二度目の参加もやっぱり大満足でした。宝達山あり、トトロあり、千里浜あり、ルビーロマンありで、タイムなど気にするのは勿体無く、宝に恵まれ浪漫にも満ちた、本当の意味で豊かな町の魅力を感じながら走ってきました。真面目に走る気配もなく、一介の観光ランナーとして楽しませていただきました(4年前より更に遅い2時間33分台でした)。
エイドは毎度豪華で嬉し過ぎです。高級品の宝達葛にオムライスの町ならではの一口(と言いつつ結構なサイズの)オムライス、おだまきも本場の力で大きいし、いちじくにシャインマスカットも甘くておいしいです。何故か山上の折り返し点で提供されるオロナミンCも懐かしいですね。勿論全て止まって味わい、完食いたしました。ごちそうさまでした。
30kmと聞くと気合いを入れてタイムを狙おうと考えるやに思いますが、季節的にまだ暑いのに加え、コースと充実のエイドを予習すると到底単に走るだけで終わろうという気にはならないでしょう。地域振興のために大規模フルマラソンの開催を!と息巻くのも(それはそれで行ってみようかなという気になるので)よいのですが、宝浪漫マラソンは何かと独自路線だと思います。こういう、地域の魅力を存分に伝えるランニングイベントは貴重なので、是非この路線で続けていただきたいと思います。
参加すれば、宝達志水町の魅力を知ることができ、また来たいなと思える大会です。私は現にまた来ましたし。アフターもスイーツを楽しみ、帰りは宇野気の西田幾多郎記念哲学館に寄ったりもできます。
この大会のお陰で、宝浪漫マラソンだけでなく宝達志水町も好きになりました。また来ます。開催・応援して下さった皆様、今回もありがとうございました!
全エイドの様子や少し詳しい内容は次のページにあります。ご感想などいただけるととても嬉しいです。
前日
気軽な参加ですので、基本的に無調整です(牛乳かのような物言い)。普通に朝晩スロージョグで、水曜は涼しくて楽になったので10kmビルドアップ、木曜は100m程度のスプリント6本でした。
食事も、お彼岸なので戸水屋さんのおはぎを二つ食べたくらいで、後は朝晩普通に食べました。
当日
レース前
見事に寝坊して気付くと6時前でした。荷物は前日詰めてありましたし、朝食も準備してあったのでギリギリ間に合いましたが、危うくDNSになるところでした。
会場で着替えるのも忙しないので、家でウェアを着用しておきました。テーピングはニチバンで、荷物になるため家で済ませます(時間がないので適当)。ザムストの履きにくいソックスは電車で装着しました。
宝達駅に着くと立派なバスが待機してくれており、スムーズに会場入りです。マフラータオルが映えます。8時前に着いて余裕があるので、ゆっくりと着替え、暇なので行きたくもないトイレにも行っておきます。
エイドが充実しているので、携行品はやる気のないウイダーのゼリーを持ったくらいです。おまじないとして8時頃にアミノ酸も軽くのんでおきましたが。
シューズは走行距離150km程のエボライド2にしました。走行距離300kmオーバーでアウトソールは削れているもののまだそれなりに走れるズームフライ3と迷いましたが、自分の過去のブログを読むと下りが長いらしく、流石に外傷リスクもあると考え、比較的痛んでいないエボライド2を試すことにしました。上りで濡れた路面ではグリップが弱い感じがしましたが、それなりの速さで安定して走る分には十分です。初代エボライドの方が反発が強いように思うので好みですが、何事も試してみないと判りません。下りで腿前に筋肉痛があることを除けばダメージも少なく、海水にも浸かったことを考えると、選択は正しかったと思います。
町長さんのご挨拶の後、ブロックごとに緩やかにスタート地点に向かいます。中学生のブラスバンドに送り出されて出発です。4年前は暑くてまずいと思いましたが、今日は曇りで絶好のランニング日和です。
レース
前半(皆で宝達山を上りましょう)
うっかり前の方に並んでしまった都合上、老若男女に抜かれること抜かれること、まあスロースターターな上に観光目的なので、後半ビルドアップの練習になればいいやとキロ5分を目安に進みます。無事に踏切で止まることもなく、最初の給水もしっかり取ります。
段々山が迫ってきて、本格的な山登りの前にも少し坂が続きます。序盤から坂かよと嘆くか、山で上る高さが減ってラッキーと思うかは人それぞれです。
5.5kmのエイドでは宝達葛がいただけます。まだあまり止まる人はおらず、山へ突進していくランナーが大半でしたが、この高級品をスルーすることはできないので止まっておいしく堪能します。
上りは3.5km程あり、前回結構歩いた記憶があるので、今回は遅くてもよいのでエイド以外は歩かずに行こうという目標を立てます。ピッチを狭めて肘を抱え込まずに鋭めに振る意識で、遅いながらもせっせと上ります。スタッフの方の応援や、キロ表示看板のメッセージにも助けられ、更には中腹のエイドでオレンジとバナナをいただいて回復したことで、一応エイド以外は歩かずに上り切れました。まあ富士登山競走に比べれば短いですし、ウルトラでもこういう展開はよくあるので、精神的に慣れたというのもあるのでしょう。
右手に海が望めるようになった辺りで折り返し、オロナミンCをゲットします。しかし何故オロナミンCなのかは謎のままです。
中盤(下りとトトロと給食と)
当たり前ですが下りはとにかく楽です。上ってくるランナーさんに頑張って下さいと心の中でエールを送ります。上りは皆、懸命です。早く下りで楽になって下さい。写真を撮るには怖い傾斜だったので大人しく走り、途中のエイドでは念入りにポカリをいただきました。
下りは普通に走ってキロ4分15秒前後だったので、今日は駄目な日なのだろうと理解します。そんなことより二度目の宝達葛が迫っていますので、ここもしっかり止まってありがたくいただきます。リピーターなので上りも下りも必ず取るぞと決めていました。なかなか宝達葛を思い切り味わう機会もありませんので、ここは逃せません。甘すぎず、それでいてしっかりと口に優しい味がふっと広がる逸品です。
宝達葛に別れを告げてもう少し下ると視界が開けて川を渡ります。応援して下さる方も多いので、笑顔で応えながら走ります。ここで、待望のトトロです。コースマップにわざわざ「トトロ」とありますので、コースアウトしてでも立ち寄るしかありません。維持するのも大変だが頼まれるとやめられないといったインタビューを、北國新聞で読んでいたので一層ありがたみが増します。ネコバスまで作っておられるとは、なんというプロ意識でしょう。浪漫を感じますが、その一言では片付けられない情熱があります。
四年前と同様、ここで随分抜かれるのですが、土手を上がった所で「今180番!」といった感じで順位を教えて下さる男性とお孫さん?がおられて、おお、あの時と同じだと、嬉しくなりました。
その先はしばらく走りやすい平坦なコースなので安定したペースとフォームを心がけます。モーゼパークには入らないので、海が割れているのかは不明ですし、末森城跡の入口は看板におおと思うものの背後にあるのでよく分かりませんが、押水バイパス付近の看板に、「ここを走れるのは今日だけ」といったメッセージもあり、多くの方にご協力いただいていることに改めて感謝します。
看板で敷浪に入ったと認識し、床屋さんのいい香りを感じ、線路沿いに少し走ると18.4kmの白虎山公園エイド、待望のいちじくとシャインマスカットがふるまわれます。前回参加時もおいしくてたまらなかったので、楽しみにしていました。今回も変わらぬおいしさに笑顔が溢れます。葡萄は皮ごといけるので食べやすく、走りながらでもいけますが、ここは止まって味わうのが醍醐味です。太鼓の応援も力をくれます。力強く加速するか、貪欲に食べ続けるかはその人次第です。
後半(オムライス、おだまき、そして千里浜)
存分に果物をいただいてからまた走り出します。四年前と違い、曇りでまだそこまで暑くはありません。21.5km辺りでも応援して下さる男性に、距離を伝えるなど和やかに笑顔で進みます。宝達志水町役場に入ると、オムライスの町を売りにするこの町の威信を懸けた(そこまでかは分かりませんが)一口オムライスが並んでいます。止まるしかないでしょう。一口サイズと言いながら何度も掬わなくては食べ切れない満足のボリュームで、来てよかったなと思います。もう一つ見逃せないのが、たにぐちさんのおだまきです。金沢のスーパーでもおだまきは見かけますが、やはり本場で気合いが入っているのか大きかったです。餡も餅もいいお味で、元気が出ます。
散々休んだ後、膨れたお腹を抱えて再度出発です。最早タイムをどうする気もないので、応援の声もよく聞こえます。23km辺りでもおじさま「もう少しだ!」おばさま「何言ってんの!少しじゃないでしょ!」といったやり取りがあり、笑いました。
この辺りは土地勘がないと似たような所を走っている感覚に陥りますが、マップを見るとそんなに難しくはないのですね。摩訶不思議です。さはさりなん、1kmは1kmなので、淡々と次のエイドを目指して走り、さっきも見た所だと確信したところでいちじくとシャインマスカット、オレンジを再度たっぷりいただきます。
その目と鼻の先にエイドがあり、えらい近いなと思っていると、信号待ち(柳瀬交差点)の前の休憩といった位置づけですね。国道は信号待ちがあるとアナウンスがあったので、どんな大規模な道かと思っていたのですが、控え目なもので待ち時間もわずかでした。ウルトラでは信号待ちなんてざらなので気にしません。
この先に葡萄畑があり、この土地ならではの風景も楽しめます。少し行くと「もうすぐ千里浜、気持ちいいよ」といった応援メッセージがあり、いよいよ期待が高まります。入口は段差に注意と、親切に呼び掛けて下さります。
千里浜に入ると、もう完全に波の真横を走ることができ、不思議な気分です。すぐそこまで波が来ている、いやむしろ足元にも到達してシューズもぐっしょりなのですが、砂が締まっていて案外きっちり走れるのです(キロ4分40秒くらいで、然程落ちずでした)。前を向いていてもよいのですが、ここは時々横を見るのがおすすめです。海がここまで間近に感じられることは他ではありません。生きていてあと何回この時間が味わえるのだろうかと考えながら、勿体無くすら感じての約2kmの旅でした。百聞は一見に如かず、是非とも一度は味わっていただきたい世界です。
海岸の終点から舗装路に出て、ゆっくり給水です。もうこのまま適当に走って終わってもよいのですが、やはり目の前に追い抜けそうなランナーがいると追ってしまうのが人間というもので、ラスト1kmに限っては頑張りました。特に、最後右折すれば300mといった声が聞こえ、目測でもそんなもんだろうと思ったので、直線は(スプリントとまではいかないものの)結構な勢いでスパートをして(ガーミンさんによるとキロ3分48秒)、気持ちよく終わりました。生きているとはこういうことかと言い表せないものが自分の中を駆け巡りました。
アフター(ルビーロマンとスイーツ巡り)
宝達志水町スイーツ巡り
フィニッシュすると即、記録証が発行されます。四年前は大渋滞だったことを思うと大いなる改善がありました。
そして参加者全員が待ち望んだ、ルビーロマンのロールケーキが授与されます。これは今日頑張った自分へのご褒美ですので、とにかく一番美味しい時にいただきます。ルビーロマンは厳しい基準をクリアしたもののみが名乗ることを許される最高級ブランドですので、普段はそうそう手が出るものではありません。そのありがたみ満点のルビーロマン様を、走った後の充実感と共に味わえるのですから、これ以上のシチュエーションはないのではないでしょうか。是非とも多くの方に体験していただきたいと願っています。
会場には出店もあり、唐揚げを選択しました。他にもトマトカレー、牛串、牛タン、焼き鳥、焼きそば、おにぎり、たこ焼き等々、結構色々な種類が楽しめます。
会場では宝達志水町マスコットのほっぴーさんとも記念撮影ができますので、混んでいなければ思い出に撮ってもらうとよいでしょう。加賀温泉郷マラソンのPRの方もおられたので、今年の開催のお礼をお伝えしました。左足首が痛すぎてまともには走れなかったものの、山代温泉を始めとして沢山のお菓子をいただいた楽しい思い出に感謝です。
追記:2023年の加賀温泉郷マラソンは本来の姿に戻り、カニめしも復活して大成功でしたね。毎年ありがとうございます。
会場からは駅まで送迎がありますが、ナカヤマエッグさんの直売所玉子の駅でソフトクリームを食べたかったので、しばし歩きました。桜っ子卵は裏のスーパーで毎週買っていて、大きくておいしいのです。ソフトクリームは卵の味が濃く、さながらプリンのような味わいでした。
本当は13:02発の電車を予定していたのですが間に合わなかったので、これ幸いと松月堂さんで末森城主永福饅頭と宝達山もなかを、めんでんさんでもマスカット大福といちじくの里を買い、おいしくいただきます。お店でも走らせていただき楽しく、リピーターになったことなどを話します。
道路を歩いていてもおばちゃんが話しかけて下さったり、電車待ちの時間にスタッフさんが宝達志水町の逸話(断層や花火の話から、かつて11月にみぞれの中で山頂まで開催して大変だった、台風でも開催した等々。勇猛果敢だとは思いますが、無理せず中止して下さい……。)を教えて下さったりと親切な皆様のお陰で楽しく過ごせました。一本逃してよかったです。ありがとうございました。
宇野気(西田幾多郎記念哲学館)~津幡
今のタイミングで行くべきだと思ったので、宝達から宇野気まで電車で移動し、三年ぶり(2019年の中能登トレジャートレイル以来)に西田幾多郎記念哲学館へ行ってきました。中能登トレジャートレイルも改めて振り返ると楽しい大会です。
西田幾多郎の人生や人となりを知ることのできる展示で、難しい話(絶対矛盾的自己同一とか)はないので、たまに訪れて、生きることについて考えるのも大切かと思います。あの空間に自分が包まれることは、そこに行かなくてはないものですので。
宇野気から津幡までは6km程なのでスロージョグで移動しました。目的地は勝崎の湯です。金沢おふろ旅は二周しているのですが、石川全体にまたがる加賀能登湯めぐりのスタンプカードも渡されてしまったので、機会があれば巡ってみています。しかしこれ、南は小松までなのでいずれはクリアできるとして、北は七尾、能登、珠洲、輪島と散らばり過ぎ、一生かかってもコンプリートは無理だろうなと思っております。ともかく、きれいな田園風景に癒され、汗を流して気持ちよく帰宅しました。
最後に
拙い文章と写真ではありましたが、この大会はお気に入りの大会ですので、少しでも魅力が伝わり、参加してみようかなと思っていただければ嬉しいです。特に千里浜を走れるのは一生ものだと思います。
地域の特産品も充実していて、宝達葛、オムライス、おだまき、いちじくにシャインマスカット、そしてルビーロマンと片っ端からふるまっていただけますので、地域の魅力を一気に堪能できます。
30kmのロードレースと一口に言っても、色々なやり方がある、その一つの路線を体現している好大会、これからもこの路線で頑張っていただきたいです。
この大会のお陰で、宝浪漫マラソンだけでなく宝達志水町も好きになりました。また来ます。開催・応援して下さった皆様、今回もありがとうございました!