\ハァイ!!/ 「そして輝く ウルトラソウル」を付ければ五七五が決まります。2022年から頑張って復活してくれたこの大会は、今振り返っても思い出深いです。津山といえばある世代以上にとっては一度は訪れたい聖地ですよね。
身を以て思い知ったのは、自然豊かなコースの魅力ときつさでした。「コースはきついぞ みんなガンバッテ!!」と、かもランちゃん(マスコット)が仰っていたのですが、確かに280m上って下るのは今までにないしんどさがありました。
しかもこの日はスタート時で23℃という暑さで一層厳しかったです。当時の公式サイトの写真は男性二人が大変険しい表情をしてフィニッシュ会場に戻って来られたシーンのものだったのですが、その理由は走ればわかりますし、自分もあんな感じになりました。
ただ、この大会も苦しいだけではありません。25回目というだけあり地域に本当に深く根付いていて、駅からの送迎がバスではなく教習所の車両で恐縮したり、スポンジもよく冷えた水をしっかり吸っていたり、人口も多くないはずなのに多くの方が声を掛けてくださったり(私設エイドにはお好み焼きまで!)、これはすごいと感心する点が沢山ありました。流し素麺がレース中に味わえるのも初めての体験でした。この年は桜も残っていて、加茂川沿いの景色もよかったです。
事前情報は少なく不安もありましたが、行って良かったと思えるはずです。終わった後もバス待ちの間おばちゃんと一緒に応援していましたし、何故かそういう気持ちになる大会です。ランネットの点数以上の魅力がある、優しさに溢れた大会であることを保証します。
マラソン以外にも、津山さくらまつり、(タイトルからもお分かりの通り)B'zファンの聖地イナバ化粧品店、くらや等、自転車で回り、初めての津山を存分に楽しめました。
津山の皆様、とっても素敵な時間をありがとうございました!その名の通り、全国に誇れる大会を大切にしていってください!
前日(津山観光)
あの難コースの掛川・新茶マラソンからの連戦です。一応回復は間に合ってくれた(はずの)体で朝練をこなします(0:25'14",5.34 km,4'43" /km ウィンドスプリント3本)。この頃はシューズのフィット感を気にしていたようです。2023年の今であれば基本的に前日は一歩も走りませんが。掛川・新茶マラソンは今後どうなるか分かりませんが、とにかく最後の坂はこの世のものとは思えない苦しさで、印象深い大会です。
ガガガSPの津山の夜を聴いてから出発です。いくつか予定をカットしたものの最低限こなすべきこと(前日練習、函館フライト確定、食事、荷造り等)は終えて13時のバスに乗れたので上出来です。
加西SAでは特に何かを食べるでもありませんでしたが、長閑でよかったです。桜もまだ咲いていてくれました。途中の休憩もバス遠足の楽しみの一つです。
予定よりも早く2時間40分で着きました。サブスリーどころか市民ランナーではトップクラスです。子供の頃からいつかは訪れたいと思っていた津山に来ているわけですから、なんだか緊張してきました。
とりあえず今日のお宿、ホテルアルファーワン津山さんに到着です。最近の宿の中では一番きれいでした。大浴場もあるので完璧です。素泊まり6100円は十分納得の価格です。駅の真横という立地も完璧ですし。(アルファーワンさんは田沢湖マラソンの後には秋田で、中能登トレジャートレイルの前日には和倉温泉でと、度々お世話になっていますね。)
ホテルのサービスでレンタサイクルが無料でしたので、早速お借りして観光に繰り出します。吉井川を渡り、北上します。
津山城までやって来ました。津山さくらまつりは22時までいけるらしいので後でまた来ることとします。
自転車をシャカシャカ漕いで東へと向かいます。目的地は勿論あのお店です。山々と川を眺めつつ『裸足の女神』を口ずさんだりしていました。最寄り駅の東津山駅は更に駅舎も小さかったのですが、「この小さな駅から世界へと飛び出して行かれたのか……。」と逆に感じるものがありましたね。
ついにB'zファンの聖地イナバ化粧品店に到着しました。「うおー、ここがあの……!」という思いがこみ上げます。
店内は写真撮影は可、ネットへのアップは不可とのことでしたが、稲葉さんの昔の写真もあり、それをここで見られるという経験は他所ではできないわけですから十分です。昔色々嫌なことがあった時期にB'zに力もらっていたなあ、と高校時代に戻ったような気持ちになりました。何とも言葉が見つからない程、感慨深かったです。10代の頃の自分にいつか来られると教えてやりたいという思いが胸を満たしました。
そして何と稲葉さんのお母様(邦子さん)とも一緒に記念撮影していただくことができました。お母様は一日中お店に出ておられるわけではなく、たまたまタイミングに恵まれました。店員さんが撮影して下さったのですが、「ハイ、ビーズ!」という声に笑顔になります。本当にありがとうございました。何だか不思議な時間でした。
当然ながら店内には他にも聖地巡礼に訪れたお客さんもおられましたので、90年代にB'zに憧れたことのある方には是非とも一度は訪れることをお勧めしたいです。
ちなみに、町おこしの一環として『稲葉浩志君の想い出ロードマップ』という地図も存在します。私は後述のくらやさんでゲットしました(津山観光センター等にもあるかもしれません)。観光に活用しましょう。
津山は城下町の街並みを残しており、自転車で回るのも楽しい場所です。
少し遠回りをしつつ、岡山県立津山東高等学校にもやって来ました。ここの文化祭でボーカルを務めたことが音楽を続けていかれるきっかけになったのか、この坂を歩いて通学しておられたのか等とあれこれ思いが巡ります。胸熱です。やはり聖地巡礼は、この場にいるのだという実感に心震えるのがたまらないですね。
更に、稲葉さんの実のお兄様が経営されている旬菓匠くらやさんを訪れることもできました。店内は特にB'zを前面に出しているわけではなく(先ほどのロードマップが置かれているくらいです)、普通の高級な和菓子屋さんの趣でした。生どらやき桜クリームはかなりの美味で、春を感じながらおいしくいただきました。
さて、日もすっかり暮れたところで、津山さくらまつりへとやって来ました。桜の名所として名高い場所ですから、とても楽しみです。
ライトアップされた公園の中を歩きつつ、石段を上っていきます。実際に歩くと城の大きさが実感できます。明治の廃城令で建物が取り壊されたのは惜しいことです。石垣が極めて立派なものだけに、往時の姿を拝めないことが一層惜しまれます。
天守台で視界が開けるのも思った以上にきれいです。いい時期に来たものです。
狙っていた定食屋がまさかの休みだったのでホテル併設のファミレスでもちチーズハンバーグセットを食べて事なきをえました。カレーはおかわり二杯いっておきました。
レース当日
レース前(恐れ多くも個別に近い送迎)
起床6時半で睡眠は6時間程、割としっかり眠れました。電車が小さくてかわいいです。
レモンタルト、アップルパイ、くるみレーズンパン、おにぎりを食べました。今から見ると炭水化物を摂り過ぎていますね。水と経口補水液も飲んだもののヴァームは忘れました。
お風呂は疲れるので軽くに止めます。ワセリンは膝裏も忘れずに塗っておきます。テーピングは切れ込みなしでも問題なく貼れました。前回掛川新茶マラソンで擦れた甲には絆創膏を貼っておきました。
靴下はしわができたりテーピングが捩れたりしないよう、かなり慎重に履きます。ホテルでの準備はここまでです。シューズは引き続きミズノのイダテンです。
結構ギリギリまでゆっくりしてから駅に行ったところ、もう残りのランナーが少なかったからか、何と教習所の車で会場まで送り届けていただき恐縮しました。地域の皆様がここまで協力して下さるとは。同乗したランナーさんと他の大会の話をしたり、コースについて教えていただいたりで楽しいひと時を過ごすことができました。
緑豊かな風景に迎えられ、会場に到着しました。第一回は平成5年ということを認識し、改めてその歴史の長さに感心します。体育館では受付時にスペシャルドリンクを預かって下さる親切さ。よくわかっていないながらも折角だからと経口補水液ゼリーを託します。終盤の方が心理的に助かりそうですし、混雑もなくて取り易いと考え、35kmのエイドを選択しました。
シューズは丁寧に履きます。今までよりきつく締め、ずれが生じないように注意しました。結果的に、久々にどこの皮も捲れたりせずに終われたので、これはよかったと思います。計測チップももう少し付け方に工夫の余地がある気がします。
この日は晴天で、4月中旬にしてはかなり暑い日でしたので、暑さ対策を万全にして臨むこととしました。スタート前にネッククーラーを水で濡らしておきましたが、腕や帽子も濡らしてもよかったかもしれません。開始前に場内放送で23℃と聞いたので、サンシェードも迷わず装備します。10時スタートで気温が気になるところです。
土のグラウンドを歩いて緩い感じで整列です。「歓迎」のどでかいパネルが嬉しいですね。「頑張る人は前へ行ってください」というアナウンスがあり、頑張らない人(私を含みます)はどうぞどうぞと簡単に道を譲ります。実にのんびりした大会です。
もうすぐスタートです。もう暑いけど最後まで頑張りましょう。“灼熱への招待 ここじゃすべてがLive”です。
レース
序盤~前半(暑さに負けず緩やかに上り続ける)
スタート位置はあまり前には行けませんでしたが、記録を狙うわけでもありませんし、コース的に前半抑えると決めていたので気にしませんでした。最初の緩い下りは混雑で遅かったものの、気楽に走るのみです。集団でカニの被り物を装備されている方もおられて楽しそうです。
橋を渡って民家の間を走るエリアに入ってからは少しばらけました。後半上げるので、途中5'04"/kmを見ても動じず、ペースよりは暑さを気にして走りました。
スポンジはかなり積極的に取り、首、肩、脇を冷やしました。このスポンジがでっかくて冷たい水をよく含んでいるため、重宝しました。こういう所に長年の大会で培われたランナーへの気配りが見て取れます。
エイドのテーブルが短く、人が多いと水とスポンジを取るのが難しいですが、少々タイムロスがあっても取っておいた方がいいと思います。水を被る際にはシューズにはかからないよう注意します。大体15kmくらいでサブ3.5は行けるとわかりました。“イエス、 自分は間違ってない この先の浮き沈みも歌えば楽し”という心持です。
中盤(折り返してしまえば勝ったも同然、なのか?)
20km過ぎから折り返しまでの1km程はやや傾斜が急でペースが落ちたものの、折り返した瞬間に身体が軽くなり、逆風になったお陰で涼しさも感じられて生き返りました。こんなに上ったのかと思いながら景色を楽しみつつ、あとは15km程惰性で下るだけだと気楽にもなりました。景色的には弘前やいびがわが近いと思います。上る高さは倍以上ですが。
ここからは“堂々としてるフォーム なんかたぶんそんなカンジで きらめきを見逃さないように”走りたいところです。僕らは悩み多きスイマーだ!
下りに切り替わって7kmくらいは本当にすぐでした。途中、ザ・グレートサスケのマスクを被ったランナーさんがおられ、この暑いのに素晴らしい!と驚きを禁じ得ませんでした。エールを送ってどこかのタイミングで先に出させていただきました。
コース上にはまだ桜が残っており、日本の豊かな自然に感謝しながら走ります。
後半~終盤(お好み焼きや噂の流し素麺)
下りとは言っても、前半の上りで疲れたせいか4'46"/km程度までしか上がらず、今日はまあいいかという感じでした。おそらく30km付近だったかと思いますが、お好み焼きエイドで止まって食べる勇気がなかったのが悔やまれます。今なら絶対にいただきますね。先に到着されたランナーさんが止まって焼き上がるのを待つ姿はとても楽しそうでした。
お好み焼きをスルーしてしまったことに後悔しつつ、そういえば大会レポには流し素麺があるという情報があったぞと思い出しながら進みます。32km付近で前にいた女性ランナーが「ここかー!」と言って右に折れたので流し素麺に違いないと認識し、ここで一服します。当然ですが、上流から解き放たれた素麺が下で箸とつゆの入ったカップを構える我々の元へとたどり着くまでは止まって待つしかありません。もうタイムなんてどうでもいいじゃありませんか。暑い日にいただく素麺ののど越しもよく、つゆで塩分を補給できたのもまたよかったです。
それにしても何故写真を残せていないのか……。当時の自分には余裕がなかったのだと思いますが、もうちょっと頑張ってくれよという気もします。
流し素麺のお陰で心身共に回復したとはいえ、暑い日であることは変わりません。下りの途中、おそらく流し素麺の前くらいだったと思いますが、民家の方がシャワーで水をかけて下さり、津山の皆様の優しさが心に沁みました。
応援の多いエリアに戻ってきて、35kmでスペシャルとして置いておいた経口補水液ゼリーを受け取ります。これで回復しましたので、“すわあとは橋を渡って残り4kmを上るだけだ”と思ったのですが、この最後の緩い上りが地味に苦しい時間でした。確かに大会レポの噂通りです。それでも下りで大分離されたターサーもここで捕らえ、他にも何人も抜くことができました。お互いヘロヘロでしたけど、ちょっとだけ頑張りました。
スタート時に目にしたアドバルーンを遠くに見て、“あそこまで行かなくてはならないのか……。”と思いつつ、腕を振る気力もさほどないままに、応援に弱々しく応え最後の坂を上って会場へと帰って来ました。ここは応援も多くて見せ場でもありますから、次こそは何とか力強く走り、笑顔で応えたいところです。
最後の最後は土のグラウンドを二周します。“一周では許してもらえないのか!”という嘆きもありつつ、ギャラリーの多い中を二周も走らせていただけることに喜びも感じる時間です。ここだけは頑張らなくてはなるまいと“そして輝くウルトラソウル”を発動し(※スパート時に脳内で音楽が流れる余裕などはありません。あくまでも気持ちの問題です)、グラウンド勝負で2人は抜きました。どうにかこうにかフィニッシュです。
結果的に後半は82人抜いて二桁には入れ、ちょっとお得感がありました。暑さと坂はきつかったのですが、対策も含めて成長を実感できるレースにできました。
後日、大会実行委員会様からフィニッシュシーンの写真が届きました。予想していなかった分嬉しく感じます。暑さで疲れていましたが、ちゃんと笑顔で嬉しそうにゴールしていました。この写真を見て、いい大会だったなと改めて思いました。命あるうちにできるだけ走りたいと、走る喜びにまた気付かされた日になりました。
アフター(なんとも穏やかな気持ちで応援)
暑さにやられて水をがぶ飲みしましたが、食欲は衰えることを知りませんので、ふるまいのカレーに続き豚汁、焼鳥、パイシューを食します。豚汁はごぼうがうまかったです。この間、水二本とコーヒーも飲んでいます。
一通り食べて満足した後、シャトルバスまで時間があったので、しばし戻って来るランナーを応援します。最初は一人で見ていたのですが、いつしか近くにおられたおばちゃんとも一緒に応援していました。何故だかそういう気持ちにさせていただけるのです。地域に根付いた、優しさに包まれた大会です。
津山駅まではシャトルバスで送っていただけます。本数は少ないので早目に並ぶ必要があります。時間に余裕があれば温泉に行きたいところですが、今回はちょっと厳しかったです。車窓から見えるランナーに、心の中でエールを送りながら会場を後にしました。
大阪へのバスまで少し時間がありますので、未練たらたらで津山を観光します。
津山といえば津山ロールです。津山来たら食べるしかないやろということで迷わずいっておきます。桜ロールはうまかったです。お店の方ともマラソンの話をして仲良くなれました。完走しましたと言っただけで驚いていただけるのは何だか照れ臭いですね。
森忠政公岐阜城大脱出劇、なかなか活きのいい顔嵌めパネルを採取しました。布団を敷いて受け止めたらしいです。これだけ見るとギャグのようですが、説明を読むと相当の覚悟で決行された命がけの大作戦だったことが分かります。
津山観光センターでお土産を買い津山を後にします。色々回れましたし、素敵な思い出もできました。本当に、来てよかったです。
家に着いてからも津や〇(まる)けーきをいただき、思い出に浸ります。
最後に
いかがでしたでしょうか。走ったことのある方もそうでない方も、津山加茂郷フルマラソン全国大会に出てみたいなとか、津山に遊びに行ってみたいなとか少しでも思っていただけたらとっても嬉しいです。と言いますか、書いている本人が一番楽しいわけでして、次に走る時は堂々と余裕を持って走り、お好み焼きも流し素麺も堪能したいという気持ちが再燃しました。
想像以上に魅力のある大会なので、是非多くの方に走ってみていただきたいですし、感想を語り合えたりしたら最高ですね。
こうして振り返っていて、自分は本当にB'zが好きで、小学校高学年頃から随分と長い間支えていただいたのだなあと実感しました。自分が残してきた過去と今の自分がつながる旅でもありました。大人になってから一度でもマラソンを走ることや、まして全国を旅ランで巡ることなんて想像だにしませんでしたが、あの頃の自分が今の私を見たらどう思うでしょう。きっと、肯定してくれると思います。
繰り返しになりますが、正に全国に誇れる素晴らしい大会です。津山の皆様、素敵な思い出と応援をありがとうございました!
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。