えています。

38kmまで来たら終わったようなもん。

できるだけコースの思い出も残しておきます。

40kmを過ぎて最後のエイドは、もう絶対に持つので水こそ取りませんでしたが、笑顔でお礼を言って余裕を見せることができました。声は届いたので、スタッフの方も喜んでくれた様子が伝わってきました。

最後の左折から競技場へと進みます。

後は微妙に抜けるかという何名かの背中を見ながら会場に帰って来ました。ここで宇野けんたろうさんにハイタッチと共に「前いけるよ!」との檄をいただき、“あの時も「前バテてるよ!」と励ましていただいたなぁ”と重なりました。”競技場に入る前に一人抜き、最後のトラックに入ります。

トラックではふと、“この青いタータンが好きだから、記憶以外にも残したい”と写真を撮りました。そんな余計なことができるくらいなので、そう速くなかったのかもしれません。

この、走っている時の眺めを残したくて。

最後のコーナーでもう一人抜いて笑顔でフィニッシュです。7年前の自分に見せてやりたいし、あの時にこの大会に参加していてくれたことにお礼も言いたいと思いました。40km以降は9分5秒で、久々にちゃんと走れました。

皆様お疲れ様でした!

アフター

レース当日

会場にて(芋煮とおにぎりに感激)

ありがたくマスカットあんパン、お水をいただき、思い出のフィニッシュエリアと芝の向こうの山々を望みます。あの日からの時間と成長がありますので、2016年とはまた違って見えます。心は脳に還元できないのです。

うまい、ひたすらうまいです。

特にダメージはないことを確認してスタスタ歩き、ペットボトルの水(卯の花姫の涙。黒獅子伝説のことも知りました)と荷物を受け取って速攻で着替えます。観光スケジュールがみっちり詰まっていますので、ちんたらしている暇などありません。着替えやデオドラントは分かりやすくネットにまとめてありますし、ゴミも使い終えたジッパー付き袋にまとめます。自分史上最速の着替えになったと思います。大きく成長したものです(感じ入るところそこ?)。

マジックスピードさんもそれ程ダメージを受けていません。

そしてプログラムと共に当日配布された芋煮&おにぎり引換券を握り締めてテントへと向かいます。笑顔で手渡していただき、建物内で座れる場所を確保します。

これさえあれば無敵です。

そしてまず一口汁をすすると、もう牛肉と醤油の絶妙の風味が広がります。うわぁと思いながら芋に箸を進めると、これまたホクホクで柔らかな仕上がりでして、“これは完全に記憶の中の芋煮を超えた!”と思いました。身体が冷えていたこともあって、全身に染み渡っていく感じがしました。“山形の皆さんはこんなにうまいものを日常的に食べておられるのか……。”としばしぼんやりとしました。そしてつや姫おにぎりもまたおいしく、流石は米どころだと思い知ります。芋煮とセットというのがまた最高です。

こんなにおいしい芋煮を食べられる人生に感謝です。

食べ終えた後は感想戦囲碁将棋か)ですので、“七年ぶりに大阪から来て食べましたけど、こんなにおいしかったのかと驚くばかりです”といったことを熱っぽく語り、おばあちゃん達にも喜んでいただけました。「遠くから来たんだから」とおにぎりをもう一パック差し出していただいたのですが、ここは後から来られるランナーさんのことを考えてお気持ちだけいただきました。こうして大会を支えて下さる方と笑顔でお話しできるのは遠征で一番楽しい時間です。「いい人生ですね」というお言葉もいただきました。私もそう思います。これからもお元気でいて下さいね。

芋煮の鍋の大きさも是非間近で。

時間は押していますが、特産品ブースもありますので、ここで長井土産を買うしかありません。長井のソウルフード木村家さんのロールパンも買えてラッキーです。斎藤製麩場さんのお菓子(お麩タイム)も可愛く、職場で喜ばれそうです。

品揃えはかなり豊富でした。

宇野さんはラジオのパーソナリティも務めておられました。

うっかり長居してしまったので、急いで移動する展開になります。シャトルバスはタイミング的に間に合わないため、自らの脚のみが頼りです。傘を差してはいるもののリュックもシューズも濡れる一方です。しかも最後は走る羽目になりましたが、何とか13:47南長井発のフラワー長井線に乗車できました。赤湯での乗り換え待ち27分を挟み、15:13には山形駅に到着です。

荒砥方面への電車も見られました。すぐ開く踏切。

濡れていようが間に合えばOKです。

乗り換え待ちは貴重なお食事タイム。甘くて懐かしい味です。
山形城跡をちょっとだけ

蔵王温泉まで行ってしまうとそうそう洗濯ができなさそうなので、まずは山形駅近くのコインランドリーしゃぼんさんへ。洗剤も当然持参しています。洗濯400円、乾燥機10分100円です。洗濯中に山形城跡を少しですが巡ります。

遠征先ではコインランドリーの場所が死活問題です。

“お堀が立派だな、釣りも認められているのか”などと楽しく歩いて公園内へ。残念ながら16時で閉門、中の方には入れず、城を攻めあぐねている敵軍のようになりましたが、石垣は離れていても観察できますし、最上義光公の銅像も見られましたので十分です。戦のように野営して機を窺う時間はありませんし、ベストは尽くしました。

釣りが普通に認められているお堀は珍しいのでは。

目の前で門が閉ざされました。それもまたよき思い出です。

横から撮ると勇ましさが伝わります。正面からだと何も見えません。

台湾檜で親善を深めたそうです。

シベールさんは山形では有名らしいので、パン好きとしては見逃せません。しゃけちゃんちゃんスイートポテト塩バターを勧められるままに買ってしまいます。そして“惣菜パンはその日に食べなきゃ”とすぐに前者を食べ、期待以上の鮭と味噌の味にまた喜びます。

ポップの勧めに従います。スイーツも気になるところです。

想像よりおいしくてとても満足しました。

夕食は調べていたお店が17時を過ぎても開く気配がなかったため、駅前のぱっぷやさんへ。唐揚げが売りのようなので、唐揚げ定食(六個)を選択。揚げたてというだけでうまいのに、とってもジューシーでおいしかったです。やはり走った後は肉でしょう。

火傷や口の上が痛くならないよう、落ち着いていただきます。

時間の余裕は一切ありませんでしたが、何とか17:40発のバスに乗り込み、蔵王温泉を目指します。途中街の灯りが遠くに見え、わずかな時間でも結構上っていたのだと気付きます。

蔵王温泉にて貸切露天一本目

バスターミナルに着いて少し歩くと、そこはもう硫黄の香りが漂っています。いや、漂うどころかむしろ見えるのではと思うくらい明瞭なのです。暗い分、見返り滝(※バスターミナル近くにある)の流れる音と共に迫ってきます。初めてここに来た時に大いに衝撃を受けたことは覚えています。

正に温泉街らしい温泉街です。

お宿は蔵王温泉最上高湯善七乃湯さん。旧大平ホテルさんということで、7年前にお世話になったお宿です。きつめの坂の上の方なので疲れていると大変ですが、何せ今日は元気ですから問題にしません。フロントの方の対応も大変ご丁寧で、早くもここに来てよかったと思います。

そしてお部屋もきれいで言うことなしです。とにかく汚さないように、畳に上がる前に念入りにボディペーパーで脚の汚れを拭き取りました。荷物を整理して早速貸切露天風呂へ。何と6つ?もあってどれを選べばよいのか迷いますが、雨も概ね止んでいたことから福禄寿の湯という屋根なしのお風呂にしました。

ひ、広い。ここまでしていただかなくとも……。

シャワーもあるので念入りに汗を流していざ温泉へ。温泉の香り、肌触り、最適な温度、冷たい空気が混じり、生きているのか疑問に思うくらい気持ちよかったです。非日常の体験は、実際に訪れないと絶対に味わえないものです。どんなにお金があっても、時間と身体が無いと駄目なのです。

ラソンも走って露天風呂とは、恵まれ過ぎでしょう。

旅館の歓迎ぶりは手厚く、宿泊客なら牛乳も一本サービスだったり、豪華景品が当たる輪投げ大会や難しすぎるクイズなどの企画もあったりして嬉しいです。あの荻原健司さんや高梨沙羅さんのサインもありました。

大好きな低温殺菌牛乳です。とってもおいしくいただきました。

トップアスリートも蔵王で練習するのですね。

荷物を片付けて23時過ぎには気持ちよく就寝です。とても充実した一日でした。

翌日

蔵王温泉巡りと温泉三昧

静かで熟睡できました。旅館とは何と素晴らしいものなのか。6時前には明るくなっていたため覚醒します。外を見ると雨が降っていますので、ここは旅館の温泉に入って晴れるのを待つとします。

天気も踏まえ、臨機応変にプランを決めていきます。

まずは計量も兼ねて内湯へ。内湯も贅沢な源泉かけ流し温泉ですから香りも濃厚です。朝から早起きの方々が案外多かったです。

続いて貸切露天風呂(布袋尊)へ。こちらは遠くまで見渡せて爽快です。小雨に降られながらというのも風情があり、短い間でしたが小さな虹も出ていました。“そういえば前に来た時も夜中風が強かったな”と思い出します。

7時前からこんなにいい思いができるなんて。

幸運にも晴れてきたので、蔵王温泉をスロージョグ(キロ7分30秒より遅いくらい)で巡ります。酢川神社の階段はやはり結構長いのですが、途中川柳が掲示されていて面白かったです。「懐は 元々寒い キャッシュレス」といった感じのた秀作がいくつも見られました。

どうどうと流れる温泉よ。

斎藤茂吉の歌碑もありましたね。

上湯や下湯も気になるところです。

山寺よりは短いので普通の人でも大丈夫です。

ゲレンデやジャンプ台を見つつゆっくり巡りましたが、それにしても光も霧も緑も美しいこと。この季節の朝ならではのものだと思います。盃湖もまた訪れることができて、あの日何となくまた来たいと思っていたことが実現できたなと恵まれた環境に感謝します。

この光と沢山の細やかな色は日常では絶対に出会えません。

ジャンプ台なんて一生上に行きたくありません。

晴れてくれてそれはもう素晴らしい眺めでした。

見返り滝に落とすぞという子供への恫喝よ。

今回もここで折り返しました。もう十分です。

蔵王ロープウェイを見つつ引き返します。

温泉街はスキーシーズンが書き入れ時だと思います。きれいなお店もあって遊びに来るには楽しそうです。

蔵王温泉大露天風呂は7時からだと思っていたのですが、9時半からということで門は閉ざされていました。しかし夏目漱石『門』の宗助とは違い、一介のアグレッシブな観光客ですので、後で来ることにしてここは宿の貸切露天風呂をもう一つ楽しむチャンスだと切り替えます。

THE GATE

朝食は現実に戻しつつ、シベールさんのスイートポテトもいただきました。お芋もしっかり入ったよきスイーツでした。

やはりスイーツが気になります。ケーキ買わなきゃ。

お土産も増やしておきます。

貸切露天風呂(大黒天)でもう一っ風呂浴びます。明るさを増した空と木々の緑がきれいで、こういう時間が訪れるから生きていてよかったと思えるのだと考えるでもなく考えていました。貸切露天は少なくともあと三つは未体験ですので、また来なくてはと思います。

こういう生き方に憧れていました。

とっても快適でした。ありがとうございました。

9:30営業開始と共に蔵王温泉大露天風呂にも確実に入ります。700円+ロッカー100円と聞くとセレブ価格のようにも感じますが、この秘境の維持管理は大変ですので寧ろ安いともいえます。

大露天風呂は、紹介サイトで見られる通りの岩風呂に青いお湯、緑から色づきつつある木々の下、自然を最大限満喫できる場所です(勿論撮影禁止です)。実際に来ると、当然ながら視覚以外の要素が多く、というかそちらが強くて新たな力が芽生えます。力強い硫黄の香り、流れる温泉の音、熱いお湯と涼しい風に撫でられる心地よさ、それら全てをまた身を以て経験することができ、ありがたいことです。

泉質はこってりの強酸性ということで、お肌は明らかに普段と異なる滑り具合となります。石鹸も使えないとかどれだけ強いのか。何か色々と入れ替わった気がしますが、生物たるもの時折こういう刺激は必要なのだと思うところです。帰宅後と翌朝にシャワーをしても身体に匂いが染みついている(衣類も一度や二度洗ったくらいでは取れない)のもまた独特の思い出です。

一生に一度は訪れるべき場所だと思います。
蔵王御釜

急いで蔵王温泉バスターミナルに移動し、10:10発の蔵王刈谷(かった)山頂行きバス(片道1,470円)に乗り込みます。この一本を逃すとおしまいなので絶対に逃せません。出発時には晴れていたので“御釜を見るのは容易い”などとたかをくくっていたのですが、エコーラインに入って上るにつれて霧はどんどん濃くなっていきます。まあ駄目なら駄目でそういうものと諦めます。

バスターミナルは快晴でした。

バスから降りると風がものすごく強く、ビュービュー言っています。当然とても寒いです。フルマラソンを走った後は免疫力が低下するという話もありますので、普通の人には危ないかもしれません。前回の反省を踏まえて長袖にウインドブレーカー、更に中には長井マラソンタオルを羽織って大分ましになりました。まあ下は短パンですのでもうちょっと頭使えよという話ですが。霧が晴れるかは完全に運任せですので、レストハウスで体力を温存しつつ空が少しでも明るくなる時を待ちます。

ずんだ団子を食べるしかありません。

御釜について復習しておきます。

そうは言っても人間なかなか待ってはいられないもので、いずれ晴れるタイミングに賭けて外に出ます。横に飛ばされそうになりながら馬の背の方(御釜により近く、その威容が大きく見える)へ進んでいくと、ここで運よく霧が晴れてくれました。

この頃はもうだめかと思いましたが。

雄大な火口に長い年月をかけて雨水や湧水が溜まり、神秘的な彩りを映すその姿をまた間近で見ることができました。遠目に見ても恐ろしいですが、強酸性で生物は生息できないと聞くとなおのこと畏怖の念が強まります。

ついにその姿を見届けることができました。

御釜の見える時間は短く、すぐに霧の向こうに隠されてしまいます。しばらく待てばまた見えるはずですが、思い描いていた姿を見届けることができたので、もうこれで望むことはないと早めに切り上げました。一年で一番日常から遠い世界にいた気もします。仕事中にふと外を見て、“あの世界は何だったのだろう”と思ったりもしました。まだ耳元では風の吹く音が聞こえる気すらします。

名残惜しく、振り返りながら後にします。

あとは刈田山頂を目指して本気のパワーウォークで猛然と歩き上がりました。寒くて危険だと感じたのが理由ですが、普段鍛えておくと行動範囲が広がり、身の安全にもつながると実感した一幕でもありました。伊達宗高公命願の碑などがあり、霧と風でまた一層独特の空気を放っていました。蔵王には一度天気のいい日にも来てみたいものです。おそらく秋も深まっていくこの季節は、風も霧もこんなものなのでしょう。

山をなめると遭難するので、文字通り安全第一です。

ダメ押しにもう一御釜!(何その単位)

帰りのバスも1本のみですから、これを逃すとアウトです。13時発で蔵王温泉BTへ。帰りの山形駅直行便は2,050円と少しお得です。蔵王エコーラインの紅葉は前回印象深かったのですが、今回もやはり記憶の通りに美しく、見とれていました。

大自然の前には日々の悩みなどちっぽけなものです。
山形駅東側も

山形駅付近も観光しておきたいところですので、時間の許す限り散策します。マラソンとは違って積極的な姿勢は最後まで崩しません。駅をパッと見ると何と無料手荷物預り(二時間まで)があったので、身軽に移動できました。

こんなに都合のよい話があるものでしょうか。

水の町屋の辺りは御殿堰が整備されていてきれいです。お城への用水路のいわれも学べて面白いです。歴史的建造物もあるので、ちゃんと調べて行くのも楽しそうです。

お魚屋さんと八百屋さんの存在が光っていました。

旧西村写真館は大正十年築とのことです。

月曜定休日のお店も多く、それほど食べたい物は見当たりませんでした。それでも街のパン屋さんという雰囲気が好みだったので、パンドリームおーやさんへ。レーズン入りのくるみパンは具材ぎっしりで、かなりおいしかったです。お店のカードを見ると無添加パンが売りのお店で、また食べたいと思える味でした。検索してみるとブラタモリでも取り上げられた場所とのことです。

おかみさんもとっても優しそうな方でした。

16:30発のバスで山形空港へ移動し、17:50山形発19:10伊丹着の便で帰還しました。でん六の銘菓をお土産に追加し、長井のぱいまんじゅうを食べて締め括ります。餅が入っていて甘さもパイ生地の食感も全てが満足です。

山形といえばでん六でしょう。

長井は本当にいい所です。ありがとうございます。

山形空港だけでなく飛行機にもコンセントがなかったため電池切れでスマホは終了。QRコードが出ないとおしまいですので日中もできるだけ節電に努めましたが、まあそんなこともあります。楽しい楽しい山形旅行になりましたので、これ以上望むものはありません。新たに鮮明になった思い出と、硫黄の香りと共に日常に帰ります。

最後に

前回参加時にとても素敵な大会だと実感し、マラソン人生でもう一度は出たいと思っていましたが、ようやく念願が叶いました。記憶の中のいい所はそのままに、そして生まれる喜びは記憶を大きく上回るもので、このご縁に恵まれたことに感謝しています。7年間で自分も環境も大きく変わりましたが、今でも走り続けていて、そしてまたこんなに楽しい思い出を与えていただけるとは、本当に幸せな人生です。

長井マラソンはコース、応援、エイドとふるまい、更には観光まで全てが非常に素晴らしく、全国的に見てもとてもよい大会だと保証します。フルを92本走った人間が言うのですから、そう偏った見解ではないと思います。

これからもこの素敵な大会を伝えていかれることを期待しています。私もまた長井に行きたくなりました。いつかまたお目にかかれる日が来ますように。応援ありがとうございました!

ここまでご覧いただき本当にありがとうございます。

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