毎年日本で最初に開催される公認フルとして知られるいぶすき菜の花マラソン、2017年から6回連続の参加になります。飽きないものかと思われそうですが、一度出てしまえば休むことなど考えられなくなりますし、「走る走る菜の花の中~♪」のメロディが頭から離れることもありません。
毎回書いているので知ってるよという声が聞こえて来そうですが、指宿の皆様の応援が多くて、また温かいのです。バンド、お囃子、太鼓、踊り、エンドレス負けないで等々最後の一人まで背中を押して下さります。大会以外でも、温泉でお話ししたり、宿のオーナーさんがとてもご親切にして下さったり、普通に道で歩いていても笑顔でご挨拶できたりで、心が柔らかくなります。鹿児島の皆様は、(日本の別の地域と比べても)明らかにフレンドリーです。
“エイドがすごい”という評判もご存じかと思いますが、これは実際に走ってみると本当に驚くと思います。至る所に特産物やお菓子、ドリンクを用意して下さっており、走っている間は勿論のこと走り終えた後にもいくらでも食べさせていただけるというご親切ぶりです。鰹の腹皮、お餅、みかんから手作りパウンドケーキやふくれ、お漬物まで。
記事の詳細をご覧いただけると分かると思うのですが、結構真面目に走ってしまってあまり給食をいただくことができませんでした。写真を見ると“食べとるやないか”と思うかもしれませんが、これは本当にごくごく一部なのです。全部食べていたら日が暮れます。
穏やかな大会名と制限時間の長さに油断しがちですが、第41回大会のイラストをよく見てください、めっちゃ上ってますよね。遠近法とか表現上の演出とかではなく、本当によく上るのです。前半無理すると後半大変な利息を支払うことになるパターンです。その分景色は抜群に素晴らしく、退屈に感じている暇などありません。池田湖、菜の花畑、開聞岳、竹山、山川港など、指宿の自然を満喫できること間違いなしです。
そして今回は招待選手として川内優輝選手が参加されていたのですが、とにかくプロ魂(マラソン界を活気づけようという熱意)が素晴らしく、盛り上げに盛り上げておられました。本業の走りで圧倒的な力を見せつけた上で、瀬古利彦さんとのステージ、じゃんけん大会、M高史さんとのステージ、マラソンキャラバンでの記念撮影など、本当によくここまでやって下さるなと。
私も記念撮影をお願いし、別大で100本目ですとお伝えすると、“別大で100本って最高ですね”とお言葉をいただきました。これは本当に励みになります。
走りは前半1時間36分程、後半1時間33分程のネガティブスプリットでした。昨年より上手く走れ、別大に向けて手応えがありました。
(155bpm, 191spm, ストライド1.17m, 上下動比5.4%, 上下動6.5cm, 左右接地時間バランス48.7%:51.3%, 平均接地時間233ms)
今回は前泊、後泊共にいぶすきで、恒例の天然砂むし温泉は勿論のこと、たまて箱温泉にも行くことができ、あの奇岩竹山と目の前に広がる海と一体になるような時間をゆったりと過ごさせていただきました。
何度走らせていただいても楽しく、また帰ってきてしまうのがいぶすき菜の花マラソンです。指宿の皆様、今年も素敵な時間をありがとうございました!来年も懐かしい思い出抱いて会いに来ます!
2023年、2020年の記事はこちらです。毎回こんなに歓迎していただけるとは、何と贅沢なことかと。
ちゃんと読んだのは初めてなのですが、大会の歴史が熱いです……。
私設エイドすご過ぎ事件としては、はが路ふれあいも推したいところです。
続きのページは書きたいことが多過ぎて大長編になっており、通読される方は(筆者である私以外)いないはずですが、コースの様子やエイド、観光情報などを知りたいという方は、該当箇所の写真だけでもご覧いただけると嬉しいです。“誰かにいぶすきの魅力を伝えたい、知っている人とは語りたい”と思っています。
コメント、スター、↓のバナークリック、その他のSNSでも何でもいいので、何らか反応をいただけるとモチベーションが上がります。「一文字も読んでいませんが指宿が好きです」といったコメントも大歓迎です。
次回予告は、“お茶とうなぎの西尾においでん!”です。
前日
関空から鹿児島へ
関空9時5分発のピーチということで、8時前には空港に到着しておきたいところです。前日ワクワクして寝不足になり楽ではありませんが、6時起きで間に合うので大丈夫です。ヨーグルトを食べ、歯を磨き、爪を切って余裕で出発しました。
久々の関空はやはり遠い(更に7時台でも電車が混んでいて辛い)ですね。駅からがまた遠い。2020年2月におきなわマラソンに参加するために来て以来ですのですっかり忘れていましたが、ターミナル2に行くにはバス移動があったんですね。やはり早めに到着しておいてよかったです。そして保安検査の後から搭乗口までがまたとてつもなく遠いのでした。
運賃は7,250円。全てのオプションを拒否した当然の報いとして中央の座席に割り振られます。両隣が巨漢の米国人男性だったりすると肩身の狭い思い(物理)をしますが、共に日本人女性という僥倖に恵まれて事なきを得ます。
ちなみに帰りはアイベックスで9,340円で収まりましたので、バス代を入れてもかなりお安く移動できたと思います。時間は新幹線と大きく変わらないのですが、新幹線はお得なきっぷのクリック合戦で敗北する可能性も高いので、飛行機を選ぶことがほとんどです。
鹿児島空港→鹿児島中央はバス(1,400円、大体40分)です。車内でも支払いはできます(先払い方式)が、券売機で買っておく方が楽な気がします。移動中にマルクス・ガブリエル『日本社会への問い』(NHK出版2023年12月10日初版)を読みつつ、90年代で足踏みしているということは大阪にも当てはまるが、金沢はまた全然違う価値観で街を作ってきているなといったことをぼんやりと考えていました。
鹿児島中央
お昼はサフランさん
今回の旅程を組むに当たって、やはりいつものお店は外せないということで、サフランさんで昼食を取ることに決めました。創業44年の老舗、常連さんがいつも楽しそうに話しておられます。今回も迷わず極上黒豚カツカレー(サラダセット)を注文し、待つ時間すら楽しみながら過ごします。
一年ぶりの味は、もう懐かしいくらいのレベルです。カツが大きく、揚げ具合も絶妙、“これは誰かに是非食べてほしい”と来る度に思います。そしておいしくいただき、ごちそうさまでしたと共に“今年も菜の花マラソンです”とお伝えすると“大阪の方ですね”と覚えていていただき感激しました。奥様もご主人も喜んで下さり、お客さんにも応援していただけるという鹿児島の皆様の温かさに触れる時間でした。
丁度12時を過ぎてお店が一気に混みだしたこともあってゆっくりはお話しできなかったのですが、笑顔で鹿児島の旅をスタートできました。他のお客さんが、能登半島地震の寄付について話しておられたことも、胸に沁みました。
鹿児島名物食べ歩き
駅前のアミュ広場では、今年も鹿児島県内の商工会のフェアが開催されていましたので、きんかん饅頭と姶良郡×2(グングン)バーガーをいただきました。鹿児島といえばきんかんでしょう。甘みと酸味の調和がそそります。バーガーは普通にかぶりつくと崩壊する分厚さなので、バンズのポイントを指で押さえて巧みにいただきます。実は二重のチキンカツがタルタルとマッチしているところもミソかと。
鹿児島に来た以上、かるかん(軽羹)も食べておかねばなりません。とらやにて、ストレートに味わえるよう、あんなしを選びました。かなりおいしいのですが、説明は難しいですね。羊羹でも饅頭でもカステラでも、無論餅でもありません。しっとり柔らか、甘すぎないのも好みです。
鹿児島中央から指宿へ
続いて、鹿児島中央13:02発→いぶすき14:17着で移動です。実は6回目の参加にして初の試みなのですが、指宿に前泊・後泊することにしました。いつもなら宿が取れずに鹿児島中央で連泊するのですが、今回は気合が勝りました。毎年当日早朝のJRが大変なので、指宿泊は大助かりです。
電車は本数が少ないので、どうしても座りたければかなり早い時間に乗車する必要があるでしょう。私は10分前に行っても立つことになりましたが、荷物が少なくて途中で降りそうな方の前を狙えば、半分くらいの時間は座れると思います。
電車では『古代日本の超技術』(志村忠夫著、ブルーバックス)を読んでいましたが、五重塔が倒れない仕組みや、木材の使用法についての先人の知恵は素晴らしいなと感心しきりです。降りる際に本をポケットから落としましたが、親切な方に教えていただき感謝です。
指宿観光
初めての前日会場
指宿ではお宿から会場まで、ファンランにご参加される方(薩摩川内よりお越し)とあれこれ話しながら歩きました。走歴12年の人生の先輩で、鹿児島マラソンも何度も完走されているとのことです。“今年の鹿児島マラソンでそろそろ締め括りを”とも仰っていましたが、おそらく走り切った後にはまた続けたいと思われると確信しています。
会場では参加賞Tシャツと鰹節、参加プログラムを受け取ります。更に菜の花漬けまでいただき、早くもこの大会ならではの歓迎し過ぎぶりを思い知ります。スポーツ用品の販売もあり、愛用しているミズノ360°マルチポケットパンツがあったため即買いしました。収納力に秀でていて、スマホやジェル、サンシェードや手袋、果ては捨て損なったゴミまで大容量で保持してくれます。
外にはミズノブースもあり、WAVE REBELLION シリーズの試し履きができるということでしたので、空いている前日のタイミングで履かせていただきました。PRO 2はかなり弾む感覚で、自分の筋力では持たない気がしました。立った感じは柔らかめで、足裏へのダメージは少なくて済みそうですが、今時の厚底ならいずれも足裏は無事なので、そこは大きなアピールポイントにはならないかもしれません。履きこなすためには、股関節や体幹の使い方としなやかさが求められそうです。
FLASH 2の方は感覚的にはヴェイパーに近いのか、これなら履けそうだという印象です。スピードを出すとまた感覚は変わりますが、そこまで沈み込む感じでもありませんでしたし。かかとのホールドがしっかりしているのがミズノらしくて懐かしかったです。アッパーはいずれも良い感じでフィットしました。
スタッフさんには、古くからのミズノファンであり、エンペラーは特に素晴らしいと思っていること、箱根駅伝でも着用した選手が増えつつあり、これからも是非頑張ってほしいことなどをお伝えできたのでよかったです。FLASH 2はフルで使えそうですが、他方、今家で出番を待っているシューズ達を思うと、これ以上増やすのかという葛藤もあります。
前日会場に来たのは初めてでしたが、出店がしっかり並んでいて、走らない人でも楽しめます。パンは明日買うとして、オクラみつのわらびもちが気になったので買ってみました。何がすごいってオクラみつの粘り具合がすごいです。容器から押し出しても押し出しても戻っていくくらいの粘りです。これは身体によいに決まっています。おいしいだけではありません。
パン活
gardeさんは、“指宿にこんな洒落たパン屋さんがあるのか!”(指宿に謝れ)と思う程お洒落なお店で、並んでいるパンも魅力にあふれています。ショコラケーキ、クリームブリュレ、ソフトレザンを買いましたが、夕方に再訪してリンゴのクイニーアマンを追加してしまう程おいしかったです。宝石のように光り輝くキャラメリゼが人を惹きつけてなりません。マラソンの応援もしていただきありがとうございます。
bagel.mさんも土曜のこのタイミングしか行けないため、絶対に外せません。迷いに迷って知覧茶大納言ミルクとクランベリーホワイトチョコにしましたが、多分どれを選んでも正解だったと思います。知覧茶と大納言、練乳の相性も絶妙でしたし、ホワイトチョコが不思議とおいしかったです。
お宿
指宿静香さん、の本館のはずだったのですが、“二泊するし離れでいいよ。そっちの方が広くて会場にも近いし”という突然のご配慮でそちらに移動する(しかも車で!)という謎のご厚意に恵まれます。一人にしては広過ぎるのですが、お言葉に甘えて過ごさせていただきました。そして宿代が何と二泊で9,000円で、払う時に「安っ!」と言いそうになりました。
ただし民家なので、夜に出歩くと迷子になるリスクがあります。私はなりましたが、Googleマップの履歴からどうにか帰還することができました。と言いますか“出かける前に何故地理を確認しなかったのか”と自分に問いたいです。
夕食
考えていた定食屋さんは第2土曜定休日ということで、レース後に回します。昼から大量に食べていますので、もう足りているかなという気もしました。少し野菜も欲したこともあり、タイヨーさんにてフードロスの削減に貢献し(単にケチなだけや)、ベーグル、クイニーアマンと共に早めの夕食としました。棒棒鶏は普通においしかったです。
コース終盤で気になっていたお菓子の小田屋さんの若鮎をデザートにし、やっぱ求肥はいいよなあと再確認します。そらっちは後日のお楽しみに取っておきます。
温泉(やはり鹿児島の方はフレンドリー)
指宿の街中を歩いてみて、辺りを温泉が流れていることを知った(湯気が立ち上っています)ので、近くの銭湯に行くしかないと、東郷温泉さんへ。350円と驚きの安さです。そして鹿児島の銭湯文化なのか、洗い場に入る時に挨拶をして、お風呂に浸かりながら話したりするのがとても楽しかったです。
そもそも蛇口から出るお湯が熱過ぎてネタになるので、それだけで初対面でも話せるくらいなのですが、加えてマラソンに参加される方、ボランティアで誘導をして下さる方がおられ、伝えたいことが溢れます。当日見つけることは難しいのですが、健闘を誓ったり、応援よろしくお願いしますとお伝えしたりできたのは(少なくとも銭湯では)初の経験で、貴重でした。やっぱり鹿児島の方はフレンドリーです。
例年なら超早朝に出発ですが、今年は会場がすぐ近くということもあって夜も余裕があります。翌日の準備を済ませ、0時頃に就寝です。
レース当日
レース前
会場も近いのでギリギリまで寝る作戦を実行します。しかし7時10分起床は流石に遅かった気もします。ゆで卵、レーズンパン、チーズとプロテインバーに牛乳で程々に栄養を取ります。
装備を整えて宿を出たのが8時過ぎ。信じ難い程の遅さです。ここが鹿児島中央だったらDNSです。会場までは徒歩15分程で到着でき、体育館二階に荷物を置くと共にシューズを履き替え、貴重品を預かっていただきます。貴重品預かりはありがたいサービスです。
いつもであればなのはな館の比較的空いているトイレで万全の準備をするのですが、時間もなく身体の重さも感じなかったので、そのまま整列します。結果的に特にトイレトラブルもなく、レース前数日間の過ごし方さえ問題なければ心配はいらなさそうだと分かりました。
今年も瀬古利彦さんはノリノリで、「私が日本中のいい天気を集めてきました!でもやり過ぎました!」と最高気温18℃の予報を受けて笑いを取ったり、「川内君!速く走れば暑くなる前に終わるよ!」などと盛り上げておられました。それだけではなく、「能登半島地震で被災された方に元気を届けるような走りを」という言葉もあり、今日は頑張ろうという気持ちになりました。
今年はゲストランナーのM高史さんの現状打破コールがあったり、菜の花大使のお二人がフルに挑戦するという紹介があったりと、いつも以上にお祭りムードが帰って来たように感じました。
いぶすき菜の花マラソンの開会式はある種独特の、ちょっと面白い空気です。「レース中の飲酒は控えて…」という他ではなかなか聞けないフレーズが飛び出すこともあれば、始まる前にランナーが勇み足になりかけると「まだですよ、まだですよ」というアナウンスがあって笑いが広がったり。その一方で、スタート前は静止するように繰り返し求めたり、終了後のシューズの厚さ測定があったりと謎の真面目さもあり、そういうところが面白いです。
【ちょっとだけ真面目な話】
装備
シューズは本気でない時のレギュラー、マジックスピードさんにご登場いただきました。金曜にズームフライ4でジョグをした感覚がよかったので、坂の多いコースではズームフライの方がいいかなと思いつつも、最終的には“でもまあソールの減り具合からいってもマジックスピードだよな。折角川内さんも来られるからアシックスの方がいいでしょう”と選択しました。
上はアンダーアーマー水色です。Tシャツでもよいくらいの意気込みですが、やはり気温は気になるので、涼しいものを選びました。ランパンは、あれだけミズノのものを褒めておきながら、今回はTIGORAのマルチポケットパンツにしました。Lだと緩い気がしたのでMを試しましたが、一本走ってみた感想として、こっちの方が体形に合う気がしました。
テーピング、ザムストハイソックスはいつも通りです。シューズが濡れて小指が擦れる可能性も考え、ワセリンは普段より多めを心掛けました。
持ち物はやる気がない時の定番、経口補水液とアミノ酸を混ぜたジェルフラスコ一つのみです。エイドで食べまくるので手ぶらでもいいのですが、まあお守り程度に。昨年の教訓を踏まえ、朝のうちにアミノ酸粉を摂取しておきました。これは終盤に効いたかもしれません。後は終了直後用のアミノプロテインとアミノ酸だけです。
練習
元日から長い距離を中心に走りこめました。休みの日は大体有酸素ジョグで2時間以上です。信号で止まることも多かったですが。確か一週間で150km弱くらいだったと思います。
閾値走5kmも、金沢市民芸術村の砂利道と大阪城公園の舗装路で合計4回できて満足です。脚の頑丈さはジョグである程度の水準に達したため、心肺を鍛えられれば結構いけるのではと考えました。
閾値走は砂利道一回目は20分以上かかりましたが、次は19分40秒台、舗装路では19分20秒台でした。金沢ではエンペラージャパン白、大阪城公園ではHanzo Rとどちらも薄底です。
ガーミンさんは一週間くらいアンプロダクティブで(多分閾値走のスピードが落ちたのと誤計測で190bpmが出たりしたのが災いしています)、レース予測も年末から7分くらい落ちましたが、直前一週間で練習量を落としたところ上向きに転じ、結局ピーキングと表示されるようになりました。ネタですが昨年より数字はよいですね。
レース
序盤~前半
- 序盤(3km過ぎたくらいから坂の洗礼)
まずは歩きながらスタートブロックを撮影し、平坦な道を落ち着いて進みます。最初の直線からとにかくにぎやかで嬉しいことです。ブラッセだいわ、二月田駅と跨線橋との関係は、6回目にしてようやく理解しました。
スロースターターぶりに定評のある私ですので、ガーミンさんが序盤で4分40秒台を示して焦らせたり挫けさせようとしたりしても動じることはありません。“今日は駄目かもしれないな。でも大体毎回こんな感じだよな”と思いながら跨線橋を下り、交差点へと進みます。ここでは今年もバンドとお囃子の応援があり、早々に元気をいただきます。
“もしかしたら割とフラットなのかも”という初参加ランナーの淡い期待はこの先の農免道路に入った辺りから脆くも崩れていくことになります。坂が待ち構えていそうな気配が高まってきたなと思う頃には目の前に二段階の坂が出現します。正直ここで息が上がっているようではこの先の苦難には耐えられないので、ペースを抑えた方がよいかもしれません。
とにかく二段階はやり過ごし、右折してちょっと下って油断させたらやや長い坂が二つ続き、その途中で5kmを通過します。確か23分30秒以上はかかっていたのではないかと思います。その後軽くうねって最初の波は終了です。この時点で遠くの田畑が見渡せるまでに眺望が開けます。普通の人は驚くと思います。
坂を下ると右折するところでバンド演奏、今年も「走る走る俺たち」でした。「走る走る」という文字を見た時に「菜の花の中」が続くようになれば一人前(?)です。実はこの時点でまだ最初の給水には至っておらず、左折してもうひと上りして、下った先で最初のエイドとなります。ここで給水の種類とゴミ箱の間隔を把握しますが、最後のゴミスペースは大きな仕切りで区切られているので、そこに捨てられれば大丈夫です。
- 前半(池田湖の菜の花畑)
“エイドから少し行けば池田湖の菜の花畑だ”と思いたいのが人情ですが、なのはなマラソンはそんなに甘くはありません。まず一回上ることとなり(偽の池田湖への坂)、“今度こそ池田湖かな”と思わせておいてもう一度上ります。勿論間には下りがあるわけですが、二回目の、池田湖に向かう本当の坂は結構長いです。
とにかくここを乗り切れば下りに転じ、急に楽になります。“ここでこれまでの遅れを取り戻すぞ”と言わんばかりにすごい勢いで下っていく方も多いのですが、個人的にはそれをやってしまうと後半の失速ぶりが大変なことになるのではないかと思っています。
池田湖への下り、そして池田湖周辺には応援の方が本当に多く、沿道を埋め尽くしていただけます。ここは笑顔になりますし、池田湖、開聞岳、菜の花が揃ってとても美しく、是非とも走ってみていただきたいところです。今年はファンラン部門があり、フィニッシュはここですので、“フルはちょっと……。”という方にはファンランもおすすめです。
池田湖ではカヌーから手を振って下さるのもおなじみです。リズムも刻みやすい道で、段々調子も上がってきます。ところで忘れてはならないのですが、実はこの先また上りが待っています。確か15km地点は上りながら通過したような記憶が。あと、14kmの通過は1時間4分30秒くらいだった気がします。
中盤
- 中盤①(開聞岳と豚汁と)
開聞岳が目の前に迫ってきます。“上の方に雲がある……。でかい……。”と何度見てもその迫力に気圧されます。豆腐エイドは今年もタイミングを逸して入れませんでした。すみません。
オカリナ、太鼓などの応援にも力をいただきます。開聞岳を背負っての太鼓はとても画になる光景だなと思いながら走っていました。
この辺りでチョコレートをいただいたのですが、ランナーが食べやすいよう袋に切り込みを入れていただいており、細やかな心配りがありがたかったです。
毎年書いていますが、枚聞(ひらきき)神社のエリアはスピードに乗りやすく、応援も多いため、張り切って進めます。今年はふなっしーの姿を見つけられずにショックを受けましたが、きっとどこかで休憩していたのだと信じて進みます。
昨年は一時停止となった交差点も無事に通過し、開聞岳に向かって皆で突撃する時間は終わりを告げます。左折したところで舞踊の歓迎があるのもいつもと同じで嬉しいです。コロナ前には、陸橋前にも大規模私設エイドがあったのですが、今日は見られず残念です。
陸橋は少し上る程度ですのでよいのですが、下った先から結構長い時間上りが続きます。それでも折角ですので応援して下さる方には笑顔で応えながら進みました。苦悶の表情より笑顔の方がいいですよね。上りが一段落つくとまた楽々と下る時間です。20km地点は下りながらですので気楽です。
ここの下りで、「豚汁まであと1km」「500m」「300m」といった表示が頻りに現れますので、“豚汁は絶対に食べなくては”という気持ちが高まります。公設エイドで水をいただき、軽く喉を潤してから、いざ歩道に乗り上げて豚汁です。周囲は真面目に走っている人が多く、一番乗り(かは不明ですが少なくともまだレアなはず)できますので見せ場です。大喜びでおいしくいただき、お礼をいって(後続ランナーに気を付けつつ)走りだします。
中間点では1時間36分台で、これは昨年よりも遅いのではと思いました。
- 中盤②(26kmの常盤建設エイド)
中間点過ぎには毎年私設エイドが展開されており、脱水に陥ることはまずありません。こちらでは乳酸菌飲料を手渡していただき、糖質も取って血糖値を回復させます。
この辺りで考えることは、“フラワーパークまでの上りがどれくらいだったかな”ということです。上ることは確定していますので、その長さと斜度が気になるところです。実はここはそれ程辛い場面ではなく、耐える時間も割と短いです。左折したらフラワーパークかごしまです。
フラワーパークは笑顔の応援も多いですし、南国の植物園という空気がランナーを和ませてくれます。この時間と思い出を共有することで、お互いに明るい気持ちになれれば、とても嬉しいことです。
徳光(とっこう)公民館への道も上りですが、ここまで来たら常盤建設エイドという心の支えがありますので、そこまで辛くは感じないと思います。進んでいくと、クレーンから吊るされた沢山の黄色のフラッグが現れ、昨年以上の大歓迎ぶりに胸も踊ります。ここで26kmです。
右折して沢山の方に迎えていただき、こちらも完全に止まる気満々でしたので、喜んでスイカを受け取ります。“この季節にスイカがいただけるとは”と驚きつつ、種を丁寧にゴミ箱に入れる作業に時間を使います。スナップえんどうは今年もいただき、この鮮やかな色自体からも醸し出される味を楽しみます。
そしてここで絶対に外せないのが鰹の腹皮です。香ばしいですし、身もしっかり食べ応えがあるので、逃す手はありません。正に地元の味、特産物エイドです。結果的にこの1kmだけ5分50秒かかっていますが、それがどうしたというのでしょう。これだけのお宝を目の前にして1分速く走ったと仮定して、私は後悔すると思います。
ちなみに、このエイドには足湯もあります。シューズを脱ぐのは大変ですが、余裕のある方は是非。と言いますか、ここはもうゴールじゃないかという気すらしますね。
再出発の際にみかんも勧められたのでありがたく受け取ります。少し行くとお餅を持ったおじさまがおられましたので、こちらでも止まって“餅はいっとかんと”と言いながらいただきました。この先下ってからは上りですので、その前にできるだけ食べておきたいところです。しかし結局みかんは持ったまま上りに突入する展開になりました。
食レポをしておくと、お餅は砂糖ときな粉がとてもおいしくて元気が出ます。一見おにぎりより食べにくそうですが、米粒の咀嚼をなおざりにしているうちにむせるということはなく、案外食べやすいと感じました。みかんはクエン酸で回復できます(実はむせました)。
この下りからの切り替わり地点では、いつも大声で応援して下さる名物おばさんがおられたのですが、今年は男性が座っておられ、様子が異なりました。他のランナーさんが訪ねたところ、引退されたとのことでしたが、何かあったのかと心配にもなりました。
ここの上りはかなり急で、二段階くらいの上りになっているため、上り始めは元気でも、徐々にスピードが落ちて来て呼吸も荒くなるという展開になりがちです。今回は全体にあまり力まない走りを心掛けていたことと、昨年の復習もしていたことから、この坂はそこまで苦しまずに乗り切れました。
後半~終盤
- 後半(31kmからの海)
ヘルシーランドたまて箱温泉へと向かう道は、奇岩竹山を眺めながらの平坦なコースです。ここらで段々調子が上がって来た気配がありました。回転も落ちておらず、あと1時間ちょいなら普通に終われそうな感覚でした。
ヘルシーランドは、今までであれば“行ってみたいけど予定が合わずに行けない場所”でしたが、今回は指宿後泊ですので“明日来る場所”です。それだけでワクワクして、バス停はこの辺りにもあるのかとかあれこれ考えながら走っていました。明日は元気にやって来て絶景を前に温泉に浸かるのだと思うだけでぐっと心の余裕が生まれます。
ヘルシーランドからの上りがきついと記憶していたのですが、実は最初の坂の後に平地で油断させておいて、30km過ぎて数100m行ってから31kmまでがかなり急できついという設計になっていました。写真のデータを見ると上っている時間は2分もなかったのですが。“黄色いコーンはまだか”と苦しみ、呼吸がかなりきつくなるギリ手前くらいで坂が終わってくれた時はほっとしました。標識を目印に頑張るしかありません。
ここから先の下りでは海が見えるようになり、素晴らしい眺望に心奪われます。しばらく見ていたいですし、他の方にも是非体感していただきたい景色です。特に今日のように天気の好い日は、これ以上望むことなどない色に出会えます。その時間もすぐに過ぎてしまうのですが、その名残惜しさもまたよいものです。
海が見えなくなってからも急な下りは続き、山川地区の皆様の温かな応援にほっとします。もうこの辺りでも笑顔でガンガン写真を撮っていきます。こちらが楽しんでいる様子も伝わり、喜んでいただけたと思います。左折→右折→山川港の流れも熟知しています。声援に応えながら、幸せな時間を噛み締めます。
山川港のトンネルを抜け、美しい海を右手に走りながら、今日はこんなに穏やかなのに、津波で人を襲うこともある、その海のことを、複雑な気持ちでも見ていました。
山川駅へと向かう道は日陰ですし、弱い向かい風が吹いていたお陰で、気温の割にそこまでの暑さは感じずに済みました。水で掌と前腕を冷やすようにしたのもよかったと思います。山川駅の沢山の応援も力になります。給水をきっちりとって35kmを通過します。意外と速くなっていたようで、ちゃんと走れば3時間10分を切れそうなタイムだったと思います。
- 終盤(例の坂と最後の見せ場)
さて、いぶすき菜の花マラソンの上りも残すところあと一つとなりました。そう、36kmの例の坂です。昨年は結構苦しみ、結局写真もダウンジョグの際に撮ったのですが、今年は走りながら撮ってやろうという謎の闘志を燃やしました。写真を撮っておくと、上りで何分くらい耐えればよいのかの目安を記録できるので、実は役に立つデータでもあります。単にふざけているだけではないのです。
まずは標識(というか何らかの工作物)を目指すのですが、早くもここまでが長いです。上り始めから2分くらいは続きます。そこを過ぎればJRの高架を潜って、その先遥かに続くフェニックスホテルからシルバー人材センターの道を上り続けます。ようやくフラットになるのは医療センター前を過ぎた辺りということでやはりかなり厳しいコースでした。JRを潜ってからも2分は上っていたようです。
しかしとにかく撮りはしましたし、主観的な苦しさも昨年よりましだったことから、手応えを掴む時間でもありました。ガーミンさんによると1kmのラップは4分34秒でしたので、健闘した方だと思います。
残りは下りと平地ですので、勝ったようなもんです。さっさと呼吸を整えて、給水で回復し、踏切にもかからないことに安堵しながら、海と菜の花の印象的なカットを見届けて左折、残り4kmは砂蒸し温泉や昨日の和菓子屋さんを確認しつつ余力を残して進みました。
大体キロ4分10秒くらいで余裕もあったので、途中二度までも下りで抜かれた方を平地で抜いて決着をつけたり、エンドレス演奏負けないでの皆様にお礼を言ったりできました。
40kmを過ぎてからは、主観的には閾値走より少し遅いくらいで走り、今までのなのはなマラソンで一番余裕があったことから、笑顔でのアピールと撮影に勤しみました。橋もしっかり覚えています。41kmともなると山が迫って来ていよいよ終わりです。マジックスピードさんにもいい思いをしてもらおうという気持ちも強まります。
競技場に入るところで“そば、うどんのにおいがおいしそうだな”と考えながら軽くトラックの写真を撮り、前に手頃な人もいなかったことからそこまで上げずにダブルピースでフィニッシュしました。40km以降は9分3秒、あのくらいの負荷でこのタイムなら上出来です。左右接地時間バランスが崩れていたのはよろしくありませんが、主観的なきつさの感覚を知ることができたのは次につながります。コースベストも23秒更新するおまけつきで、嬉しみもありました。
アフター
レース後
ふるまいと出店
タオルを笑顔でいただき、ドリンクも何度もおかわりしながら談笑するいつもの流れです。大阪から6回連続で参加しているとか、相当の指宿ファンだと思います。来年もよろしくお願いしますと言っては本当に戻ってくるのも、もう恒例になっています。
この大会の面白いところとしてシューズの厚さ測定について触れましたが、今回は測定係の方とお話しして、手作りの簡易な道具で測っていること、その苦労について伺えたのが面白かったです。やっぱり鹿児島の方はフレンドリーです。
茶ぶしのふるまいも恒例で、その香りと味には懐かしさすら覚えます。味覚が鍛えられてきたのか、今年は更に味がしっかりしておいしく感じられました。
貴重品を受け取り、二階のスタンドでさっと着替えて外に出て、プロテインバー2本を食べてから会場の出店巡りへと旅立ちます。
毎度ふるまいで死ぬほど食べさせられる(褒めています)のがいぶすき菜の花マラソンです。流れとしては、蒸しいもを最初に受け取り、その袋におにぎりを入れて腕からぶらさげ、そば又はうどんとぜんざいを片手で持つというものがよいでしょう。ただし、そば又はうどんは片手で持つとカップが割れそうな感じもありましたので、事故が起きても責任は取れませんけど。食券はでかいなと思っていましたが、お札と一緒に財布に入れやすいサイズだと今更気づきました。
出店も沢山で迷います。鶏のごろごろ焼き、チーズサンド、うぐいすパン、蒸気屋のあげないドーナツ、鳥越屋さんのいぶすき路によもぎ餅と次々とおいしいものをいただきます。いぶすき路はシナモンとさつまいもが絶妙に合っていたので、お土産に追加購入しました。職場でも好評でした。
川内優輝さん
- 瀬古さんとのステージ
5年ぶりの川内さんの参加で、ステージもあるとのことで楽しみにしていました。まずは14時から瀬古利彦さんとの豪華共演。この距離でお二方を見られるとは何と贅沢なことでしょう。世界で活躍されてきたお二人のトークですので、期待通りに瀬古さんの自慢話(笑)で盛り上がります。15戦10勝ですから。
勿論瀬古さんは盛り上げ上手な方ですので、川内さんの戦績(レース数やMGCの激走など)も称え、観客も大いに感心しました。でもきっちり“零下17℃でも2時間20分切ったのに、今日は17℃で2時間20分切れないとはどういうことか。パリは暑いからMGCで代表になったら困るよ”と落として笑いを誘ったりもされます。
川内選手は、ご自身のモチベーションについて、“旅行が好きで、強くなれば日本中だけでなく世界中を巡ることができる。マラソンをやっていたからこその経験だ”ということを仰っていて、自分も大いに重なるところがあると頷きました。来年もいぶすきに来ると宣言されましたので、私もここでまたお会いできるのが楽しみです。
14:50頃からは、じゃんけん大会が開催され、サイン入りTシャツと現状打破カレーが提供されていました。私は未来ある方に譲ろうと参加せず、見守っていましたが、走った後なのにとにかく参加者を楽しませて下さる真摯さに感心しました。
- M高史さんとのステージ
長年川内さんのモノマネアスリート芸人(現:現状打破応援隊長)として活躍されているM高史さん。お二人が同じレースで走り、更にステージで掛け合いまでするというのは初めてとのことで、これまた記念すべき貴重な場に居合わせることができました。
M高史さんはMラジで沢山の陸上関係者(選手のみならずコーチやスタッフまで)へのインタビュー、トークを行っており(特に弓削田眞理子さんの回がすごかったです。色々と)、私も何度も聞いていましたので、是非一度直接、と思っていました。
川内選手ご本人と、これまでのお二人の関係、「現状打破」に懸ける思いや、現状「維持」ネタ、猫ひろしさんのネタについてのトークなどがあり、皆で声を合わせて盛り上がりました。
- マラソンキャラバンでの記念撮影
更にマラソンキャラバンブースでは川内さんと記念撮影までしていただけるとのことで、皆張り切って列をなします。私もアイドルの握手会くらいの勢いで何を話そうかとあれこれ考えた末に、“川内さんに憧れて走るようになり、今日で98本目です。来週のにしお、来月の別大で100本目です”とお伝えしたところ、“別大で100本って最高ですね!”とのお言葉をいただきました。これはもう絶対に頑張ろうと思いました。
会場からの移動(更なるふるまいと応援)
会場を堪能したところで、恒例の砂むし温泉砂楽さんへと向かうことにします。いつも通り応援しながら移動したのですが、やっぱり応えていただけると嬉しいですね。
そしてこちらも恒例になってしまっているのですが、エイドでお礼をお伝えしたところ、ふるまいのお菓子やドリンクをいただけるというご親切ぶり。手作りのリンゴパウンドケーキやふくれをいただき、歩道を歩くことになったランナーさんにもおいしさをアピールしてガンガン勧めます。
黒棒をいただいた方は、前回まで10回連続でフルを走っておられるとのことでした。今年は怪我もあり応援に回ったものの、やはり走りたいとのことで、来年はきっと大丈夫だと期待しています。
吹奏楽応援やエンドレス負けないでも見届けました。本当に17時まで、あるいはそれ以降も演奏し続けているのは驚異です。誘導係の方々にも一日どうもありがとうございましたとお伝えできました。今回は後泊で時間があったということもありますが、ここまで沢山の方にしっかりお礼を言ったり、走ってくるランナーさんを応援したりできる大会はあまりないなと思います。
砂むし温泉砂楽さん
そんな感じで辿り着く頃には日が沈みかけていました。夕日に染まる海もまたありがたみがあります。入浴料は1,100円。こだわらないのであれば、タオルは完走タオルで十分です。
砂蒸しは何がよいかというと、砂の重みで脚の血管がドクドクいっていることがよくわかることだと思います。圧がかかっている分、押し返す力が自分でも感じられるのです。毎回、“足首にこんなに強力なポンプがあるのか”と新たな発見があります。全身埋められますので、身体の芯まで温まります。まあ見た目はかっこよくはないでしょうけどね。
砂を落としてからは温泉へと進み、こちらで交替浴もできます。考えられる限り最高の回復スポットではないでしょうか。過去に川内選手が膝を痛めた時も、砂蒸しに通って回復を早めたといいますし、その効果は折り紙付きです。
夕食
駅近くのコインランドリーで洗濯・乾燥を済ませた流れで夕食処を探します。普通に定食が食べたかったので、丸福さんへ。焼肉定食にしましたが、たれとお肉が合っていたことに加えて、キャベツ、ピーマン、えんどう豆、もやし炒めと一緒ですので、栄養的にも嬉しいです。たったの700円でしたが本当によいのでしょうか。おばさまにマラソンのお礼を言うと、とても喜んで下さりました。また来年も来なくては。
夜空には満天の星が輝き、楽しい一日を祝福するかのようでした。片づけや翌日の予定確認、振り返りなどを済ませ、日付が変わった頃に就寝です。この日は都道府県対抗女子駅伝で、石川の五島莉乃選手が力走して区間賞を獲得したことを夜になってから知り、目頭が熱くなりました。それぞれができることを一生懸命やるしかないのです。体育館には赤十字の募金箱もありましたので、少しですが協力しました。
翌日
雨の観光ジョグ
6時に起きるも日の出が遅いのでしばらくは部屋にいました。天気予報を見ると朝一時雨という予報でしたが、そんなことに怯んでいる場合ではありません。スロージョグで会場の方へと向かいます。
翌朝走るのは、体調チェックも兼ねています。全身の疲労などはそれ程なく、速めの有酸素ジョグを長めにやればこんなものだろうと走りながら感じていたレベルです。ただ、腿前の筋肉痛は出ましたので、流石にあの下りは効いたのだなと認識します。それでもかつてのような全身疲労や強い筋肉痛、悪い時には怪我の症状といった諸々が出なくなったのは、成長を実感するところでもあります。
雨もあって知林ヶ島に続くちりりんロードも見える気配がありませんでした(そもそもチャンスがあるのは3月から10月とのことです)が、雲の向こうに隠された朝日の色が隙間から見えるのもよかったです。幸い、靴がずぶぬれになる程は降らずに止んでくれました。走っていた時間は55分で、平均ペースはキロ7分22秒でした。
朝食は昨日の蒸しいも、ゆで卵、チーズと牛乳です。蒸しいもは時間を置いたことでレジスタントスターチ増加間違いなしです。冷めてもおいしいのは、流石本場のさつまいもです。
バスはギリギリかなと出発しようとしたところ、何とオーナーさんが車で送って下さり、ありがたいことこの上ありません。大阪にも三度遊びに来られたことがある(USJ)とのことですので、また来られることがあれば是非いい思い出を持って帰っていただきたいです。来年は宿泊するかにかかわらず、手土産の一つも持ってこようと思いました。
たまて箱温泉
いぶすき9:05発→たまて箱温泉9:31着のバスで移動です。450円なので小銭を用意しておくとよいでしょう。高額紙幣は乗り場前のバスセンターで両替できます。フルのコースの終盤を逆に辿りながら、やはり36kmの坂が長いことや、31km過ぎの下り(バス停でいうと鳥越辺り)が急なものであることを改めて認識します。
巨大なリゾート施設を想像していたのですが、建物は小ぶりで、“この先に本当にあの、海が一望できる温泉が広がっているのだろうか”と思ってしまいました。しかしそれは完全に杞憂で、竹山と海の水平線が眼前に広がる素晴らしい光景が待っていました。
写真は無いので伝わりにくいかと思いますが、昨日のレースを思い出したりしながら足先や指先まで熱が伝わってくる感覚に浸っていました。果たして自分が最期の瞬間にこの眺めと心地よい風を思い出すかはわからないものの、こういう生き方をしてきたこと自体はとてもよかったなとじんわり自分の中で確かめていました。
奇数日・偶数日で和風風呂と洋風風呂が男女入れ替わりになっており、今日は竹山が迫ってくる洋風風呂でした。開聞岳が見える和風風呂にも是非行ってみたいところです。
付近には山川製塩工場跡があり、温泉もシュコーシュコーと噴き出していたり、竹山の真下まで行ける遊歩道があったりで、簡単に見るだけでも楽しめます。砂むしは現在停止中でしたが、伏目海岸の特徴を示す看板を読むだけでも面白いです。「俣川洲」とか読めません(A:「またごし」)。
たまて箱温泉11:24発→山川駅11:38着のバスで移動です。昨日走った山川駅にこうして来るのも初めてです。気になっていたお店は店休日でしたが、落ち着いてこの海沿いの道を眺めることができてよかったです。日本最南端の有人駅とのことです。
鹿児島中央
- とんかつ川久さん
山川12:00発→鹿児島中央13:30着の電車に揺られてゆっくりと移動します。到着後は駅のロッカーに荷物を放り込み、とんかつ川久さんへ。ここの上黒豚ロースカツ定食は本当に絶品で、一年を振り返った時に、年始に食べていながら必ず上位に食い込むうまさなのです。お肉が分厚くてうまみが弾けるのは勿論のこと、脂が全然違うのです。口の中でほどけていく食感が最高です。
- 市内散歩
これで今回やりたいことは終えました。ここからはプランも何もありません。気合を入れて観光地という気分でもないので、久しぶりに天文館の方や甲突川沿いを散歩したりしました。途中パン活で天文館トワベールさんやパン工房Orangeさんに寄ったり、一口げたんはを食べたりと食欲も旺盛です。それでもかなりセーブしていますけど。
日中の鹿児島は今年も春のような温かさで、仙厳園にスロージョグで行った時も暑かったことを思い出しました。初めてここに来たのが7年前、自分はこれから一体どうなっていくのやら。できるだけ納得のいく生き方をしたいものです。
鹿児島中央17:20発→鹿児島空港18:00着のバスに乗り、鹿児島空港19:00発→伊丹空港20:10着で帰ります。空港でもお土産にあん無しかるかんを追加し、おまけでいただいた塩豆かるかんを食べ、南国白くまモナカで鹿児島の旅を締め括ります。今年もここに来ることができて、本当によかったです。
最後に
川内選手もトークの中で仰っていましたが、“何度も出る大会にはそれ相応の理由がある”ということで、私が6度も参加しているということは、それだけの魅力があると思っていただいて間違いありません。金沢(7回)や黒部(6回)のように、大好きな大会なのです。
応援やエイドの素晴らしさは何度強調しても足りないくらいです。思い切り指宿を楽しみながら走るのもよいでしょう。コースはハードなのですが、年末年始はレースが無くて自然とテーパリングになっているのか意外と走れてしまいますし、テーマを持って真面目に走るにも持って来いの舞台です。
本当に見どころ、魅力の多い大会ですので、チャンスがあれば是非多くの方に走って笑顔に(ただし上りは苦悶の表情に)なっていただきたいなと思っています。そしていぶすき菜の花マラソンの素晴らしさを語り合えると最高です。
いぶすきの皆様、今年も素敵な大会を開催していただき、本当にありがとうございました!
ここまでご覧いただきありがとうございます。